第43話 嫌〜of the dragon 強襲編?
春半ば、燕が納屋の軒下に巣を作り
後は、雛が元気な声を聞かせてくれる
事を、祈るのみの我が家に変化が2つ
起きていた。
変化その1はお姉さんに貰った卵がやっと
孵った事だ、なかなか孵化しないので諦め
ようか?と思ったら、その日の夕方に卵が
孵化したのだ、俺が夕飯作りの最中に卵が
割れる音に気が付いたマーシャが、それを
見守り無事に雛が誕生したと思えば、少し
違う事態が発生していた、いや!普通さ卵
からは雛が生まれるもんじゃない?
それなのにアンタら何で、生まれて直ぐに
飛べるのよ?
しかも見た目がヒヨコちゃんなのに?
そして、止め怪しさはヒヨコの羽毛なのだ。
金の羽毛と銀の羽毛を持つヒヨコって!
あれか!金なら1羽で銀なら5羽でおもちゃ
とトレード出来るシステムか?
それとも、これから遅れてパールが生まれて
来るのかね?
まあ、無事に生まれてヨシとするが名付けは
俺が担当することになった。
「お兄ちゃんが付けて!」と満面の笑みの
マーシャのお願いを断る事など俺の辞書に
載ってはいない!何れ程、改訂版が出よう
ともだ!
ってな訳で、金の鳥はキーサ、銀はギーサに
決定した、共に百年生きてくれ!
因みに、キーサとギーサを見たママンが
目を『マスク・ド・ガラス』にしながら
精霊鳥が2羽も家に!と、呟いていた。
聞かなかった事にしよう。
パールが来たらパーサは決定事項だ。
そして変化その2はターブランが冬眠を終え
我が家に帰って来たことだ、俺も友達の帰還
は嬉しいが、マーシャはソレ以上に喜び
今、現在マーシャの枕元にはオカリナと
ターブラン、キーサと、ギーサが寝ており
非常に賑やかなベッドと俺の寝床はなって
いる。
(しかし、ターブランと寝るのは何ヵ月振り
なんだろうな?)
(そうか?私は其れほど時の流れを感じぬぞ)
うわぁ、流石長い時を生きる四聖様だ
月単位はついこの間の感覚ですか?
(そう感じるのはターブランだけかもな!
マーシャの喜びっプリは凄かっただろう?)
(ハハハ熱烈な歓迎を受けたな、やはり子供
には1つの季節の流れは長いのか?)
(そうだな、俺もマーシャも今は4歳だ年が
1つ違うのは子供には大きいな)
(そうか、我らと子供の時の流れは其れほど
違うのか、私も知らぬ事が多いな)
謙虚だわぁ、この大福餅は謙虚の権化かね?
この世界の頂点に位置しながら、ここまで
謙虚だと俺が増長出来ないわ!
(本当に俺は友達に恵まれたよ)
(うん?どうしたマクート)
(ターブランが友達でいて俺は幸せだよ)
(それはどういたしましてだな
お互い様だよマクート)
こうして、我が家の平和な1日が終わり
新たな日々が、やって来る事になるのだが
以前、我が家に辺境領主と髭ダンディーが
親子で御来場した時の話だが、追加報告が
執事のデニスさんから入った。
辺境領主と髭ダンディーの親子
が我が家にやって来た時と同じく、賊の五人
が何故か?隣のドワーフ一家を襲撃する事件
が発生し、デッチの中途半端な情報で
我が家に賊がやって来たと、勘違いした俺は
覚悟を決めて飛び出せば、無駄に自分が危険
になっただけの事になり、後に辺境領主様の
執事デニスさんによれば、辺境領主を狙った
犯行に間違いは無いが、まさか猟師の家に
お忍びで向かう事は想定外の事で、隣の
ドワーフに、武具を作る依頼をするモノだと
思い込み、襲撃したとなんともお間抜けな
出来事が発生したが、辺境領主様はこの機会
に情報漏洩の原因を突き止め、敵国の諜報
組織を壊滅できた!と、御満悦でその褒美と
言ってはアレだが、妹のマーシャとソフィア
ちゃんの友達関係は、お互いの納得行くまで
続けても構わない、つまり死ぬまで友達関係
でもそれは構わない事を意味し、マーシャの
世界が更に広がる事になり、俺もそれは命を
掛けた甲斐があるって事で納得する事にした。
そんな、荒波に揉まれた日比を乗り越え
俺は、春の平和な1日を謳歌してやろうと
釣竿片手に湖に向かう途中で、物凄く残念
な表情で、我が家の軒下を見つめるマーシャ
とデッチを目撃し、マーシャに話を聞いて
見る。
「マーシャどうした?蜂が巣を
作りだしたか?」
軒下を見れば何も無いのだか?
「ううん、あのね笑わない?」
「おう!マーシャの悩みを笑うヤツは
兄ちゃんに言え?地獄の果てまで行って
やるからな?」
おう!マジでやるぜ?
「あのね、干し柿ってもう作れ無いの?」
うん?想像した話と違うが最後まで聞こう
「そうだな、今年の秋に柿が実らないと
準備出来ないな、マーシャは干し柿が
気に入ったのか?」
「うん!デッチィと一緒だともっと美味しい」
よしデッチ、お前を埋めて俺は生きる!
(イヤ、旦那?辞めて下さいよ?)
(どうした?俺は何も言って無いぞ?)
おう!殺意マシマシの笑顔だがな?
(ならその気配を辞めてくだせぇ、背中が
冷えて仕方ねぇですって)
ちっ!野生動物の勘は侮れんな!
