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第2話 青春ミサイル 22
風早圭一です。よろしくお願いします。
いつもの儀式だ。新参者の転校生は、大人しく頭を下げて、仲間に入れてもらえるように頼まなければならない。
少なくとも、目立たないようにして、いじめないでくださいね、と片足からそっとクラスに入るのだ。
しかし、その日、俺は少しだけ悪目立ちしてしまった。よろしくお願いします、と下げた頭を上げてくる途中で姿勢が固まってしまったのだ。
朝比奈恵がいた。
幼稚園から小学校まで一緒だった幼馴染みが。でも、彼女の方は俺に気付いていないようだった。
隣の席に座った俺に、よろしくねと普通に声をかけてきた。その名前は、朝比奈恵ではなく、海野美月。
どうやら別人だったらしい。
海野は、長い黒髪を綺麗に整えた清楚な感じの女の子。ボーイッシュで男勝りだった恵とは、まるでタイプが違う。ただ、きらきらとした目元だけが、どこか懐かしさを感じさせた。




