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聖女の守護者(お兄ちゃん)  作者: 山石 土成
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第28話 遠〜い夜明け






気を失い私の胸に倒れた仔犬ちゃんを受け止めて楽な

姿勢に抱き直す。

まだ、幼い男の子のあどけない寝顔に私の頬が緩んで

しまう、こんなに小さな体で四聖に対峙したのだ。

その勇気と言って良いのか、蛮勇?或いは無知からくる

無謀さ、危なっかしさは私の胸をドキドキ興奮させて

心をハラハラ心配させる、そんな仔犬の様な男の子

この子はまだ、私達四聖の力を知らないのだろうか?

その力を知ったら、やっぱり変わってしまうのかな?

やだな?変わらないで欲しいよ仔犬ちゃん。


幼い子供特有のふっくらとした頬っぺに、私の頬を寄せそのぷにぷに、すべすべした肌の感触と温もりを感じる

私とお友達になってくれるかな?

それとも、私の四聖としての力を求めるのかな?

怖い、知るのが怖くて堪らない、ねぇ仔犬ちゃん貴方は

私をどうしたいの?


私の不安を余所に、無防備な可愛いらしい笑顔で寝てる

仔犬ちゃんにやっぱり、頬が緩む。

もう!人の気持ちも知らないで!ツンツン

ヤダ、この子の感触クセになる。ツンツン

ふっくらとした頬っぺにすべすべした肌、最高だわ!

私の不安は、この子の寝顔の前に溶けて無くなる。

私の指先がこの仔犬ちゃんを擽り、離れられない。


(朱雀、そんなにつつくと起きてしまうぞ?)

「この仔犬ちゃんのぷにぷにがクセになるのよ?」

私は玄武にそう告げる、玄武は目を閉じて呆れた様だ。


「ねぇ、玄武はどうしてこの仔犬ちゃんと友達になった

の?」

私は素朴な疑問を玄武に投げ掛ける。

(「友達になろう」と正面から言われたからな、もう一人

の私の友の命を赦し、その言葉に裏も打算も無くただの

『珍しい亀』で良いから、妹を元気付けたい心しか無い

純粋な言葉であったからな)

「四聖の力を求めたりされなかったの?」

(悪霊が出たとき祓えるか?と聞かれたな、やったら辺り

一面灰になると、告げたら「役に立たない」と笑われた

よハハハ)


私はこの仔犬ちゃんに何度驚かされて、何度目眩を覚え

たんだろう?

玄武に向かって「役に立たない」って、そりゃ子供だし

知らない事何だろうけど、玄武は嬉しそうな笑顔で話を

続ける。

(この度の一件でな、私は自分の不甲斐なさが本当に堪え

たのだよ、友1人救えず何の四聖かとな)

「それは違うわ玄武、私達四聖は使命が有るもの」

そう、四聖には使命が有る、私達はそれが絶対であり

この命と力を『主』に託された。

(マクートも「使命も役目も違うんだ気にするな」と

私を元気付けようと笑うのだよ、此れから死地に向かう

のにな)

玄武が優しい眼差しで仔犬ちゃんを見つめる。


私は知らない、人は四聖で有るなら出来て当然、やって

当たり前で出来ないと詰られ、勝手に期待して勝手に

失望していく、ソレが私の知る人間、その様な言葉を

言える仔犬ちゃんに私は胸が熱くなる、心が震える。

あぁ、本当に玄武が羨ましい、そんな言葉を言われたら

私はもう離れられない。



誰かが俺の顔を刺激する、マーシャが起きたのかな?

あぁ、トイレに行きたいんだな?しょうがないな。

どれ、お兄ちゃんが着いて行ってあげるからね!

俺は目蓋を揺らし意識を覚醒させる。

(朱雀、起こしてしまったではないか!)

「だってぇ〜このぷにぷにがクセになるのよ?」

二人の声が聞こえてくる、一人はターブランだと解るが

もう一人の女性は誰だ?

目を開けて天井が見える、岩肌だ何で?

「知らない天井ですねぇ」

解らない時はお約束に頼る男で有る。


目が覚めて、意識が覚醒していくあぁそうだ!悪霊退治

に超ド級の変態の相手をしたんだっけな。

(起きてしまったかマクート、まだ夜明けには間があるぞ

もう少し休むか?)

ターブランが俺の腹に乗り此方を伺う、俺は起きようと

右手を動かすと、『むにゅん!』とした感触と激痛が

手首を走り呻き声を上げて踞る。


あぁ〜そうだ!ガイネストにやられて今まで根性で無視

していたが、意識をするとズキズキと痛む。

ママンに何て言い訳しよう?そんな事を考えていたら

今更、俺の右側に誰かがいる事に気がつく。

首を上げて見上げると、やや紫の濃い藍色の瞳が俺と

ぶつかる。

見つめ合う、視線のレーザービームの直撃を浴びて俺は

固まる、赤く輝く髪は所々クセ付いて、その髪を後ろで

纏めて所謂ポニーテールの髪型にして、蠱惑的な唇は

俺を見て微笑んでいる。

「ええと、おはようございます?」

とりあえず、挨拶は大事だよね!

女性はキョトンと、目を開き再び微笑んでから

「おはよう仔犬ちゃん」

と、俺の顔を擽りながら挨拶をしてきた。


俺は体を起こして、彼女に向き直る。

彼女はターブランに呼ばれたと、言っていたならば彼女

は四聖の1人なので有ろう、此処は3歳児である事を

有効に使おうでは無いか?

