全裸女子会
数分後、一人暮らし男子高校生の部屋(宿主不在)に居たのは、全裸の女子高生三人だった。
なぜ片瀬も脱がされたかというのは、そっちの方がいいと思ったからである。
三人はローテーブルを囲み、向き合っていた。
「ええと……その……」
気まずそうに、そいうより、裸なのが恥ずかしいのか、片瀬さんは先ほどから落ち着きがない。
「……」
佳菜は先ほどほどではないが、まだ少し落ち込んでいる。
今は相手がどう動くかを探っている様子。
「……ふむふむ」
何やら納得した様子の陽菜。
そして、口を開く。
「ここに集まっているのがひーくんヒロインズって事でいいの?」
何やら言い回しが独特だが、要は陽に好意を抱いている女の子、という事だろう。
それに対し、佳菜は肯定を意味するように陽菜を見つめ、片瀬は「私も巻き込まないでくれ」と言った様子。
「ひーくんは私のだから」
子供がわがままを言うみたいに、陽菜はそう宣言した。
佳菜は悔しそうに、片瀬さんは焦りの表情を浮かべる。
しかし、この戦線布告、というよりも勝利宣言に近いような発言は、少なからずとも、二人の心に変化をもたらす。
「でも、さっきは酷いことしてごめんなさい。一宮さんだよね」
先ほどまでの表情とは一変、可愛らしい表情に戻って、佳菜に謝罪をする陽菜。
それに対し、佳菜は曖昧な表情で答える。
「………」
「あはは、嫌われちゃったかなぁ……。ええと、あなたは?」
「片瀬 彩花です。一応、同じクラスの」
「そうなんだ。片瀬さんもいきなり全裸にさせちゃってごめんね」
「あ、はい……」
しーーーん。
「ま、まぁ。私の事に関してはひーくんに聞いてよ。とにかく、私はここに住むことになったから、それだけ!」
気まずい雰囲気をごまかすように、要点を伝える陽菜。
それに対し、佳菜は先ほどのように反論しようとするが、何も言わない。
片瀬は何が何だか分からない様子で、そもそも、いまだになんで自分が全裸になっているのかも理解できなていないだろう。
「あとね」
そして、陽菜は意味ありげその言葉を言う。
「ありがとね」
笑ってはいるものの、陽菜は真剣で、心のこもった感謝の言葉を二人に言う。
その言葉の意味が分からなくて、困惑の表情を浮べる。
「今日ひーくんに久しぶりに会ってびっくりしたんだ。あんなに元気なひーくん。ほんとに珍しんだから。それはきっとあなたたち二人のおかげだけと思う」
それは、先ほどの陽菜からは想像もできないほどの優しい言葉。
「ひーくんの事を、ありがとう」
でもその言葉は、まるで自分の物の面倒を見ていてくれてありがとう。と言われているようで、先ほどの言葉以上に宣戦布告と取れた。
もちろん、陽菜にそんな意図は無くて、でも、心の中ではこう思っていた。
私の代わりは二人には務まらない、と。
重たい雰囲気を切り裂いたのは、三度この部屋を訪れたもの。
しかし、それは来客ではなく、この家の宿主本人だった。
「ただいまーって……ええと、とりあえず写真撮っていい?」
片瀬さんは二人に比べ、やや貧相な身体を急いで隠した。
全裸女子会流行らないかな……
明日短めなので今日はちょっと長めです。
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