第44話 青春ミサイル 1
海野美月のことは、どう呼べばいいのか。本人は、美月と呼び捨てで構わないという。ケイであり、朝比奈恵であることが日を追うごとに実感される。
ちょっと付き合ってほしいと頼まれて、数日後、一緒に幼馴染の平坂志功の墓参りに行った。遺族と会わないように命日を避けて行くのだという。自分の成長を見れば、志功の時間が止まっていることを思い、耐え難いだろうからと。墓石に刻まれた名前を見て、本当に死んでいたのだと今更ながら思い知った。
志功の墓は、三人で遊んでいた懐かしい街の中にあり、俺と美月は帰りがけに古いゲーセンへ立ち寄った。まだ営業してたんだぁと嬉しそうな美月と一緒に音ゲーをして、しっかりコーラを奢らされた。
小学生の頃の活発な少女も、ゲーセンへ出入りするジャージ女も、水族館で控えめに楽しんでいた同級生も、みんな美月なのだと気付かされた。
告白とかなんとか、そういうことはなかったけれど、自然と付き合うような感じになった。
バイト先でも名前で呼び合い、私たち付き合ってますと公言するような。驚く雨宮うずめに、うずめも佐倉くんと付き合っちゃいなよと軽口を叩く始末だ。
何回目かのデートでは、別れ際に、キスしてと目をつぶってくれた。俺は嬉しく思いながらも、美月の様子が、楽しんでいても寂しそうで、無理をしているように思えてならなかった。どこか生き急いでいるような、そんな気がして。美月が笑顔になればなるほど、俺は不安になった。




