表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女の守護者(お兄ちゃん)  作者: 山石 土成
16/52

第16話 退魔士にお願い。




よく前世ではオバケや幽霊は存在するか?

って議論があった。

ただ、見えなくても存在を感じる事は有った。


以前、震災の起こった卸し先で深夜の荷卸を終わらせ

受領書を貰いにプレハブ造りの事務所に顔を出して。

顔見知りの事務員と雑談してると、誰もいない2階から

足音がするのだ。


しかし、ソコはもう馴れたオッサン同士である。

「あっ、出たね」

それで済ませて終わりである。


しかし、この世界での幽霊は一味違う。

万人が存在していることを認識しているのだ。

つまり、オバケの存在は当たり前の常識なのである。


そしてこの世界の幽霊はアグレッシブに出没しては

目撃者を物理的に亡きものとするのである。

チクショウ!ファンタジーの世界なのに全っ然!!

ファンタジーじゃねえ!


(ターブラン、コイツを排除出来るか?)

(いや、この程度の存在は放って置けば勝手に消えるから

な、気が済むまで居ても構わんが・マクートやマーシャ

には害が及ぶな此処までの存在は)

(味方になったラスボスは雑魚化する説!!)

(マクートは相変わらず、時に解らんことを言うな)

ターブランはハハハと朗らかに笑う。

(それに私が動けばこの辺りは灰になるぞ?)

アンタは強力過ぎて使い物に成らねぇな!!


(まぁ、コレが出たと同時に結界は張ったからマーシャは

起きて居らんだろう?)

(そんな便利な結界は常時張ってくんねぇかな?)

(結界を張ると外界との繋がりは遮断されるのでな

それではチト不味いのだよ)

それはアンタの都合だろうがぁ!

と、叫び声を上げたかったが相手が動いた。


この怨霊はいったい何故、俺達の前に現れた?

そして、何故コレ程の怨みがましい目で見つめるのだ?

俺とマーシャは共に3歳である。

怨みを買ったり売ったりは全くしていない。

それどころか、家族以外の触れ合いは俺が隣のドワーフ

とプロレスした位だ。

主に俺が餌食になって。


怨霊はマーシャに手を伸ばして来た。

「触るんじゃねぇぞ!ボケがぁ」

魔力を纏った左手で怨霊の右手を祓う。

触れた瞬間火花がスパークした、何で?


(光は闇を晴らすのは道理だろう?マクートの純粋な魔力

は光その物だ、祓うのは至極当然であろう?)


解説のラスボスさん有り難うございました。


つまりは、俺の魔力は相手にとって猛毒にも等しいって

事は・・・・・

闇の魔力を纏った女は一層恨みがましく濁った目を俺に

向けていた。


うん!チビる。だって僕、3歳だもん?


しかし、ターゲットをマーシャから俺に向けたのは

GJ俺!!である。


女の怨霊は髪に纏わり付く闇の魔力の粒子を俺に向けて

伸ばしてきた。

伸縮自在かよ?植毛業界が泣いて喜びそうである。


俺は前世の記憶をたどり、コレ当たりじゃね?

と、思い当たる事を試す事にした。


怨霊に右手を向けて女の髪が俺に触れる瞬間を狙い。


「オン!アビラウンケン!テイソワカ!!」


俺の世界の退魔の呪文を唱えた。

怨霊の髪が俺に纏わり付く為に触れた所から火花が走る

アレ?効いて無いのか?触れた髪は火花を上げるが一向

に引く気配を見せない。


あっれぇ〜?おかしいぞ?思い出した瞬間は

(読んでて良かった孔〇王!全巻揃えた近所の床屋GJ)

って思ったんだけどなぁ。


(マクート何ボケッとしておるのだ?お主の魔力が尽きた

ら殺られるぞ?)


ウッそ〜ん?チクショウ、考えてみればこの世界には

高野山は存在しないじゃん!

高野山が無ければ、裏も表も存在しねぇのかよ!

騙しやがったな近所の床屋ぁ!!


近所の床屋を熱く逆恨みしながら、どうしたらコイツを

祓えるのか?

その事を考えてみれば、簡単に答えにたどり着く。

(ターブラン、俺の魔力ってどれ位残ってるか判るか?)

(まぁ、そのままでも朝までは持つで有ろうが、油断は

出来んな相手の手の内が解らんことをにはな)

まぁ、そうなんだよねぇ、ならば俺なりの闘い方をする

しかないな。


俺は魔力を全身に回して女の怨霊と向き合った。


先ず、闘うなら勝ち筋を見付けなければならない。

そして、いきなりの必殺技は、避けられたら終わりだ。

ならば、やることは1つである。


先ずはこの女の闇の魔力を削る!


