第12話 3歳児の戦い方
さてさて、何処からツッコミを入れようか?
『サルの分際で偉そうだ?』
『サルの分際でしゃべりやがる』
『サルの分際でハゲ』
『サルの分際で〇茎』
『サルの分際で短〇』
「5択か、迷うな」
見た目なら3番イチオシだな。
そう、コイツの見た目はスマトラオランウータン
デコがハゲているお猿さんだ。
「オイそこの、ボサッとしてないで先の魔力をナガセ」
このお猿さんは何で命令形でしゃべるのだろう?
可愛げは全く無いなぁ、マーシャの情操教育的に役立つ
か?・・いやぁ無いでしょう!
しかし、棒切れを持っているとは!高いところのバナナも
コレで安心だね(笑)。
知能はちょっとは高いかな?(笑)
とりあえず、聞いてみるか?態度はキツメの躾で矯正させるか?
「なあ、お前マーシャのペットになれよ」
でもデケェし、可愛くないし、俺が欲しくないし。
マーシャが要らないと言うなら、ラッケ・スワーニュに
沈め・・・!!!!!!!!
「ホォウ?避ケタか」
3歳児の身体で前回り受け身は頭がデカいから危険ナンだが、やらなきゃ耳が吹っ飛んだか?
このお猿さんやってくれるじゃない!
この世界の猿は魔法まで使うのかよ!!
全く危険でデンジャラスじゃないか、こんな危険な猿は
マーシャのペットにゃ出来ないな。
(排除させて貰おう)
俺は足元の木の枝を拾い警棒の長さに整えた。
「フゥウ、やめテおけ死にたくアルまい?」
「動物に躾・・!」
もう一度前回り受け身で避ける。
(最後迄言わせろよ!)
毛が生えて無いオデコに血管ピキピキである。
このクソ猿今度は本気でやりやがった。
ヤツはもう無駄口をしない、次の一手で終わらせる
つもりなのだろう。
クチビルを尖らせて開いたり、閉じたりを繰り返す
タイミングを計り・・来るっ!!
また前回り受け身で避ける。もう一回転!!もう一丁!!
っち!3連発も出来るのかよ!
ヤツはまたクチビルを尖らせて開いたり、閉じたりを
して右手の棒を右から左下へ袈裟斬りして見せる。
今度は側転受け身で避ける。
点で駄目なら線で攻める。
間違いでは無いよクソ猿!!
(視線は切るな、呼吸を乱すな)
格闘術の教官に良く言われたなぁ、でも3歳児の身体で
それは無理ってもんです。
それでも此処までは出来たか。
俺は魔力は扱えるが魔法は知らない。
知らないから出来ない。
なら出来ることを間違いなく、丁寧に、順序良く行う。
おーおーおークソ猿のオデコは3割増しでビキビキだ。
「ハゲ・・!!!」
特大の一発を前回り受け身でまた避ける。
アンタ気にしてたのかい?でも、そんなにオデコに
血管を浮かび上がらせて冷静なのかい?お猿さん?
俺の準備は整ったよ?
(さぁ、フィナーレだ。)
右手に持っている枝を勢い良く地面に突き刺す。
左手に有りったけの魔力を集める。
下半身への魔力の循環も忘れない。
ヤツは俺が魔法を使えないと高を括っている。
いや、舐めているやれるモノならやって見ろと。
だから俺はこうするんだよ!!!
左手から勢い良く魔力を放出させて煙幕代わりにする。
魔力のキラキラ輝く星の様な粒子が、俺の姿を隠す直前
俺は下半身に貯めた魔力で上に跳躍する・・・
フリをする。
お猿さんは釣られて上を見て何もない空へ魔法を放つ
ヤツは顎を上げている、そして魔法を使う際必ず棒を
掲げていた、今も右手を上げている。
この瞬間の為に俺はお前に近付いたんだ、気付いて
無かったろう?俺は何回『前回り受け身』をとった?
残った魔力で『前方へ』ダッシュする!!
ヤツが作り出した死角、右手下から接近し『掴んだっ』
俺の右手は確かにヤツの喉を掴んでいた。
俺、この世界ではぶっちゃけても良いと思う。
「ァァィラァァブゥダァィナッミックTィィ!!」
『マクート式変形喉輪落とし』をクソ猿の背後に有る
岩山に炸裂させた。
いや喉を押さえて押し込んだだけなんだけどね。
お猿はオデコの血管はそのままに白目を剥いている。
しかし、俺の敬愛する東洋の大巨人はこう言った。
『トドメを刺す場合はですね、手を止めてはいけないん
ですよ弐の手、参の手と続け無くてはいけないんです』
そうですね、兄貴!!ここで追撃しなくてはいけない!
お猿の頭を股下に押し込みチキンウイングに固める
「光栄に思え!神様に会ったらぶち咬まそうと思って
いた隠し技の試運転をしてやる!!!」
食らいやがれ!『猛虎杭打ち91』お猿の体が垂直落下
で下の岩場に突き刺さる。
『やったか?』なんてフラグは建てない。
『やり尽くすんだよ!』
どんな生命体でも頸をへし折れば、終わるだろ?
お猿の頭を掴み右手の肘の内側にお猿の顎を乗せる。
右膝を背骨の上に乗せ固定する。
「来世ではもう少し賢くなれよ」
力を込めた瞬間。
「少年よ待っておくれ!!お願いだ」
俺は声のした所を見上げて固まった。
この世界って大福餅まで喋るの?