第4話 ギャン泣きする子に★星戦争☆
わが名はマクート、いずれ幾千の星の塵芥にならぶ者
成り。
と、まぁ物凄く大袈裟に自分が小物であるかを説明させ
て貰った訳なんですがね。
何でか知らないけれど、俺が触れるモノの名前や来歴?
或いはRPGのクラスやら職業が判るような仕組みになっ
ているんだけど、判らんっ!!!何故かは判らん!
だって、お母様の指先をにぎにぎしてたらさぁ
エレノア(アルスター公爵家長女)
なんて頭に浮かぶだけど、いやビックリしたさ!!
心臓が止まったよ?コンマ何秒の間!
ママン貴方は何者なのよ?だってさぁ、公爵よ?
5爵位最上位やん!其所の長女がこんな所で何してはる
んですか?
パパンもパパンで髭をグイグイ引き抜いていたらさぁ
オイゲン(アルスター家騎士団・団長)
アンタらアレか?駆け落ちしてもうたのか?
花も嵐も踏み外してしまったのかい?
公爵ゆうたら、皇族?王族?ですやん、やんごとなき
お方でっしゃろ?
あっかぁ〜んっ!!!見つかったら一家滅亡ですやん!!
俺とマーシャは生まれながらのお尋ね者なの?
シャレにならん状況なのに、この家の雰囲気は明るい
笑顔が絶えない位に明るい家族だ。
とりあえず、何年後かには絶対聞かなくちゃいけない
から覚悟だけはしておこう。
問題の先送りという日本人由来の必殺技を決めた所で
新たな問題も浮上してくる訳で・・・
妹のマーシャの激しい夜泣きだ。
何事かと隣を見れば淡く光るマーシャが死ぬのでは無い
か?と、心配したく成る程泣き叫んでいた。
(どうした?怖い夢でもみたのか?)
固く握られた手のひらにそっと優しく自分の手をのせ
少しでも安心して欲しくてにぎにぎしてみると頭の中で
マーシャ(魔力暴走中)
等とフザケタ文字が浮かび上がってきた。
前世、姉の結婚相手は残念ながら、酒癖が悪く酔うと
姉とまだ赤ん坊の姪っ子達に手を上げていた。
「このままではこの子達が・・・」
そう思った姉は全身アザだらけで俺達の住む実家に逃げ
帰ってきた。
姉を一目みた母ちゃんは泣きながら、姉と孫を抱きしめ
「もう何も心配しなくていいからね、ずっと此処にいて
いいんだからね」
涙で顔がぐちゃぐちゃに為るまで泣いていた。
俺はどんな顔をしていたのだろう?
オヤジに只一言「クルマ出してくれ」
オヤジは何も言わず、クソ野郎の家に向かってくれた
降りる際、「ヤるなら俺がヤる」オヤジは静かに告げて
きた。
俺は努めて冷静に「ヤりはしない落とし前は付けてさせてくる」
オヤジを車に残し野郎の住む部屋に入って行った。
俺を目にした奴は「やぁ〇〇くんどうしたんだい?」
へらへらと酒臭い息で話しかけてきた。
(状況中は自分を最初に消せ)
込み上げてくる怒りをその言葉で感情に蓋をして台所
から万能包丁を手にして行くと、やたらとヤツが泣き
喚いて煩かったが、俺は無言でヤツの着ている服を破り
捨てて、全裸に剥いてアイアンクローを決めたまま車に
戻り、ヤツの実家に向かった。
着いた先ではそりゃ大騒ぎだ、結婚した息子が相手の
家族に全裸にされて帰って来たもんだから、御近所様に
も聞こえる様に大声で事の顛末を話してやったね。
その後はきちんと、剥ぎ取れるモノは剥ぎ取り此方に
有利な条件で別れることが出来た。
「人生もうどうなっても構わない位、自棄になる事も
有るだろう?」
只一言、奴の御両親にはそう言って釘を刺しておいた。
何が言いたいのか?だって?
俺は女性や子供、ましてや赤ん坊を泣かせるヤツやモノ
が大っ嫌いだ!
魔力だか、馬力だか判んねぇけどなぁ、俺の大事な妹を
泣かせるじゃねぇよ。
俺は繋いだ手に集中した、「魔力暴走」ってなんだ?
そもそも魔力ってなんだろう?いや、字面から考えたら
魔法の元?魔法が有るの?多分其れっぽいんだろうけど
さぁ、等と考えていたら物凄く熱いナニかが体の血管を
通じて侵入してくる。
(うわっ、なんだコレ?熱いし気味悪い!)
心臓は激しく脈打ち、横隔膜は空気を取り込もうと肺を
限界迄動かし、肋骨に阻まれて胸が物理で痛い。
コレ、アレだ!限界を超えて短距離走をしている様な
もんだ。
問題は体を動かして無くて、体内の「魔力」ってヤツが
原因なんだろ?
コレは痛いな、辛かったなマーシャ今、兄ちゃんが楽に
してやるからな。
この熱くて気持ち悪いヤツが「魔力」なんだろ?
(よっしゃぁドンドン来いやぁぁ!って、嘘ですもう限界
何です、俺も破裂しそうなんです)
なんツウカ、こうアース的に逃がせるモノが有れば良い
んだよなぁ。
そこでふと、俺は気付くマーシャを掴んだ左手からこの
熱くて気持ち悪いヤツが入って来ているんだから、右手
から逃がせば良いんちゃう?
よし!やってみっか!!駄目だったら俺が破裂するけど
気にすることじゃねぇな。
イメージは吸引力の落ちないアレのモーターで吸いまくって、右手の指先から放射するイメージで行こう。
悪いな魔法なんて便利そうなモノの無い世界からこっち
は来てんだからよ!
だから気味悪いから俺とマーシャの中から出て逝きやが
れ!!このクソッタレめっ!!!
そう念じて右手を高く掲げると指先から白く輝く星の様
な粒々のモノが放射されていく。
それは暗闇の中で宇宙を思わせる神秘的な景色を生み出
していた。
コレはアレだわな、「遥か遠い昔宇宙の彼方で・・」
で有名な宇宙的叙事詩なヤツですやん!!
それと同時に吹奏楽器で始まるあのフレーズが頭の中で
浮かんできた。アレだよアレ!!
アレ好きだったなぁ、また何度でも観たくなる程中毒性
が高いのが良いのよね。姪っ子達は第6部がお気に入り
だったなぁ〜。
そんな前世の事を思い出していたら、目を丸くして驚い
た表情のマーシャが目に入って来た。
もう、苦しそうに泣き叫ぶ様子は診られない、俺はただ
にこりと笑って意識を手離した。
ただ、その後やって来たパパンとママンが驚き腰を抜か
した事を知るよしもない。