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聖女の守護者(お兄ちゃん)  作者: 山石 土成
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第10話 いつかキラキラする日





子供のいる家庭なら必ず共通する悩み事が有る。

そう、子供の教育だ。

特に情操面は『心の成長』という身体、学術等目で見て

ある一定の物差しで比較する事が困難な成長を促す事に

重きを置いている教育は厄介だ。

身の回りの環境や宗教など『他人の目』の評価が判断基

準になる。

また気付かぬ内に自分の独善的な価値観の強要が生まれ

やすい事も問題である。

しかし、ある一定の評価をされている方法もある。

『お絵描き』と『音楽』だ。

芸術方面からのアプローチは確かに有効だと俺も思う。

共に心を表す表現だからだ。

ふと、海外のアーティストの音楽がラジオやテレビから

流れて感動する事は無いだろうか?

意味は全く解らないのに何故か、声が旋律が心に刺さる

事が希にある。

自分の心がそのアーティストに共鳴して感動し、意味を

調べてまた感動する事が前世では有った。

『意味を調べてなんじゃこりゃ?』な事もたまには有っ

たけどさ。


俺の目下の目的は「マーシャに豊かな情操教育を」だ。

しかし、我が家には圧倒的に情操教育に必要な遊具が

足りない。イヤ、全く無い。

まぁ、両親二人の立場を思えば世間から隠れて生活して

いるのだから、そんな余裕は無いのだろう。

事実、この家には生活に必要な物以外はほぼ無い。

筆記具や紙や本等見たこと無い。

甲斐性無さすぎるぞパパン!『使えないブロディめ』

そんなパパンから使わなくなったナイフを

「コレ頂戴」と可愛く上目遣いでおねだりである。



そんな訳で俺は有るものを製作中だ、紙や筆記具が

無く『お絵描き』が出来ないなら『音楽』から始めた

ようではないか。

「フム、まぁまぁな出来であるな」

「お兄ちゃん何してるの?」

マーシャが俺の隣にやって来て、出来上がったばかりの

オカリナを興味津々な瞳で見ていた。

「コレはねぇ、こうするんだよ」

音楽教室等に通うとまず、最初に習う楽曲

『キラキラ星』を吹き始めた。


正直、この行為は俺にとっては賭けである。

『俺は生まれる前の前世の記憶』を持っています。

という、カミングアウトなので有る。

両親やマーシャから問われたら素直に告白しようと決め

覚悟を持って『キラキラ星』を演奏した。

演奏を聞き終わったマーシャは喜んで

「もう一回やって?」

と、可愛くリクエストしてきたので再度、演奏する。


俺はマーシャの反応を注意深く観察していた。

演奏に釣られて両親もやって来た。

演奏を聞き終えるとマーシャは小さな手をパチパチ叩い

て俺を労ってくれている。

パパンとママンも良く出来ました的に俺の頭を撫でて

「初めて聞いた曲だし、珍しい楽器だね」と告げた。


どうやら、前世の記憶を持っているのはこの家族では

俺だけなのだろう、両親は何処でこの曲と楽器の知識を

手に入れたのか?そちらの方に興味が有るようだ。

俺は用意していた言い訳で「ルビラさんに教わった」

と、言ったら納得された。


その日の夜、マーシャは俺のあげたオカリナを大事に

抱えて眠りについた。

その安らかな寝顔を見ながら安堵のため息を付く。

何故、俺に前世の記憶があるのか?そこに深い意味は

無いのかもしれない。

ただ気紛れな神様のイタズラなのか?それともうっかり

やっちまったのか?

それは俺がこの世界で、命の灯火が消えたときになって

判るかもしれない、『前世の記憶が有る』この事は死ぬ

まで秘密にしておこう、その為の山は今日越えた。

そりゃ3歳児の中身はもうすぐ40になるオッサンです。

なんて恐怖以外の何者でもない、実際俺が怖い!

パパンへの上目遣いおねだりが使えなくなるしね。

この攻撃はパパンへの効果は、ばつぐんだ!!




ただ、神様には超々滞空式の垂直落下式ブレンバスター

を御見舞いしてやろう!

『ホウレンソウは大事だよ』と。


















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