私(アタシ)が特別じゃない?!
「あれ、市川君の家こっちじゃないの?」
片瀬さんの涙が収まった所で、再び、帰路につこうとする。
片瀬さんは足を止め、俺に道を尋ねる。
あぁ、そいえば。まだ言ってなかったっけ。
数分後。
「もう、遅いよ!」
そこには、玄関の扉の前で座りこんでいる佳菜。
横には大量の荷物がある。
「ごめんって…」
本当は約束通りの時間に来れるはずだったのだが、片瀬さんとあれこれあったせいで遅れてしまった。
佳菜はわくわくと言った表情で立ち上がり、その瞬間を待つ。
俺はポケットからキーホルダーも何もつけていない鍵を取り出し、玄関に差し、ドアを引く。
「うわ、何もないじゃん」
佳菜は一言、そうコメントした。
そこは、地獄のような日々を過ごした場所でも、怒鳴りつける親父がいる家ではない。とあるアパートの一室。
部屋はワンルームで、風呂トイレ別、特に目立ったところも無い、普通の賃貸だ。
ここが、俺の新しい家。
何故、俺があんなにも、取りつかれたかのようにバイトをしていたのか。
その理由は、全てこれだ。
俺は、一人暮らしを始めた。
中学時代から、法を破りながらもバイトを続けてきた。
体の事なんて考えずに、ただひたすらに。
そして停学期間中、俺は空いた時間を利用し、さらにバイトに打ち込んだ。
そしてついに、貯金が三百万円を超えた。
ずっと、あの空間から解放されたかった。
その一心で頑張ってきた。
そしてついに、それが叶った。
安い部屋を探し、手続きも済ませた。一人暮らしをするには親のサインが必要だったが、親父は案外あっさりと承諾をしてくれた。
広いとは言えないこの部屋は、俺にとっては楽園のようだ。
今日、佳菜と片瀬さんを呼んだのは家具、家電を選んでもらうため。
引っ越しをするときに運送費は高くつくので、ほとんどあの家からは何も持ってこなかったので、今俺の部屋はとても人が住めるようなものではない。
かといって、家電の知識のない俺は、値段が安いものを選んで失敗しそうなので、家事が得意な佳菜に家電を選んでもらう事に。
何となくオシャレそうな片瀬さんには、家具を選んでもらう事にした。
「うわ……凄いね……」
片瀬さんはそう感想を漏らす。なんだか少し照れ臭い。タダのワンルームだが。
「早速はいってもいい?」
「どーぞ」
「おじゃましまーす!」
「私もおじゃまします」
玄関に小さなローファーが二つ。
うむ、なんとも良い気分だ。
女の子が部屋に居るだけで、なんだか華やかになった気がする。いい匂いするし。
満足感に浸る陽だったが、佳菜と片瀬の頭の中は、文句でいっぱいだった。
『なんでこの女も居るのよ!!!!!』
この後3Pするってよ
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