第16話 青春ミサイル 15
ねえ、佐倉って美月のこと好きなのかな?
唐突にそう聞かれて。俺は、雨宮うずめの顔をまじまじと見つめてしまった。
ゆるくウェーブのかかったショートヘアに、くりくりとした大きな目。美人ではないけれど愛嬌のある顔立ちで、明るい表情が華を添えている。俺に見つめられて、きょとんとした様子が愛らしい。
違うと思うよと応じると、そうかなぁと言いながら、思い出したように、そう言えば風早くんも美月をよく見てるよね? 君こそ、美月が好きなんじゃないの? と切り込んでくる。
いやいやと首を振って、見てたかもしれないけど、幼馴染に似てるから見てただけだと取り繕う。小学生の頃、朝比奈恵と平坂志功という友達がいてという話をしたところ、雨宮は、考え込むように俯いて、
ねぇ、そのことは誰かに話した? 誰にも話してないのね。じゃあ、お願いだから誰にも話さないで。
などと言う。
どうしてかと尋ねても教えてくれず、何も言わず約束してと懇願され、最後にはわかったと言わされてしまった。雨宮は、ほっとした様子で約束だよと繰り返していた。
どういうことなのだろう。
俺は、懐かしい恵と志功の姿を思い出し、久々に会いたいと思った。




