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第5話 狂い咲きの季節 3


 人は、人と人との関わりの中にしか存在しない。親として、子として、友として。師弟、兄弟、姉妹、同僚、上司、部下、その関わりは様々だけれど。


 では、独りでいるときの私は?


 ここにいる私は、海野美月であり朝比奈恵であり、そして、そのどちらでもない。人が、人と人との関わりの中にしか存在しないのなら、私はどこにも存在しない。


 こんこんとノックの音がする。海野渚だ。海野美月の叔父にして朝比奈恵の下僕、そして私の……


 私の、何だろう?


 なんだよ渚、何の用だ。私は、渚の暴君としての仮面をつける。素顔を晒して生きていくことは、私には出来ない。


 さようなら、私。


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