借り物競争
また寝過ごしてしまった……今日2話投稿します
体育祭も進行していき、残す種目は借り物競争とクラス対抗リレーのみとなった。
俺は二種目とも出場する。
まずは借り物競争。
全学年の各クラスの代表一人が、それぞれ五組に分けられて行われる。
しかしそれにしても、ついていない。
俺が割り当てられたのは、五組あるうちの五組目、最終組だ。
この借り物競争、最終組に行くにつれ、くじに書いてある課題の内容が過激になるようだ。
お決まりの「好きな人」をはじめ、「嫌いな先生」「元カノ・元カレ」など、なかなか冗談では済まされないような内容まで入っている。この後に控えるクラス対抗リレーに向けての余興のような意味合いがあるのだが、なかなかに厳しい内容である。
同じ最終組のメンツを見て見ても、三年生を中心とした、いかにも陽キャと言った感じの人達が並んでいる。きっとどんなお題を引いても柔軟に対応できるような人選を実行委員がしたのだろう。
一組目がスタートし、続けて二組目、三組目。
一位の生徒のくじの内容が放送で告げられるが、化粧品、時計など、面白みに欠けるもの。
そして四組目、ついにここにきて、面白そうなお題の生徒がゴールした。
体操服を頭にかぶってゴールしたその女子生徒のお題は「イケメンの体操服」らしい。
しかし服をかぶる必要はあったのだろうか、はぎ取られた服を回収しに来ていたイケメンが苦笑いをしていたぞ……
会場にぼちぼち笑いが起きたところで、ついに最終組、俺の出番だ。
クラスメイトたちの応援の声が聞こえてくる。
うれしいねぇ。
空砲の音で一斉にスタートし、くじを引く。
「……嘘だろ……」
俺が引いたお題に失笑を浮かべているうちにも他の生徒たちは四方八方にお代を探しに散らばっている、俺も急がなくては。
そんな時、放送の実況の声が響いた。
『さぁ!始まりました最終種目!お題はすべて「好きな人」です!一着でゴールして想いを伝えましょう!』
お題の内容言っちゃうんかい……
放送の声を聞いて、グラウンドはより一層大きな歓声が上がった。
俺が考えたこと、まずは禿げの学年主任を連れてゴールする。
これなら受けは狙えるし、恥はかかなくて済む。
次に生徒会長。美人で気が弱そうで清楚で、実は前から可愛いなと思っていた。噂によれば彼氏持ち。
あとはクラスで仲のいい女子を適当に選ぶか……
そんなことを考えていると、聞きなれた声が聞こえた。
「え、え、ちょっ!あたしですか⁉」
その声の主は佳菜。
三年生の先輩に連れられ、ゴールに向かって走ろうとしている。
忘れていた、佳菜は乳がでかいだけじゃない。普通に可愛いのだった。
あまり目立たない奴ではあるが、顔が可愛くて、面倒見がよくて優しくて、乳がでかい女がモテないわけがないのだ。
このままいけば一着でゴールしてしまう。そうなればきっと、佳菜は告白されて、あのエロい体の佳菜はきっと体育祭が終わった後に夜の体育祭を行うに違いな……っと、混乱して変な思考になってしまった。
どうしようかと迷う、そんな時、クラスメイト達からヤジが飛ぶ。
「おい!市川!一宮取られるぞ!!」
「何やってんの市川君!姫が連れ去れてちゃうよ!」
「あっ!別に私でもいーよ!」
佳菜の方へと視線を向ける、その瞬間、佳菜と目線が重なった。
その眼を見た瞬間、俺は走り出していた。
「佳菜っ!」
俺は三年生の先輩に連れられる佳菜の手を引き、ゴールに向かって一直線に走る。
「ちょっ!」
『おっとー!一年の市川君、素敵なお嬢さんを横取りしました!』
おいおい実況、言い方!
そんなわけで、俺は三年生の先輩、佳菜と三人で一緒に一着でゴールした。
「ちょっと、陽!」
「ごめんって、ついつい熱くなっちゃってさ。先輩もすんません、急に乱入しちゃって……」
「……いいよ、でも一宮さんは譲らないぞ?」
「え?どういうことですか……?」
俺が困惑していると、興奮気味にやってきた実行委員の人が、俺と先輩、佳菜にマイクを手渡す。
『それでは、どうぞ!』
「何が⁉」
実況の声にツッこむが、何となく察してしまった。
これ、公開告白させられる奴だ……。
いつの間にかグラウンド中に響き渡る「告れ」コール。
「青春だなぁ」と生温かい目で見つめる先生。
顔を真っ赤にして、告白を待つ佳菜。
「はぁ…」
もう、逃げる事なんてできない。
俺は名も知らない三年生の先輩と共に、佳菜に向かって叫ぶ。
「「好きです!付き合ってください!!!!」」
「ごめんさない!!」
その後のクラス対抗リレーの佳菜は、それはもう大層目立っていた。
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