なぜ、君の小説は目が滑るのか?(短期記憶は7プラマイ2チャンク)
やあ、樋口諭吉だ。君は、なろうを読んでいて「目が滑る」と思ったことはないか?
あるよね? 今日は、目が滑る現象について考えてみるぞ。
目が滑るのは、どんなときだろうか?
独自設定がいっぺんに出てきたとき、初出のキャラが多すぎるとき、見慣れない用語がいっぱい出てきたとき、句読点のないセンテンスが続いたとき。
他にもあるだろうけど、だいたい、こんな感じかな?
そう。
ざっくり言って、目が滑るのは、「短期記憶」の容量を情報量が超えたときなんだ。
人間には、短期記憶と長期記憶があって、初出のもの、見慣れないものなどを見たときには、短期記憶が使われる。これは、みんな、なんとなく聞いたことがあるよね?
この短期記憶、厄介なことに容量があまり大きくないんだ。
試してみようか?
次の数字を覚えてみてくれ。結構ストレスを感じるんじゃないか?
906-251-5738
どうだろう? あえて語呂合わせがしずらいように数を並べてみた。これぐらいなら語呂合わせが効かなくてもギリギリ覚えられるかな?
語呂合わせが全く思いつかなかった場合、覚えるべき要素数は数10個分、すなわち『10』だ。
03-2525-4649
こっちはどうかな? 大抵の人がすんなり覚えられるんじゃないか?
語呂合わせなら、東京03ニコニコよろしく。東京03ニコニコよろしくだ。
こっちの覚えるべき要素数は、東京の市外局番を知ってるものとして、『3』だ。
人が短期記憶で覚えられる要素数は、心理学的に、7プラスマイナス2(5~9)と言われている。
つまりね?
一度に初出の人間を10人も出したら、誰も覚えられないんだよ! ででん!(頭に刺さったブーメランを引き抜きながら)
しかもだ。この7プラスマイナス2は、机の前で、「今から出るものを覚えてください」とやった場合の数だぞ。
みんなは、小説を読むとき、覚えようなんて思ってないよね? その場合、短期記憶のキャパはたったの「4」だ。
これは、社会学やマーケティングの世界で使う数字なんだけどね。ナンバーロックの鍵や銀行の暗証番号とか大体4桁になってることを考えれば、理解してもらえるかな?
つまり、何が言いたいか。よっぽどのことがない限り、「一話にだす初出の登場人物は4人以下にしようぜ」、あるいは、「初出の専門用語は一話につき、4個がいいとこだぞ」って話。
一応、見かけより、要素数を少なく感じさせるテクニックはあるんだが、それについては、拙作『いたもん』を見てみてくれ。下のリンクから飛べる。作者が「情報量エグい」と言われつつ、血の涙を流して、試行錯誤し、あがいている様がみられるから。ブクマとかしてくれると泣いて喜ぶ。
「いや、俺が書いてる小説は、100人ぐらい出てくるけど俺は、全員覚えてるぞ! お前ら記憶力なさすぎ」とか思ってないだろうね? それは、君の頭の中では、繰り返し見ることで、「長期記憶」になっているからだぞ。そう、おまえの中では、な(キリッ。
作者と読者はこれぐらい記憶量の差があるうえ、作者がそのことを理解していないから、なろう小説は目が滑る。
「見慣れない用語や独自設定」についても試してみようか?
※サヤは、ビリーの頬にキスをした。
女性が男性の頬にキスしてるシーンが頭に浮かぶよね? なになに? めちゃスタイルのいい超かわいいハーフエルフのお姉さんが筋肉質のでかい黒人にキスしてるシーンが思い浮かんだ? ありがとうございますっ! ありがとうございますっ!
こっちはどうだろう?
※ヌッペルオイホイは、ブッペルゴッフェイエーのラ・プーピェットにゴッヘルンカッフェルン。
あとがき欄、作者説明)男性名詞はエーで終わります。ラは中性名詞につく冠詞。プーピェットは、たくましい頬。ゴッヘルンは女性が男性の顔に手をふれるという動詞。カッフェルンは挨拶のキスをするという動詞です。
シラネーヨって感じだよね? 内容が入ってこないどころか、「どうです! 僕の作品はオリジナリティーにあふれているでしょう?」、なんて、ちょっと、したり顔をした作者の顔が思い浮かんできたりして、ぶん殴りたくなりません?
こういうの、オリジナリティーあふれるとは言わないからな! 嫌がらせだぞ、もはや。
例を見てもらったら分かる通り、名前とかは、無難なものを使ったほうがブラバされる確率が減るよ。
ちなみに句読点のない目が滑る例はこんな感じだもうあれだよね読ませる気がないとしか思えないよね一人称でこんなことをやるなってごめんね悪い例だからもう少しだけ付き合ってよカレーパン美味しいよねメロンパン?L知ってるかメロンパンはめっちゃカロリー高いクリーム入りメロンパンのカロリーは化物か艦長通常の3倍の速度で太っていきます当たらなければどうということはないこのメロンパン腐ってますお腹へってきたながまんがまん。
即ブラバだ! 即ブラバ!
まとめると、「読み手のことを考えろぉ! お前えぇえええ!」って話。