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9/11

AI(人工知能)って何よ?(ディープラーニングの話)

 やあ、樋口諭吉だ。今日は、人口減少時代を救っちゃうかもしれないAI(人工知能)について考えてみるぞ。


 はじめに言っておくと俺は専門家じゃないし、勉強はしたけれど独学だ。なので間違ってる部分や理解の甘い部分があると思う。詳しい方は感想欄でご指摘くださるとありがたい。修正しますので。


 もっとも、趣味とはいえ、俺は実際に人工知能を動かしている人間なので、プログラミングを知らない巷にあふれるジャーナリストや評論家などのAI脅威論者などよりは、よっぽど深くAIについて知っている。


 だけど、あんまり専門的な話にしても興味を得られないと思うので、うまいこと折り合いをつけてみんなに理解してもらえるように頑張ろうと思う。


 例えば、『リッジレット変換で、ディープラーニングの適切な初期重みが計算できる。これでコンペに勝つる!(本当に勝てるとは言ってない)』とか言っても、誰も興味わかないでしょ?


 そんなに難しい話にはしないので、お付き合いくださると嬉しい。


 AI(人工知能)とは、なんぞや?

 今日こそ、その答えを出そうじゃないか。


 AIとは何か? 簡単に言うならば、それは『予測』と『分類』の道具だ。未来の情報を扱えば『予測』。現在の情報を扱えば『分類』だ。これを行う器械のことを、『学習器/分類器』という。


 分類器というと『分類』ができるだけで、『予測』ができなそうな感じがするが、実際は、分類機は全て、関数の近似と信頼区間などを使って、未来予測をすることができる。紛らわしいので、本稿では、『学習器』と呼ぶことにするぞ。


 AIは、すばり『学習器』の一種だ。


『予測』は例えば、過去数年のデータに基づいて来年の売上を予想するとか、『分類』は郵便番号と番地に基づいて配達先を仕分けるとか、そういったことに使える。


 あるいは、有名所では、囲碁や将棋の最善な手を読むとかね。アルファ碁は、まさに人工知能だ。


 株価の予想? 長期的になら当てられるけど、短期的な投機に対応するには、ビックデータやらスパコンやらがいるんじゃなかろうか? グーグル様なら可能かもしれないね?


 もっと凄いことはできないのかって? 例えば『ワインの成分表』とお客さんのつけた、おいしさの評価から、新種のワインの味の傾向や、評価を予測するとか、おおよそ人間には不可能なこともできるよ。


 最新の領域だと、君が書こうとしている絵の葉っぱの形などの情報とネット上にある植物の写真の情報から、続きの絵(花)を書いてくれるとか。そんな『夢あふれまくり』なこともできる。


 人間にはちんぷんかんぷんな領分でも、ビッグデータとGPU『グラフィックカード』などの高速な計算機があれば、人外の処理速度で予測出来ちゃうんだ。


 そりゃあ、仕事はグッと減るよ?

 これがあれば少子高齢化時代も安心だ。


 人工知能研究が進んでいるところは、すべからくビックデータを持っている。カード会社とか、就職斡旋会社とか、忌々しいけれど、そういうお金が集まるところに、さらにお金が集まるように世の中できている。


 インフラを押さえることに意味があるのだ。インフラにこそ、お金は集まる!(キリッ


 グーグル様の人工知能が凄いのは、自前のサーチエンジンを持っているからに他ならない。中国も百度を持ってるよね。


 日本は……。

 そういうところに力を入れないから、研究が遅れてるんだよ!


 衰退こくにっぽ(吸いたいコク、にっぽぅ……!)

 じゃなかった。


 お金持ちの人は、(あるのかしらないけど)国産サーチエンジン会社や国内の半導体を作ってる会社などに投資して、AI研究のインフラを押さえてくれ、割とマジで。


 日本にも、マイク○ソフトとエヌヴィ○ィアとインテ○とグーグ○のような会社が欲しい(切実)。そういうところを押さえて経済回して、ド薄給の俺のお給料をあげてくれ!


 閑話休題。


 そもそも、AIって、なんで『人工知能』っていうんだろうか?

 それはね。現在主流のディープラーニングなどの『学習器』が、人間の神経の仕組みを模した『人工ニューロン』を利用しているからだ。


 例えば、人工知能『ディープラーニング』で使われる一定の閾値を超えると発火するReLUなどの『活性化関数』(神経線維の発火を模倣している)とか、誤差をフィードバックして精度の向上を行う誤差逆伝播法(神経網の活動を模倣)とかが、神経を模している。


 人工知能はどうやって生まれたか?