おでこに魔力を集中して相手の腹に頭突きをぶち咬ます

俺の魔力によるダメージで体がくの字になる。

そこに魔力をコレでもか!って位乗せた手で

逆水平チョップをヒットさせる「リン」

続いて地獄突き「ピョウ」

そして一本足頭突き「トゥ」

エルボーバット「シャ」

エルボースマッシュ「カイ」

後頭部を掴みチンクラッシャー「チン」

小技を挟んでサミング「レッ」

飛び上がって唐竹割り「ザイ」

俺はベッドを使って女の怨霊の頭に飛び付き右脇に

頭を抱える。

両足は90度に開き鞍馬のようにスイングして勢いを

付け小さな人間が大きな相手を倒す為の技

スイング式DDTを咬ました。「ゼン」

怨霊の頭が床にめり込む感触を俺は確かに感じた。


俺の敬愛する東洋の大巨人は言った。

「必殺技をかけたらですね、休んではいけないんですよ

必ずフォールを取ると最後に気迫を見せないと相手が

返してしまいますからね」


そうですよ、兄貴!俺は勝ちに逝かなければならない。

俺は仰向けに横たわる怨霊の上半身を全身全霊で押さえ

「ワン・ツー・スリー!!」

ジョーのカウントよりも、やや遅めにカウントした。

「どうだおりゃぁぁぁ〜!!!」


俺はガッツポーズで怨霊を見下ろしたらば、アレ?


そこに女の怨霊はおらず、俺達と同じ髪の色をした女性

が横たわっていた。

(この女の人誰?)

(何を言っているのだマクート、お主が祓った闇の魔力

持ち主であろうが、お主の7手目辺りで闇はほぼ祓って

いたがな)

(うっわぁ〜オーバーキルの死体蹴りかよって元から

この人幽霊じゃん)


気まずい雰囲気で俺はこの女の人の魂が目覚めるのを

待った。

この人の顔、髪の特徴はたぶん俺達双子の本当の母親な

のであろう。

ターブランも先程言っていたでは無いか。

(己が産み落とした子供を置いて死ぬ事は耐え難い苦痛

なのであろう。・・・・と)


この女の人は俺達双子の事が心配で心配でどうしようも

無くなり、そしてこの様な姿に成り果ててしまっても

俺達を愛して、そして壊れてしまい闇の魔力に捕らわれ

たのだろう。


女の人の目蓋が揺れて目覚め出す。


やはりそうか、女の人の瞳は俺達と同じエメラルドの瞳

で俺の顔を見上げて、右手が俺の左頬に添えられた。

女の人は涙を流しながら俺に伝えていた

『ゴメンネェ、ゴメンネェ、ゴメンネェ』泣きながら彼女は俺に謝罪

をしていた。

俺は彼女の頬に添えられた右手を両手で包みながら告げた。

「お母さん、心配要らないよこの家の人達に本当の子供

の様に育てて貰っているんだ、何も心配は要らないよ」

俺は彼女を

抱き起こし、マーシャの眠る所まで連れてきた。

「マーシャも元気に育っているよ、最近は可愛い友達も

出来て嬉しそうだよ」

彼女の右手がゆっくりとマーシャの頬に触れる。

彼女は、泣きながら「ゴメンネェ、ゴメンネェ」と小さな声で

謝罪していた、そして眠るマーシャのおでこにキスをした。


そして、俺に振り向き俺のおでこにもキスをした。

そして、俺の顔を両手で包みまた小さな声で

「アイシテイルワ」と告げて輝く光の粒子になってゆく。


あぁ、消えてゆく実の母親を見つめ俺は何度も

「行かないで!!」と叫び出しそうな口をキツク結んだ。

何も言わず見つめる俺を実母はただ、穏やかな笑顔で

俺を見つめ、そして消えていった。


「彼女は無事に旅立ったのかな?」

独り言の様な呟きにターブランは返す。

(あそこ迄、綺麗に闇を祓ったのだ穏やかに逝ったであろうな)

「そうか、良かったな」

(マクート、良く耐えたな)

そう、あそこで俺が逝かないで!と叫べば彼女はまた闇

に堕ちてしまう、それだけはいけない。

彼女とは住む世界が分かれたのだ、ならば辛くても見送

らなければならない。マーシャの為にも。

ターブランはそれが解って俺を労う、本当に良い友人に

俺は恵まれたよ。

(ターブラン)

(ん?)

(有り難う)

友人は満足そうに微笑み眠りについた。


俺も、後の事は明日にして夢の世界に旅立った。

夢はみることが出来なかった、それが悲しかった。






そして、俺の能力は幽霊にも有効らしい彼女に触れた時

頭の中に文字が浮かんで来た。

『ローズウェル(カラン帝国皇帝実妹)』



全力疾走で逃げてやる。
































前半の話は私の体験談。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