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聖女の守護者(お兄ちゃん)  作者: 山石 土成
34/52

第34話 和紙は舞い降りた。

思いついたから、仕方ない。





未だ寒さ厳しい、真冬のラッケスワーニュ(白鳥湖)の

畔に建つ我が家、昨日の寒さはまた一段と厳しく昨夜は

吹雪の様相を呈していた。

外から聞こえる風吹く音に、マーシャが怖がりどんなに

宥めても、風が絶え間なく吹きすさぶのでママンの提案

で「皆で寝ましょう!」「そうしましょう!」

間髪入れずに、俺が賛成したので今日は家族皆同じ寝床

で御就寝となった。


「3歳の子供なんだから普通は家族と寝るのは当たり前

じゃ無いの?」

前世の常識を当て嵌めれば、そうだが我が家の事情は

少し違う、パパンは猟師である猟師の1日は日の出前に

始まる、そんなパパンと一緒に寝てたら子供の夜泣きの

寝不足で、不測の事態になってしまったら我が家が詰む

また、朝早く動き出すパパンの準備をママンも手伝う

ので、大人が二人『ガサゴソ』していたら流石に起きて

しまうので、我が家は子供と大人のベッドは離れている

わけだ!

『明るい家族計画』の為では無い! 多分?


明けて翌朝、辺り一面は『銀世界』だ!

マーシャも始めて雪を見て興奮しているみたいだ、外に

飛び出そうとするマーシャを宥めて、お互いがモコモコ

になるまで服を着込み、両親は俺達を見て笑い。

マーシャも俺もつられて笑う。


一頻り、雪を堪能したマーシャは寒くなったのかママン

に引っ付き、朝のお遊びはそれでお開きになった。

因みに、この日はパパンに朝食を準備して貰っている。

俺とパパンの『紳士協定』みたいなモノが結ばれている

からだ、猟師は天候に左右される所が有るので毎朝狩る

訳ではない、天気が悪く狩りに行けない時はパパンが

それ以外の時は俺が作る、二人の思いは1つである。


『ママンにやらせるな!』


最近はマーシャも理解し始めたのか?始めの頃は俺に

「あちょぼうよぅ」と頻りにおねだりされたが、今は

ママンに料理を作らせない様に進んで、ママンの相手

ストッパーをやってくれている。

ナイスだ!マーシャ!


家族三人が一丸となり、『朝の危機』を無事に乗り越え

ると、マーシャはママンと文字や数字を遊びながら学ぶ

俺は早々に、ママン学校を卒業しているのでカジテツに

勤しむ訳だ、この季節は消費が著しい薪割りをして

パパンは森に入り、薪に使える木を伐採しに行っている

薪の入手は死活問題である、今日パパンが伐採しても薪

になるのは早くても二年は掛かってしまう、しかし足り

なければ『死』あるのみなので、備蓄は有れば有るだけ

用意した方が良い。


さて薪割りも済み、もう1つの問題も片付けなければ

行けない!『食料問題』だ!

基本、この時期は芋と保存食である塩漬けやお酢漬けの

野菜だが、それだけでは寂しいので湖があるなら魚を

釣りましょう!と、言うわけで釣竿片手に何時もの場所

にやって来た訳だが、ここで前世の記憶を刺激される。


風が止み静かに佇む湖面には、雪化粧を施した大山脈や

森の木々、そして澄み渡った青空が映し出され拡がって

いた。

前世で見た『南極の景色』の様に白と青の二色のストラ

イプが俺の目の前に拡がる。

あぁ、前世の様な構図ではない、そもそも場所が違う

それでも、この二色の天然のストライプを見たくて俺は

頑張って来たんだ、頑張ったんだ、情熱は覚めてしまい

諦めた景色が、今、俺の目の前に拡がる。

涙で景色が滲む、あぁ脳裏に、目蓋に強く焼き付けたい

のに、強く思えば思うほど、景色が滲んでしまう。


神様ってヤツがいたら感謝するよ、思いがけない特典を

貰い、俺は誓った猛虎杭打ち91は勘弁してやると。


さてと、一頻り感動した後は我が家の切羽詰まっている

食料事情を片付けなければならない、おちおち感動すら

出来ないファンタジー世界だ、やはり猛虎杭打ち91は

必要かもしれない。

因みにこの日の釣果は、三匹の鮭みたいな魚だ。

パパンはこいつの皮を炙って、酒のお供にするのが

お気に入りらしい、ママンとマーシャは皮は苦手みたい

なので、喜ぶであろう。感謝せよブロディ!