 まずはじめに、外科医のマカロックと数学者のピッツが、脳神経を模倣する『形式ニューロン』という仕組みを作った。


 これは脳の神経の活動を0(休止状態)と1(活動状態)に置き換えたもので、原始的なコンピューターであるチューリングマシンと同等の計算能力を持っていた。パソコンなどのノイマン型コンピュータもそうだよね。0(無通電)と1(通電)で全てが表されている。それを教師付き学習器『パーセプトロンという』にしたのが、アメリカの心理学者のローゼンブラットだ。


 パーセプトロンの研究が進むと逆に、人間の脳(小脳)は、実はパーセプトロンそのものなんじゃないか? という仮説が出てきたりして、世間は大いに盛り上がった。『脳の仕組みの研究を、一時的とはいえ、人工知能の研究が追い越した』んだ。ちなみにこの説は現在でも支持されてるぞ。


 つまり、パーセプトロンの段階で、人工知能とは、データ的に再現された人間の『小脳』そのものと言えるんだ。


 だから、小脳でできる機能はすべて、人工知能で再現可能だ。再現にはセンサーとか、ロボットアームとか、そういうハードが必要になるけどね。


 ただし、このパーセプトロン、線形分離可能な問題(YES/NOなど2値に分ける問題)しか解けなかった。おいしい、おいしくないの判定はできても、すごく美味しいとか、まぁまぁ美味しいとか、ややまずいとか、そういう多値の分類・予想はできなかったんだ。


 もともと、人工ニューロンの研究が、0か1かを分けるところから始まってることを思い出してもらえると、ご納得いただけるんじゃなかろうか?


 パーセプトロンは、その後に出てきた非線形分離可能な、例えば、サポートベクトルマシン(仕組み的には最小二乗法に似てる)などに競争で破れ、一旦人工知能の研究は下火になった。


 yesかnoかでしか答えを出せない『人工知能』より、『微妙な判断のできる他の計算機』のほうが頼れるよね? 当然みんなそう思って、そっちを重視した。


 非線形分類可能な学習機『微妙な判断のできる他の計算機』の中には、前の話で取り上げた、ベイジアンフィルタ『ベイズ推定を応用したナイーブベイズ学習器』なんていうのもあるよ。そっちは、前にも書いたけど、迷惑メールフィルターに採用されてたりする。余談だけどね。


 さて、しばらく過去の技術になっていた人工知能『パーセプトロン』だけど、神経網の働きを模した、誤差逆伝播法を採用することによって、非線形分離が可能になった。2値に分ける問題以外でも『パーセプトロン』を適用できるようになったんだ。


 これでサポートベクトルマシンに勝つる! と思われたんだけど、この時点では競合相手『サポートベクトルマシンなど』に精度の面で負けていた。


 理論上、パーセプトロンは十分な大きさの中間層があれば、3層であらゆる関数を近似できた。つまり、どんな問題でもザックリとは解けた。だけれども、パーセプトロンは3層以上にすると精度が極端に落ちるという問題点があった。どんな問題でもざっくりとそれっぽい答えはだせても、精度をあげることができなかったんだ。


 この問題の解決は、今日使われている、ディープラーニング(4層以上の多層パーセプトロン)の登場まで待たなければならなかった。ようやく、ディープラーニングの登場をもってサポートベクトルマシンとの競争に勝てるようになったんだ。


 今日では人工知能『ディープラーニング』が隆盛を誇っている。教師付きでも教師なしでも使えるうえに、ディープラーニングは精度が高い。なにしろ調整できる幅が非常に大きい。


 俺もお世話になっているぞ。


 結論。人工知能とはなんぞ?


 人工知能『パーセプトロン』は、小脳の働きそのもので、ディープラーニングは、その問題点を解決したものだ。


 つまり、語弊を恐れずに言うならば、『人工知能とは、人間の小脳の働きを拡張したもの』だ。


 だから逆に大脳辺縁系の専売特許みたいなことは、()()()()()()。たとえば、心、欲求、喜怒哀楽、情緒、第六感など、こんなのは、今は無理。


 現在の人工知能は夢を見ない。


 それじゃあ、例えば小説を書くのはどうか?


 小説は情緒がないと書けない代物だから、今のところは無理だね。


 今回はそんなお話。

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