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聖女の守護者(お兄ちゃん)  作者: 山石 土成
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第3話 俺の名は



嫌さぁ、ゲームじゃないし!アニメじゃないし!

何で頭の中で文字が浮かび上がるの?

あれ?俺死んでないの?実は病院のベッドの中で寝たき

りなんでしょうか?

コレは俺の夢の中なんだろうか?俺の夢クオリティ高過

ぎませんかねぇ、匂いも有るなんてスゲェな俺。

そう、先程から臭うのだ主に俺の股関から・・赤ん坊だ

もん仕方ないじゃん(泣)。

股関のむず痒さにモゾモゾしていると人の気配が近づい

てくる。

「あら?もう起きたのね」

女性の声が視界の外から聞こえ、俺の体が浮かび上がる

目の前にはとても優しい笑顔の女性が俺を見つめていた

(えっ!何この綺麗なマダム!!)

目の前には、透き通る様なマリンブルーの瞳に艶やかな

金色の髪を結い上げた女性の顔が有った。

(一言で言えば、弩ストライクです、えぇ弩ストライクですとも!!)

その女性の美しさのあまり、呆けた顔で見つめる事しか

出来無い俺の股関にその女性が顔を近づける。

「ふふっ、出しちゃたのね、さあキレイキレイしましょ

うねぇ」

「・・・あぁぁぶっ!!」

(・・・殺してっ!!)


燃え尽きちまったよ・・もう真っ白な灰になぁ(泣)



自分の無力さに涙が溢れていたら、目尻をそっと優しく

女性が拭ってくれる。

「元気に育って頂戴ね、貴方たちは必ず私達が育て上げ

るから」

女性はそう言って頬を刷り寄せて来た。

外気に触れた、少し冷たい肌の温もりと髪から香る優し

い香りがコレは夢では無く、現実で有る事を俺に無情な

程に伝えてくる。

俺はやはりあの時に死んでしまったのだろう、そして今

はこの女性の子供として生を受けたのだろう。

(ごめんよ母ちゃん、俺、今度こそこの女性の子供として

天寿を全うするから、だからごめんね)

俺は泣いた、あらんかぎりの声をあげて泣いた。

俺の第2の産声に女性は優しく、そして強く抱きしめて

くれた。


俺の第2の産声に反応して隣の赤ん坊まで泣き出してしまいその場はやたらと賑やかに騒がしくなる。

「ふふ、マーシャもおしめかしら?妹のお世話をするからお兄ちゃんは待っててね」

(は?なんですと?妹?お兄ちゃん?俺が?)


ベッドに俺を寝かせ、隣の赤ん坊を抱き上げ女性は少し

離れたテーブルでおしめの交換をし始める。

(あのエメラルドグリーンの瞳の赤ん坊が俺の妹?あん?

えっ?俺日本人じゃないの?俺何人に転生したんだ?

輪廻転生って、仏教の教えだろ?確か?あれ?インド人

もビックリなんだけど、あの子インド人には見え無い

よな?あの子がインド人なら、俺もインド人!!やったね

カレーを毎日食べ放題じゃん!ヨーデル♪ヨーデル♪)


落ち着こう、少し落ち着こう。

先程のマダムも母親なら日本人には見えないだろ?

なら俺も日本人では無い、何処か外国で新たな生を

受けたんだろ?

なら将来、日本へ行って前世の母親を一目だけでも

瞳に焼き付けに行こう。

うん!そうしよう!!


しかし、その決意も直ぐにガラガラと音を立てて崩れ

てしまった。

扉の開く音と共に大柄な男性が部屋に入って来た。

「お帰りなさい貴方」

女性は明るい表情でその男性を迎え入れる。

「あぁ、いま戻った」

何気ない夫婦の会話、それこそがこの家庭の円満さを

物語っている。

男性は少しクセの有るやや暗いブラウンヘヤーに同色

の髭の有る顔を女性に近づけ頬に優しく口付けをし

彼女もそれを返す。

(っく、もげちまえ!!)

多分、今生の父親とおぼしき男性に嫉妬の炎を燃やして

見つめていたら

「コレが気になるのか?マクート?」

男性が手に持っている動物を俺の目の前にかざした。

「もう、貴方!獲物は外で処理して下さいな」

女性は笑って、男性を叱る。

「あぁ、お前にはこれから多くの苦労を掛けるからな

少しでも元気に為れるように1番の獲物を持って来た」

互いを思い遣り、笑い合う夫婦を見つめて俺はドン引き

していた。

(いや、あんたら何で笑えるん?おかしいやろ!どう

考えても!!)

男性が手にしている獲物はウサギらしいのだが、俺の

知っているウサギとは程遠い成りをしていた。

まず、デカい!良く肥えた中型犬よりもデカい!

そして何よりも・・・・角が生えていた。

ユニコーンの様な1本の角がウサギらしき獲物の頭に

生えているのである。

俺は深呼吸をし腹の底から叫んだ!


「あうぶっあぁぁぁ!!」

(なんじゃこりぁぁ!!)








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