リレーメンバー
「うぅ、最悪だよぉ」
片瀬のおかげで高得点で追試をクリアした数日後、二人で返る帰り道、がくりと肩を落とす佳菜。
その訳はついさっきの七限に行われたロングホームルームでの出来事だった。
うちの学校で、年間最初に行われるイベントと言えば、夏前の体育祭である。
先ほどのロングホームルームではその体育祭で出場する種目を決めていた。
こういうのは大抵、運動が苦手な生徒は、綱引きや大縄跳びなどの、あまり失敗しても目立たなかったり、自分の力不足を他の誰かが補ってくれるような種目を選ぶのだが、佳菜は一番注目を浴びる種目であるクラス対抗リレーに選抜されてしまったのだ。
なぜ運動が苦手である佳菜がクラス対抗リレーに選ばれてしまったかというと、そもそもうちのクラスの体育祭に対する姿勢が関係している。
普通のクラスならばより多くの種目でいい順位を勝ち取り、クラス優勝を目指すのだが、うちのクラスの場合は違った。
うちのクラスはとにかく楽しければいいというスタンスで、運動の得意不得意関係なく、その場のノリと勢いで出場する種目を決めた。
佳菜の場合も、『一宮がリレー出れば面白そう』みたいなことを誰かが言ったことがきっかけで、普通なら運動が得意な生徒が出場するはずのクラス対抗リレーに出場することになった。
ちなみに、クラス対抗リレーの他のメンバーは、陽キャ、この前カラオケでアニメソングを熱唱して一躍クラスの人気者となった普段は大人しい性格の子、クラスで一番可愛い女の子、クラスの芸人、俺、などなど……走力関係なく、とりあえず面白い友達をたくさん集めたみたいなメンバーになったので、最下位は確定だろう。
まぁ、その中でも佳菜はぶっちぎりで足が遅いだろうが……佳菜にはみんなの笑いのネタになってもらおう。
「うぅ……今から練習したら足速くならないかなぁ」
「いいじゃん足遅くたって。別に嫌いじゃないよ、佳菜の走り方。面白いし」
「それが嫌だって言ってるんでしょ!もぉ!なんでみんな止めてくれなかったの⁉」
佳菜がクラスのみんなに半場強引にリレーに出場させられそうになっている時、止めようと思えば止められただろう。誰も佳菜を嫌な気持ちにさせてまで出場させようとは思っていないだろう。
しかしあの時は俺も悪乗りというか……佳菜がみんなの前で顔を真っ赤にしては知ってるところを想像してしまって面白そうだと思ってしまったのだ。
「大丈夫、誰もお前の足が遅い事なんて見てないから。みんなが見るのはそのぶるんぶるん揺れる乳だ!」
「だからそれが恥ずかしいって言ってるんでしょ!!!!」
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