雪積もる日
それから数日、佳菜はまだ部屋に居た。
朝、俺が出かけて、夕方に一度かけると、佳菜はベットで置物みたいに座っている。
トイレくらいには行っているようだが、逆にそれ以外は何もしていない。学校にも行っていないだろう。
見ているこっちがため息が出るような気持になった。
親父が返ってくる前にシャワーを浴びてくるように伝え、あがってきたところで、着替えを渡してやる。新しい服を買ってやろうかと思ったが、佳菜は俺の服を着る事にこだわった。
その後はコンビニで買ってきた総菜パンやおにぎりを二人で食べる。栄養バランスの欠片も無い食事だが、俺はこれを何年も続けているので問題ない。
その後、俺はまた出かけ、深夜にこっそりと帰ってくる。
佳菜は決まってまだ起きていて、そのまま俺は佳菜と二人で身を寄せ合って寝る。
佳菜が変わった反応を示すことがあるとすれば、俺がリビングで親父に暴力を受けてから部屋に戻ると、必ず怯えているという事。俺に自傷行為や、暴力の傷が増えていた時、薬を飲んでいる時は、何かを言おうとして、思いとどまる。
この時は、イライラする。
その気持ちを静めるために、俺はすぐにベッドで横になって、眠りに付こうとする。
何とも変な気分だ。
こんな爆乳お化けと添い寝をして言うのに、全くムラムラしないし、介護をしているような気分。
こんな生活、いつまで続くのやら。
携帯を持っていない佳菜の代わりに、俺が佳菜の自宅に電話をかけ、佳菜の母にはうちに泊まっている、というよりも、住んでいることに関しては了承を得ている。
それでも、長くこの生活が続くようなら佳菜を引き戻しに来るだろう。
その時は、一切躊躇することなく引き渡すが。
そんな生活が、なんと二カ月も続いた。
良い加減そろそろ学校に行かなければ留年が危惧される時期だ。
と言っても俺はまだ停学中だし、佳菜も登校するようなそぶりは見せない。
雪積ある日、転機が訪れた。
よく冷える夜、お互いを温めあうようにベッドで身を寄せ、眠りに付こうとした時、俺は口を開いた。
「今までごめん。………俺の話、聞いてくれる?」
その言葉は、本当にあっさりと口からこぼれた。
そして横の佳菜は、涙を流しながら、いつ振りかの笑顔で答えた。
「……うん」
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