一晩明けて「思い立ったが吉日」の諺に従い、デッチを

召還する。

「ダンナ、また辺鄙な事をやらせるんで?」

コイツ石鹸作りの事を根にもってやがる!

「辺鄙な事とは何だ!辺鄙な事とは!これはマーシャの

情操教育にも必要な事だ!」

俺は熱く、マーシャの情操教育の必要性、お絵描きの

重要性を説いた。

「それで、必要なものが『楮』ってヤツですかい?」

「イヤ、重要なのは樹皮が固くしなやかな木なんだが

知ら無いか?」

「それなら、ソコにあるトュリドーが良いのでは?」

「トュリドー?」

俺はデッチに言われた、トュリドーなる木のもとへ行く

今は冬なので葉は全て枯れ落ちており、根本の枯れ葉を

見て見ると、ビンゴ!楮の若木の特徴である三叉の葉が

ソコにはあった。


原材料は確保した、次に必要なのは漂白剤と(のり)

ある。

「根っこを水に浸けるととろみが付く木?そんなの有る

んですかい?」

森の賢者もトロロアオイは知らんか〜、昔の人は良くも

見つけたモノだ。

「ならば、芋からデンプンで代用するか?」

現代の紙の糊はデンプンだったからな、問題は必要量が

全くわからない事だ。

漂白剤として、重曹も必要だがここには代用の石灰が

有るから問題無い、街の一般住宅の壁材になるくらい

豊富に有るのだ、費用は高く無いだろう。


一応、この世界にもちゃんと紙は有るのだが王室が厳重

に管理運営しており、その製造法はyour eyes only

重要度の高い国家機密に指定されている。

その為に紙はトンでも無く高いのである、しかし緒貴族

様達は報告書を書くのに大量の紙が必要であり、指定

された王国紙を言い値で、買わされ貧乏な貴族様は

借金でエライ事になっている。

巧い国家運営で有る、お陰で参勤交代みたいな行事は

しなくて良いが、我がシェール辺境領みたいに豊かな

地方は、周りの貧乏貴族の保証人を強要されて陳情に

やって来るお貴族様の行列は、春の風物詩である。

がんばれーアルティメット・ヒーロー(棒読み)


そんな高価な王国紙を、マーシャのお絵描きに使うなど

我が家の経済は五秒で破綻するわ!

何処の大富豪もなし得ない事である。


つまり紙と塩が、この国の王室の生命線である。


因みに現在の王室は、すこぶる評判は悪い!

何十年前に有ったスキャンダルが、国を二分する直前

までになったのである、お陰で現国王は妃探しが難航

して、隣国を挟んだその隣の国のお姫様を妃に頂戴した

からお陰で、隣国と争う事になって、そりゃ国民に

は利が無く、とばっちりはバッチリ来たので、評判が

良いわけない、因みにその反省で今回の『お世継さま』

は既に王権を以て婚約者を選定済みである。

まぁ、こんな田舎に住む俺には関係ないね!

今は『マーシャに豊かな情操教育をお絵描き編』が

とても忙しいのだ!


そんな所で紙を作って大丈夫なのか?

大丈夫!こっちにはデッチという、森の賢者様がいる!

いざとなったらマーシャの為に星になれ!

骨は処分してやるからな!化けて来ないように!


さぁ、王家への反逆の紙作りを始めよう!


工程その① 材料を確保して蒸す。

今回はお試しバージョンの為、少量で短く揃えた枝を

使う。

蒸す為の燃料が使えないから、普段の湯沸かしのついで

に蒸すので、大量にやるなら手段を講じなければならん

実はコレで頭痛が痛い。


工程その② 蒸した枝の皮を剥ぐ。

漂白剤の入手は余裕でしょ?と思っていたらさぁ購入は

領主の許可制なんだそうだ?利権か?利権だな!

鉄鉱石と石灰は重要な戦略物資なので、領主が許可した

所以外の売買は禁止なのだ、くたばれ!究極英雄!

しかし、無いなら代用すべきだろうがこの世界に

苛性ソーダなんて有るわけが無い、有ったらビックリ

するわ!


しかし、この世界には魔法が有る!そんな訳で

「デッチ、コレ仕分けする魔法をプリーズ・ナウ」

「ダンナ、そんな魔法は有りませんぜ?」

あんだと!使えねぇ賢者だな!

