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第4話 青春ミサイル 21
叶わぬ恋は忘れろという。
初恋は叶わないとも。俺の初恋は幼馴染の少女で。まだ小学生のころ、いや、幼稚園のころから一緒だった。
朝比奈恵という。
恵のほかに、もう1人一緒の奴がいて、それが平坂志功だ。本当に良い奴で、親友だった。俺が女の子だったら、絶対惚れていただろう。恵と取り合いの三角関係になっていたかもしれない。
でも、そうはならなかった。
俺は男の子で、たいした魅力もなく、自信もなく、一方で、恵と志功が互いに好きなんだと気付くだけの分別はあった。
それに気付いてからは苦しい毎日だった。親の都合で引っ越すとなった時には、ほっとしたものだ。
恵も志功も手紙を書くと言ってくれたし、実際に送ってきてもくれたけど、俺は苦い初恋を忘れたくて返事を渋った。
その後、転勤が多くなった親父の都合で、何度か引越しを繰り返し、やがて自然と縁は切れていったんだ。まさかまだ忘れられずにいたなんて。新しい学校で出会った少女を、恵と間違えてしまった。面影に惹かれたのだとしても……
俺は、その日、二度目の初恋に落ちた。




