約束したよね?
「やったぁ!あたしの勝ち!」
結局海にもプールにも行かないで、家でゲームをしていた。
やっているのは佳菜の家に昔からあるゲームで、さっき押し入れから出してきた。
「……ねぇ、なんで私部屋の中で水着でゲームしてるの?なんか急に物凄く恥ずかしくなってきたんだけど」
さっきまでゲームで白熱していたのは何なのやら、今の自分の状況を見て、突然冷静になりだした。
さらに冷静になる事で、また自分の水着姿を恥ずかしがり出す。
「ねぇ、私だけが水着なのって不公平じゃない?」
「ならお前も服着ればいいだろ。あっ、その前に写真撮らせて。クラスで売りさばくから」
「ッダメに決まってるでしょ!……やだ、私が服を着るんじゃなくて、陽が脱いで」
「……は?」
突然何を言い出してんだこの人は。
「い、いや、俺水着持ってきてないし」
「いいじゃん、パンツで」
「やだよ」
ダメだこの人、テンションがおかしくなっている。
「もー!いいから脱いでってばっ!!」
「ちょっ!今はマジでやめっ!!」
俺の静止を聞かず、佳菜は逃げようとする俺の服を掴み、脱がせようとめくった。
しかしそれがいけなかった。
「なに……これ」
佳菜は青ざめた表情で言った。
佳菜が見たもの、それは俺の背中。
しかしただの背中ではない。
それはそれは、とても不健康な真っ白すぎる肌……ではなく、アザまみれの背中だった。
「ねぇ、これ、どうしたの?」
佳菜は動揺と焦りを含んだ様子で答える。
俺は慌てて背中を隠し、いつも通り笑顔を作って答える。
「階段から落ちたんだよ」
「嘘、階段から落ちたくらいじゃそんなことにならないもん!」
少し泣きそうで、震えた声で佳菜は言う。
その眼は本当のことを言ってほしそうに懇願しているようで、俺はため息をついた。
「はぁ、本当は喧嘩したんだよ。他校の奴と揉めてね」
もちろん、嘘である。
しかし本当のことを言う訳にもいかず、俺は嘘に嘘を重ねる。
「……ほんと?」
「あぁ」
「なんでそんなことになったの?」
「カツアゲされそうになったから」
「ねぇ、ホントのこと言ってよ」
もう一度、佳菜は目で訴えるように尋ねてきた。
普通の人ならこう嘘を付けば騙せるはずだ。
しかし今日の佳菜は誤魔化しが利かないようで、いつだか言っていた、「幼馴染は嘘をみぬける」というのが本当のことのように感じる。
そして、もう一度、泣きそうな目で俺に問う。
「ねぇ、何があったの?言ったよね。何かあったら私に頼ってねって」
俺が熱を出した時。佳菜は自分を頼らなかったことに怒って、俺にそう言った。
もしここで俺がまた嘘を付けば、佳菜はとても傷つくだろう。
そんなことはしたくない。
でも、本当のことを言う訳にもいかない。
悩んだ末、俺が選んだ行動は。
「……佳菜、ごめんっ!」
「ごめんって………何言って…んッ!」
………キスをした。
佳菜に。
思い切り舌を這わせて、蹂躙するように、貪るように、侵食するように。
佳菜は一瞬体が固まり、緊張するが、すぐに逃げようとする。
しかし俺は肩をしっかりホールドして、さらにより深く、深くに侵入する。
どれほどの時間が経っただろうか。
俺が唇を放す頃には、佳菜は目を回していた。
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