表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/110

プロローグ:仕事が嫌いです

働くのが嫌なモラトリアムOLの心の声で始まります。初っ端からうだうだしますがすみません^^;


「……はぁ……」


私は何をやってるんだろう。


そう思って、何度目ともつかないため息が出る。


こんなことして生きてても、ほんとしょうがない。


この世から消えてしまいたい。


私がいなくなったところで、家族は悲しむかもしれないけど、穀潰しになってお荷物になるより、マシなんじゃない?


そんなことすら最近はよく頭に浮かぶ、

かといって、死ぬ勇気もないけれど。



本当に、この人生が意味をなしていない。



私は新卒、社会人一年目。


地元の会社で事務員をしている。


就活らしきものはそんなにしていない。


何も、やりたいことなんてなかったのだ。


むしろ、仕事と名のつくものは、私のやりたくないことばかりだ。


苦痛なことをして生きていたって仕方がないとしか思えなくて。


求人に応募すらできなかった。


どうせ上辺の志望動機などすぐバレるんだろうし、突っ込まれて聞かれたら答えられない、と思うと、何もできなかった。


だが卒業後プラプラしているわけにもいかず、父のコネで今の会社に就職することになった。


引きこもる勇気もまた、なかったのだ。


……別に父に頼んでも何してもいないのだが。


昔から、敷いたレールに乗せたがる父が一方的に話を持ってきて、就職しろと迫ったのだ、ニートやフリーターの面倒を見る気はないと言って。


分かっている。


父の言うことは正しい。


自分でなんとかしますとも言えないしできなかっただろう私は、就職の話を受けることにしたのだった。



会社はブラックというわけではないし、人間関係も悪くはないけれど、


仕事に囚われている毎日の生活がとても苦痛だ。


それに昔ながらの体質なのか、上司は定時に上がらない。

上司が帰らないのに定時に帰る勇気は私にはない。

急ぎの仕事もないのに会社に残っているなんて、人生を損していると思うのだが、自分の中でストレスを溜めるだけで、どこにも出せない。

多分誰に聞いても、そんなの当たり前と返されるだけだ、

ブラックよりよっぽどいいとか、実家暮らしで就職先もあって恵まれていると言われるのがオチだ。


恵まれているのは認めるが、親のレールに乗っている人生なんて意味がある気がしない。


でもそこから抜け出す根性もなくて、ひたすら自己嫌悪するだけなのだ。


抜け出すには経済的に自立して親元から離れるのがいいのだろう、

経済的自立になればと思って就職の話を受けたのもあった。


だが実際は、仕事して家に帰るだけの生活なのにわざわざ家事とか背負いこんで一人暮らしする意味がどれだけあるんだろうと思ったし、家を出るということを親に言えなかった。


それとなく仄めかしてみたこともあったが、家から通えるのに家賃や生活費がもったいないからと反対された。それを押し切るほど一人暮らしがしたいわけでもなく、反論はできなかった。


それに家を出てしまうと、今の会社を続けなければならなくなるし。


***


残暑厳しいその日も、そうして自己嫌悪に陥りながら、私は帰途に着いていた。


電車を降りると、むっとした熱気が肺に入り込む。


夕方なのに暑さは全くやわらいでいない。


いつものように家へ向かっているのだが、この日は何だか足元がフラフラする。


今日は日中、先輩の出張に同行したのもあって疲れたのだろう。



尚も歩いていると、だんだん目の前が歪んできた。


あれ、まずい、何これ。


熱中症なった?


フラついて、思わずその場に座り込む。


……あ、やばい……


スマホを取り出そうとカバンに手を入れたところで、意識が途切れた。


…………

…………



そこは、今まで歩いていた道でもなく、自宅でもなく、病院でもなかった。


「…………」


目が覚めた時、目の前に広がる光景に驚きすぎて、声も出なかった。


…………


なに、これ。


なに、ここ。


いや。いやいや、夢だよね?

私、道端で倒れたよね多分。


死んでは……ないよね?


だってお花畑じゃない。


目の前にあるのは。



どう見てもヨーロッパ的造りの、お城の一室みたいな広い部屋、

そして、いくつもの楽器だったのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