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自殺しようとしたら同級生に助けられた  作者: ゆめ
自殺しようとしたら、また同級生に助けられた
2/66

幼馴染と疎遠になって

「はよーす。おっ、今日は遅刻してないじゃん、二人一緒に登校してきたの?」


 教室に入ると、入り口のところでたむろしていたクラスメイトが話しかけてくる。


「はよ。起こしてもらった。うちの幼馴染は目覚まし機能付きなんでね」

「物扱いしないで」

「うらやましいなぁ。俺にもおすそ分けしてくれよ」

「胎児からやり直せ」


 しょうもない会話で笑いあって、自分の席へと向かっていく。


「おはよ、朝からお熱いね、お二人さん。式はいつ頃ですかな?」


 席に付けば、今度はまた別の女子生徒が話しかけてくる。


「あったとしても呼ばねえよ」

「えー。ブーケキャッチするの夢だったのに」


 挨拶のおまけのように軽口を交わして、すっからかんのカバンを机にかけているうちに、新しく教室に入ってきた生徒にも話しかけられる。

 朝から何人もの生徒に話しかけられるのは、単純にこのクラスでいい交友関係を築けたからだろう。


 普通入学して間も無い時期というのは、同じ中学同士で固まったりするものだが、同じ中学の友達なんていない俺は男女関係なく片っ端からいろんな生徒に話しかけ、そうしているうちにいつの間にかみんなと仲良くなれて、自然と他のクラスメイトのみんなも仲良くなっていた。

 いつの間にか俺がこのクラスのリーダー的存在になり、クラス長にも推薦でまかされることになった。


 そんな俺を見て、佳菜は「昔から相変わらずだね」と言っている。


 実際、昔から俺は友達を作るのは苦手では無かった。

 スポーツができるわけでも、勉強が得意なわけでも、凄くイケメンなわけでも無いが、明るい性格ではあるので、みんなと仲良くしようとしているうちに、自然と友達は増えていた。


 浅く広い交友関係は、変に気疲れしないし、誰からも嫌われない。それはとても安心できることで、俺はそれが気に入っている。


「ねぇ、陽って中学でもこんな感じだったの?」


 出席番号二番、俺の後ろの席に座っている佳菜は俺に問う。


「うーん。まぁこんな感じだったよ」

「中学校の友達に会えなくなってさみしくないの?」


 佳菜が尋ねているのは、せっかく中学校で友達を作ったのに、高校でまた引っ越しをしてしまって会えなくなるのはさみしくないのかという事だろう。

 俺は何気なく答える。


「さみしくはないよ。こっちでまた友達は作れるし、もう一生会えないってわけじゃ無いしな」


 俺の返答に、佳菜はにこにこと笑って、からかうように再び尋ねる。


「じゃあ、私と離れた時はさみしかった?……私はびっくりしたし、さみしかったよ。凄く」


 思い出すように、もの悲し気に佳菜は言う。


 入学二年、進級と同時に俺は遠い地域に引っ越すことになり、中学校も転校することになった。

 その時には佳菜とは疎遠になっていたため、特に引っ越しをするとは言わずに、勝手に引っ越した。

 突然幼馴染が転校したのだから、佳菜は大変驚いただろう。今思えば、一言でもいいから言ってやればよかったと思う。


 それでも今こうしてまた会えて、昔以上に仲良くなれたのだから人生何が起きるのか分からない。


 少し落ち込んでいる佳菜をからかうためににやにやと笑って答える。


「あんまりだったかな。あっちの中学で可愛い子いたし」

「そこは『僕も悲しかったよ~』でしょ。ばか」

「彼女面しないでください」

「私達なんて四捨五入して恋人でしょ」


 ……なんか幼馴染がめんどいです。


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