表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自殺しようとしたら同級生に助けられた  作者: ゆめ
自殺しようとしようとしていたら、同級生に助けられ、助けた。
54/66

いいよ

 中学二年、親が離婚し、俺は地元を離れた.。


 別にその事に対して何か思う訳では無かったけれど、ほんの少し、あの地獄のような生活から解放された気分でいた。


 でもそれは間違いで、結局どこへ行こうとも地獄であることには変わらなかった。


 母は精神病を患っていた。


 どうしてそうなったかは分からない。


 でも、壊れた人間と生活するのは、俺にとっても苦痛でしかなかった。


 家が変わっても、俺に居場所なんて無かった。


 とある日の夜。俺はいつもどおりに街を徘徊していた。

もしかしたら自殺しようとしていたのかもしれない。だってそんなこと、とてもどうでもいいことなのだから。


 そんなとき、後ろから可愛い声で話しかけられた。


「ねぇ、お兄さん。私を買ってくれませんか?」


 そこにいたのは、陽菜だった。


 確かその時は、日向 陽菜って名前だった気がする。


 というのも、彼女の苗字はよく変わる。

 本人から聞いた話だが、今までに苗字は五回変わっているらしい。


 まるで携帯の機種変更化のように苗字が変わる彼女は学校でも見事に浮いていた。


 誰ともかかわる気が無いかのようにも思える。


 そんな陽菜が俺に「自分を買ってくれ」と言ってきた。


 陽菜は放課後になるといつもすぐ教室から出ていくので、てっきり直帰しているのかと思いきや、援助交際をしていたのか、と俺は変な納得をした。


 当時の陽菜は今と変わらない綺麗な金髪は、肩にかかる程度のショートで、体もまだ成長途中と言った感じだった。そう言ったのを好む男性は少ないようだが。


 陽菜は俺の顔を見るなり、驚いた表情を浮かべる。

 そして乾いたように笑顔を作って、明るい声で話す。


「あはは。転校生くん。こんなところで何してるの?夜は危ないんだぞー?」


 どうにも鏡でよく見たことのある笑い方だった。


 どの口が言うんだ、と言いたいが、その時の俺はどうにかしていたようで、先ほどの言葉に、返事をする。


「買うよ、君の事。いくら?」


 俺がそう答えると、陽菜はまた弱った表情を見せて、俺をイライラさせる、俺にそっくりな表情で答える。


「も、もう。冗談に決まってるでしょ!転校生くんも早く帰りなよ!じゃあね」


 なんだ、ヤらせてくれないのかよ。


 俺はそのまま背を向け、歩き出す。


 しかし、次の瞬間、服の袖が後ろに引っ張られる。


 あの時の陽菜の顔は、今でも覚えている。


 恥ずかしそうに、興奮したように、ドキドキと緊張をはらんだ震える声と、うつむいた、真っ赤な顔。


「い……よ」


 俺と陽菜は、お互いの体温という居場所を見つけた。


この作品が少しでもいいなと思ったら★★★★★と感想ブックマークをよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