兎に角、マーシャには新たな甘味を用意
してやるからな?
「ならマーシャ、兄ちゃんに少し時間を
くれないか?10日程で干し柿に変わる
ヤツを作ってやるからな?」
「本当!やったぁ!デッチィ一緒に食べよ!」
よし!デッチお前は灰にしてくれるわ!
(だから旦那ぁ〜とばっちりですぜぇ?)
そんな訳で!俺とデッチのお料理教室が
始まる訳だ!デッチ、マーシャの為に屍
を晒せ!
(旦那?意味が不明ですぜ?)
気を取り直して、行って見よう!
マーシャに新たな甘味を、与えよう!
麦芽水飴作成大作戦!発動!!
作戦その1
先ずはパパンにおねだりして買って貰った
大麦を用意します、大麦は4歳の俺の手の平
一杯位で良いか?秤が無いから感覚勝負で
ある。
作戦その2
大麦を水にヒタヒタに浸して
大麦が発芽するまで放置プレイ
(旦那、放置プレイって何っすか?)
(知りたければ、死んで転生しろ!)
(あっ!辞めときやす)
作戦その3迄に少し時間が有るので
必要な物を作ります。
「マーシャ準備は良いか?」
「うん!何するの〜?」
いやぁ、マーシャは優しいファンタジー
に生きているんだな?
頭にターブランを乗せて、両肩にキーサと
ギーサを乗せてまさにファンタジー少女で
ある、兄ちゃんにもそのファンタジーに
入りたいぞ?いや!マジで!
先ずは粘土をコネコネして空気を抜きます。
そして、ここでファンタジー世界の真骨頂
魔力操作で轆轤モドキの動きで
粘土の形を整えます。
マーシャは楽しそうに笑って作っている
けど、何を作っているのか兄ちゃんには
解らないよ?
マーシャは遊んでるから、俺はガチで
4歳児の手の平で、包むよりやや大きい
壺を2つ作る、もちろん蓋付だ。
この壺と蓋を、魔力操作で水分を飛ばし
乾燥させてから、素焼きします。
2日焼いて、3日冷まします。
冷ましたら、釉薬に浸します。
ぶっちゃけ、暖炉と釜戸の灰を水で溶いて
簡単に濾した物で、釉薬とは言えないが
モドキとは言えるだろう?
これをデッチに作って貰った、地中窯に
セット!燃焼!3日位焼くか?
火の管理宜しくな!デッチ!
作戦その3
1週間が過ぎて、大麦から麦芽もやしが
出来ました!これを水から出して乾燥
させます。
この間作った壺が、焼き上がったので確認
してみましょう!
アレ?割れずに出来てる!
色合いは斑な薄緑ではあるが、光沢もあり
初めての作りでは上出来だな!
売り物にはとても為らないが、充分使用に
耐える物が出来た事に、満足しよう!
作戦その4
麦芽もやしを1日置いて乾燥させました。
昨日と今日は天候に恵まれて良かったです。
乾いた麦芽もやしを、すり鉢に投入し
良くすり潰します。
(頑張れよ?デッチ)
(こんな事だろうと思いやしたよ)
作戦その5
本来ならここで、もち米を使用するのだが
そんな物は、この世界の何処かには有るの
だろうが、今は無いので紙作りで使用する
澱粉糊を使います、芋から作ったから充分
食用になります。
さて、大鍋をセットします。
この鍋は大物が獲れた時以外は使わない
ので、パパンには大物は狩るなと伝えて
有ります。
マーシャの為だ、数で補え!ブロディ!
さて大鍋の半分位?に澱粉糊を投入して
トロトロの澱粉糊を温め、磨り潰した
乾燥麦芽を投入します、トロトロが
シャバシャバになるまで投入します。
って、結構早くシャバシャバになるのな!
これを1日置いて馴染ませます。
作戦その6
ここからは時間と火加減の勝負です!
一気に仕上げましょう!
先ずは、強火で沸騰させましょう。
今、現在の量の半分になるまで沸騰
させます、この間灰汁が腐る程出ます!
根気よく、取り続けましょう!
なんだろうな、本当に苛立つ位に出るな?
マーシャの為で無ければ、やさぐれるぞ?
作戦その7
灰汁を取りながら、半分になったら
火を弱めて、更に煮詰めます。
トロントロンになればもう少し、好みの
固さ迄、煮詰めて完成!
予め、作った壺に移しましょう。
って、かなり残ったなどうしようか?
「マーシャ、お母さんに何か使わない
食器が無いか聞いて来てくれないか?」
「うん!判ったぁ、お兄ちゃんターブラン
をお願いね!」
マーシャは俺の頭にターブランを乗せて
家に行ってしまった!どうしよう?
身動きが取れないぞ!
「久しいな、玄武達者でいたか?」
(青龍か久しいな、何時振りであろうな?)
あん?ターブラン?どうした?誰かいるの?
後ろを振り向いたら、長い黒髪の美女が
そこにいました。イヤ絶世の美女って言って
も良いと思う位に物凄く美人です。
とりあえず、ここは浮かれずに弁えて行動
しよう!お兄ちゃんらしく見本に
為らないとね?
「いらっしゃいませ、何方に御用ですか?
父ならまだ、街にいますよ?家で待ちます?
母なら、家に居ますからご案内は・・俺無理
だわ!水飴を容器に移さなきゃ!」
あっ!いっけね!心の声も一緒に出たわ!
恐る恐る、美人のお姉さまを見たら。
目を大きく見開いて、固まっていたと思ったら
大声で笑われました、なんでぇ?




