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聖女の守護者(お兄ちゃん)  作者: 山石 土成
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第5話 少し昔の話をしようか? (注、零歳児)

この世界が何なのか?俺には判らない。

何故か俺の中には生まれる前の『俺の記憶』が有る。

マクートと云う現世の前、前世の記憶しかし、記憶が

有るのに俺の前世の名前が思い出せない。

前世の家族の事なら些細な事でも覚えている。

オヤジの書いた絶対ヒトには見せられない

訳判らんポエム、何だよ!その薔薇に君の名を重ねる

って、母ちゃん般若通り越して大魔人迄覚醒させたい

の?ねぇ?バカなの?家庭崩壊を企んでいるの?

母ちゃんは母ちゃんで冷凍庫のミックスベジタブルの

中にヘソクリ隠して居るし、諭吉さんが仄かに臭うん

です、止めて下さい。


こんなどうでもいい記憶ならドンドン溢れる程に出て

来るのに、何故か?家族の名前が思い出せない。

ただ、そんな明るく楽しい家庭の一員で有った事は素直

に嬉しいし、俺の誇りだ。

周りに流されるままに、目的も無く高校に入りそして

大学迄行かせてくれた、両親には感謝しかない。

いつもと変わらない大学生活のなかでそろそろ本格的に

就活準備もしないといけない時期に俺は出会った。

有る1枚の写真に。

その写真にはどんな目的で、誰が撮影したのか?すら

判らなかったが、俺を惹き付け人生を決定付けた。

その写真にはただ、南極の景色が広がっていただけだ。

青と白の二色の天然のストライプがどうしようも無く

俺を魅了し「此処に行きたい、行かなくちゃいけない」

と、思い込むようになっていた。

時代は長引く不況から脱しつつも、それでも安定を求め

る人間には公務員は魅力的な選択なのだろう、人脈で就

活する大手一部上場企業より、試験に上位で通れば実力

で成り上がれる人付き合いも程々な自分にもチャンスは

有るのも魅力だった。

そんな自分も受けた『自衛隊幹部候補生課程』には不況

の煽りかなりの応募人数が集まった。

俺の人生史上あの時が1番頑張ったと思う。

両親も息子が公務員?安定的でいいんじゃない?

と、肯定的に捉えてくれた。

そして俺は江田島に有る海上自衛隊幹部候補生学校に

無事入学する事が出来た。

自衛隊の事など全く知らない世界の人間が1番競争率の

激しい『南極観測船勤務』等、夢物語でしかない。

判らなかった事はガンガン教官に聞き、格闘術や航海術

等経験したことも無いモノも、がむしゃらにトライして

少しでも経験が有る人物に色々と教わってきた。

後でその行動を後悔する日がやって来るが、その時は

最善を尽くす様に行動してきた。

そんな中で色んな人物と友人に為れたことは今でも俺の

宝物だ、その後色々とあり自衛隊も官僚組織の公務員で

ありその限界を知った時、自分のなかであれ程に情熱を

燃やした『南極の景色』が何も無い冷たい世界に感じた

時、俺は自衛隊を去った。

一緒に江田島で地獄の訓練をやり抜いた同期はお別れ会

を開いてくれた、自分の趣味の世界になった、車やバイ

ク、サバゲー等はこの時、この仲間に教わり除隊後も

友人として付き合ってこれた。


女性関係にだけは恵まれ無かったよなぁ。


外からは月明かりなんだろうか?淡い光が外から漏れて

来る。


自衛隊を除隊した後、俺は運送会社に拾って貰えた。

運良く其所は俺の実家から通えるので実家にまた戻って

来た、母ちゃんは笑って「お帰り」と言ってくれた。

オヤジは黙って普段は飲まない酒に付き合ってくれた。

そんな優しい家族だったんだ。

(ゴメン、オヤジ、母ちゃん、もう会うことも出来ない

親不孝者だけどさ、現世はこの子を守り抜くよ)


現世の俺の妹、マーシャの穏やかな寝顔を見つめる。

色にはあまり詳しく無いけど、ハニーブラウンって

いうのかな?キレイな明るい茶色の髪の女の子。

「来世で逢おう」

ちょっとマイナーな映画のセリフ、銃弾を避けるので

有名になり、その後は銃弾をばら蒔く映画の主演男優が

日本公開主演デビューを果たした映画のセリフだ。

悲しいけれど、もう一度言うよ?女性関係には恵まれ

無かったんだよ俺はっ!!!

俺、来世で出逢う運命の女性って、前世にいなかった

よなぁ?

この子にも前世の記憶が有るのかな?

どんな前世の人だったんだろう?

淡い光に照らされて眠る女の子は静かな寝息を立てて

夢の中にいる。

現世には魔法が有るらしい、両親の出自もかなり危険だ

おまけに妹は(聖女)って、どんな物語の主人公やねん。

そんな自分は・・・・右手と左手を合わせ南無〜っと

やっていると、頭に文字が浮かび上がって来る。

其所には・・・ マクート(お兄ちゃん)の、文字が

浮かび上がってきた。


「あうぶっあぁぁぁ!!」

(なんじゃこりぁぁ!!)


俺は静かに漏らした。あらゆる意味で。











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