アイス
「なぁ、そろそろ機嫌直せって……」
体育祭が終わって、本当はクラスのみんなで打ち上げにでも行きたかったのだが、あいにくにも部活があったり、テントの片づけなどで、すぐに帰れる人がなかなかおらず、結局いつも通りに佳菜と二人で帰宅をすることになった。
「別に怒ってないもん」
「ぷりぷりしてんじゃん」
「してないもん!」
とまぁこんな感じで、今現在の佳菜は非常にご立腹である。
何故なら借り物リレーで、俺と三年生の先輩二人から公開告白を受けた挙句、その後のクラス対抗リレーで全校生徒から視線を受けたからだ。
佳菜は人前に立って目立つようなことをするタイプではないので、今日の出来事はとてもストレスだったのかもしれない。
……でもそれを言うなら全校生徒の前で告白してフラれた俺も不憫だよねぇ!!!!しかもちゃっかり一緒に下校してるし!気まずいよ!!!!
俺の葛藤も知らずにずっとむかむかしている佳菜。
仕方ないなぁ。
「ねぇ、佳菜」
「……なに?」
「アイスでも買ってく?奢るよ」
「……うん」
そのまま気まずい空気のままコンビニへ。
だがしかし、俺はわずかに佳菜の雰囲気が柔らかくなったのを見逃さなくなった。
これはきっとアイスでご機嫌を取られたのを察知されないように怒ったふりをしているのだろう。
ここで何か言ってもまた怒りそうなので、大人しく佳菜のためにちょっとお高いアイスを買ってやる。
二人でアイスを食べながら歩く帰り道。
佳菜の機嫌も良くなったところで、俺はあの話題を出すことにする。
「あのさ、告白の事なんだけど……」
自分で言っていてこの後どうすればいいのか分からなかった。
とっさにああするしかなかった。だから佳菜の事は何とも思ってないから。なんて言うのは佳菜に失礼な気がするし、俺自身、嘘を付いているような気もする。
実際の所、告白をしたのは事実なのだが、佳菜ならば冗談で済ませてくるだろうと思っていた部分もある。
だからもし、あの告白で俺が佳菜の事を好きだと思われていたのならば、その誤解を解きたい。
どうしたものかと気まずい空気の中で思考を巡らせていると、
「別に、気にしてない」
佳菜はそっと身を寄せ、顔を見せずにそう言った。
「あの状況で逆の立場だったら、あたしだって陽を選んでたと思うし、だからその……ちゃんとわかってるから」
続けざまにそう言うかな。
よかった。俺が伝えたいことはちゃんと理解してくれているみたいだった。
さすが幼馴染。
「でも」
「…え?」
そのまま平和に終わり、かと思いきや、佳菜はさらに続けて、耳を紅くして俺に言う。
「今度はちゃんと告白してよね」
解けかけのアイスを食べながら、その後の帰り道は結局無言だった。
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