「ボク、マクートです!お姉さんはどなたですか?」

「フフッまだヒミツだよ?仔犬ちゃん、ちょっとこっち

に来てくれないかな?」

おおう!交わされてしまった!しかし、呼ばれたからに

は行かなくては成らない、ソコに山が有るのだから!

しかし、俺はこの美女に『仔犬ちゃん』とずっと呼ばれ

るのか?・・・フム!悪く無い!寧ろ良い!

『むにゅん!』と山の谷間に抱き寄せられて超至近距離

から美しい顔を見つめる。

お姉さんの瞳は、からかう様な、試す様な、複雑な感情

に揺れていてその瞳から目が離せない。

やがて、目を閉じて「はい!おしまい!」と笑顔で

俺に告げた!もう少し、玩んでも良いのよ?


「何処かまだ痛い処は有るかな?」

お姉さんに告げられ、自分の体の状態に気がつく。

怪我が直っている、擦り傷も埃まみれの体も綺麗になり

全く異常は無い!

「うわぁ、お姉さんありがとー凄い魔法だねぇ、全然

気が付かなかった」

うん、気が付かなかった以前アレサさんから回復魔法を

掛けられたが、暖かく気持ち良かったのは覚えてる。

そして、呪文を唱えたのも。

彼女は何も言わず、怪我を直し身体をキレイにしてくれ

たのだ、やっぱり四聖って凄いんだなぁ。


両手をニギニギしたり、ジャンプしたりと3歳児らしく

『ボク元気ぃ〜』と、アピールして見せる。

「お姉さんありがとー」無邪気な笑顔を添えて、お礼を

再度言う。

さて、お姉さんは自分の事は余り知られたく無いらしい

ならば、余計な詮索も野暮で有ろう!其れならば当初の

目的を果たすか。

(ターブラン、小鳥の卵は何処に有るんだ?)

(ああ、其れだがな・・・)ターブランは顔を壁ドンした

アレを見た。

俺は其れだけで察しはついたが、デッチが止めをさす。

「ダンナ、卵は彼処に有ったんですがね・・・」

あちゃー、マーシャに可愛い小鳥作戦失敗かぁ。

本当に『壁ドン』はどうしてくれようか?


「ごめんなさい!私、何か悪い事をしたかな?」

俺達三人?はキョトンとした目でお姉さんを見る。

ああ、『壁ドン』したのお姉さんだから責任感じたの

かな?このお姉さん本当に優しい女性ナンだな。

俺はこんな優しくて、綺麗なお姉さんに余計な罪悪感を

感じる必要が無い様に笑顔で伝える。

「お姉さんは何も悪くないよ?悪いのはアレだから」

と、言って『壁ドン』を指す。


そして、お姉さんに説明する何で俺が此処に居るのか

どうして、小鳥の卵が必要なのか?

お姉さんは俺の拙い説明を、黙って聞いてくれた。

そして、こんな提案を出してくれた。

「ねえ、それなら私が何とかしてあげるよ?」

「ホントーッ!!」

おお!!作戦失敗かと思ったら挽回作が有るようだ!

「ねぇ、仔犬ちゃんは私と友達になってくれるかな?」

「え?友達?なるなる!喜んでなるぅ〜!!」

俺は諸手を挙げて喜ぶ、本心だよ!疚しい事無いよ?

お姉さんは優しく微笑んで俺を見つめる。

「はい、この卵に毎日魔力を与えて孵してくれる?」

お姉さん、この卵は何処から出したのですか?

気にしたら負けですか?そうですか?

俺はお姉さんから、薄い水色の卵を2つ貰い受ける。


お姉さんは屈んで俺に視線を合わせ、微笑んで告げる。

「仔犬ちゃん友達になってくれて有り難う!でもね?

私にまだ貴方と友達になる勇気がないの」

お姉さんは瞳を伏せて悲しそうな顔をする。


「お姉さんと僕はもう友達なの!友達なら悲しませたく

無いの!だから僕待つの!お姉さんには笑って欲しいの

だから僕待つの!」


俺はお姉さんに、そんな悲しそうな顔をして欲しく無い

よ、心のままに彼女に元気になって欲しくて、本心を

伝えたくて、拙くても飾らない言葉を心を込めて伝える

お姉さんは瞳を大きく開き、俺を見てターブランを見る

ターブランは優しく微笑んで、お姉さんを見ている。


「有り難う仔犬ちゃん、私が勇気を持てたら必ず来るわ

その時は改めて、友達になりましょう私の名前はその時

教えるわ」

お姉さんは涙を浮かべながら微笑んで俺を優しく抱きし

め、離れていった。


「玄武、また近いうちに遊びに来るわ」

(ああ、何時でも歓迎しよう)

「それじゃ、またね」

彼女は今までの中で1番輝いた笑顔で俺達に別れを

告げて消えていった。


「近いうちに・・・かぁ、何時かまた逢いたいな」

(彼女は寂しがり屋だからな、その内来るで有ろう?)

「そうだな、出来ればもう少し俺が成長したら逢いたい

なぁ」


俺とターブランが彼女の消えた方角を見ながら呟いた。

夜明けはもう、其処まで迫っていた。














































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