「いや、ダンナ魔法は戦闘手段ですぜ?常識ですよ?」

そうか?魔法は戦闘手段でしかないのか?

本当に世知辛いファンタジー世界だな、俺はデッチに

サソリ固めを極めながら、どうするか思案する。

って、魔力操作でいけないか?

それなら俺でも出来る!

結果出来ました、あんだよ簡単じゃん!この後の塵取り

まで科してくれたわ!

「イヤ、ダンナそこまで精密な魔力操作は人の一生を

使って出来る、ギリギリのレベルですよ?」

ヤベエ、うっかり人外になってしまったらしい。

「正直、ダンナの魔力操作はもう魔法ですよ?ただ

魔方陣の開発がされて無いだけで、充分魔法ですよ?」

「魔方陣の開発?パソコンのソフトやアプリみたいな

もんか?」

ヤベエ、俺そっち方面は苦手だった!前世だけど。

「パソ?あプル?何ですかそれ?」

「イヤ、なんでもないこっちの話だ気にするな」

「へえ、わかりやした」

「因みに魔法の開発ってどうするんだ?」

「お子さまには無理ですって!」

この後更にキツ〜ク絞ってやった、見た目は3歳で

悪かったな!ちくしょう!


工程その③ 紙叩きでボコり捲れ!

ぶっちゃけ、この後は天日干しや、皮引き、漂白とか

しなくちゃいけない所を魔力操作で、飛ばしたので

先に進む、原料を細かい繊維にするためデッチに

ハンマーを持たせ、叩き、ボコり、ボコりまくり俺が

適度に水を加えて、ベチャベチャの餅みたくなったら

紙漉の為に使う桶に入れて、徐々に水を加えて適度な

水量に調整する、ここで繊維を繋げる為の糊として

デンプンの投入である。

このデンプンの必要量がわからないので、手探りで

やらなければならない、とりあえず用意したデンプン

で五段階の濃さに調整して、いよいよ本番である。


工程その④ 紙漉をしようぜ!

和紙作りといえば、この作業である!だがここには

便利な道具はない!無いなら作れ!がこの世界。

デッチに体毛を提供して貰い、濾す為のザルを作る。

「ダンナ、これ以上は俺らが凍死しますよ?」

軟弱だな!野生の猿なんだから根性で何とかしろ!

さて、デッチは無視して紙漉に取りかかる。

デンプン濃度①から②は、濃度が薄く紙にならなかった

デンプン濃度③はかろうじて?

デンプン濃度④で行けるか?

デンプン濃度⑤はパーフェクト!

よし!このまま漉捲れ!デッチ!

「ダンナ、手が氷っちまいますぜ?」

かまわん!やれ!


工程その⑤ 脱水、天日干し

さて、ここまで来たら後一息である、脱水は紙に重しを

乗せて水分を出すのだが、紙の間に挟むモノが無い。

便利!簡単!魔力操作!で水分は飛ばせるが、圧力が

無いので、紙がヨレヨレになっている。

どーしたものかねぇ、と悩んでいたらアッサリ解決策

を見つけてしまった。

「アイロンがあるじゃん!火熨斗とも言うが」

そう、丁度ママンが洗濯物にアイロン掛けをして

いたのだ!

「お母さん、これも当ててくれる?」

「えっ!コレ紙なんじゃ無いの?」

「うん!デッチにお絵描きする紙が欲しいって言ったら

作ってくれたの〜」

ふふふ、デッチに全てを背負わせよう!作戦は順調だ。


しかし、紙作りはママンから厳重に注意を受けた。

バレたら死罪確定である、それは不味いな?

究極英雄を巻き込むか?デッチを生け贄にして?


こうして、パパンがまず見本を持って白鳥砦のドリー事

グレッグさん経由で、究極英雄へ話を持って行く事が

決定し、後に「シェール紙」と呼ばれる特産品が

生まれたのである。


利益?ママンが管理してるよ?料理と違ってバッチリだ

こうして、俺とマーシャは自由にお絵描きが出来る身分

となった、大富豪でもなし得ない事である。



さあ『心の景色』を表せる様になろう。

時間はあるんだ、きっと納得する一枚が描けるだろうさ。

































ノリで書いたけど、何番煎じなんだろう?

こういうのはやらない予定だったんだけどなぁ。


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