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第20話 青春ミサイル 13


 祖父母の家は、古い団地にある。


 飼っていた犬の首輪や小屋が、庭の片隅で日に焼かれている。じりじりと焼け焦げるような光景は、どこか陰鬱で物哀しい。


 そう感じたのは、祖父母方から二駅先の街へ行こうと思っているからだろうか。自分から連絡を取らなくなった相手に会いに行くのは、なかなかにハードルが高い。


 先にネットで調べたり、電話してから行くべきだとも思う。だが、明確に用事があるわけじゃないのだ。

 むしろ、会えない方がいいと思う自分がいる。何かをしようと思いながら、それなりの行動はしたけど果たせなかった。そんな言い訳が欲しいだけなのかもしれない。


 俺は、電車に揺られて目的の街へ向かっている。自分の家からは日帰りも難しい距離にあるが、祖父母の家からは、わずか二駅。

 親父が転勤族になり、俺の転校行脚が始まる小学六年まで長く住んでいた街へ。


 5年ぶりの街は、大きく印象が違った。


 といって、街自体はそれほど変わっていないはずだ。変わったのは俺自身。正直、小学生の自分が何を考えていたのか、はっきり覚えていない。


 さすがに自分が住んでいた所と、朝比奈恵と平坂志功の家は覚えていたから、すぐに辿り着いた。

 まずは、自分が住んでいた所。

 アパートで、いまは別の人が住んでいる。小学生の俺が、行ってきます、ただいまと出入りしていた所に知らない人が住んでいるなんて理不尽極まりない。


 だが、恵も志功も一軒家に住んでいたはず。そうそう引っ越すこともないだろう。そう思って。


 ところが、近所の朝比奈家も平坂家も建物は残っていたが、表札が変わっていた。

 両家とも引っ越したらしい。俺は、ほっとしたような、残念なような、しかし、やることはやりましたよと自分を許してやれるような、そんな気分だった。

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