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55話 『神器』会談 その3

 アイが不安そうに、交渉失敗したとこっそり言ってきた。

 俺は見ればわかると答えた。


「うむむ……」


 キルケは、無言で悩むか考え込んでいるのか。

 話を聞いている限りだが、天界は天界で内部にいろいろ問題を抱えていそうな感じがするなぁと思った。

 具体的にどうという話はわからないけど。

 ただ、なんとなく。


「……話は終わりか?」


 キルケは、ふとアイに尋ねてきた。


「まだだ!」


 アイはそう言うが、俺を差し出すとか無い限り、アイからキルケに言うことはないだろう。

 ある意味、アイから天界の全武力で攻めてこいと、宣戦布告じみたことを言ってしまったわけだから。


「なんだ? 何がある?」


「ちょ、ちょっとまった。……イセ、こっち」


 俺の腕を掴み、ハイエースの中へ連れ込むアイ。

 キルケの方を見るが、特に文句を言うでもなく、こっちを見ている。


 いいの? アイのこういう行動はよくあることと慣れている?


 扉を閉めて、アイが小声で話す。


「どうしよう?」


 この交渉決裂状況から、何か打開策でもあると思っているのか、この幼女は?

 ほんとに18歳なのか?

 ほんとは見た目通りの幼い子なんじゃないの?


 と思ったことを、だだ流し状態で口にしたいと思う気持ちをグッとこらえる。

 ひょっとして俺、我慢強い方? と思ってしまう。


「なあ、どうする? どうしよう?」


「どうもなにも……あのキルケを捕まえて、屋敷に閉じ込めるしかないんじゃ? 天界とかいうところに戻ってこられたり、連絡とられて、攻められたら終わりだろ? あの衛兵隊に攻められるより絶望的じゃないの?」


「う、うん、そうだ」


「なら、キルケを捕まえるしか……あ、『神器』同士は争いはダメなんだっけ? それってなんかギアスみたいな、それをすると体中に痛みが走ったり、頭が締め付けられて痛くなったり、死んだりってことはないの?」


「な、なんだそれ!? そんな恐ろしいことはしてないぞ。そういう取り決めをしてるんだ。破ったら当然抗議に『神器』みんなで行く」


「遺憾の意を表するか……まあそれくらいか……」


 ん? ちょっと待て。


「『神器』みんな……それって何人いるの?」


「えっと……アイを含めて6人だ。昔はもっといたんだがな。『神器』同士の争いで減ったり、資格を失ったりして6人だけになった」


 そう言って、アイは悲しそうな顔をした。


「アイの他に、人間の『神器』がいたんだが、あいつが殺された時、アイがキルケに進言して取り決めてもらったんだ」


 アイが提案し、キルケが主導して、『神器』同士の争いを禁じた。

 そう考えると、キルケがアイを無視して俺を排除しようとしたというのは、結構重みがあるな。


 場合によっては、また『神器』同士の争いが始まるかもしれない。


 争いが始まることに……キルケは躊躇してない?


 ……いや、そんなことはないだろう。

 もしそうなら、俺だけをピンポイントで狙ってきたりはしない。


 キルケは、アイと争わずに俺だけの排除を考えて行動し、それが失敗した。

 アイがハイエースで直接ここに乗りこんできたことで、キルケの計画はすでに破綻している。


 キルケにも、争いたくない理由がある……かもしれない。

 となると……


「アイ、『神器』同士は戦ってはならないという取り決め、なくすって話をしたらどうだ?」


「何を言っているんだ。アイは反対だぞ。そう言ったぞっ」


「聞いてる。だから……それを話し合おうって話を、キルケにしてみよう」


「…………?」


 アイが首をかしげている。

 うん、俺の意図が通じてないのがわかった。


 アイの手を掴んで掲げさせて、俺はアイの手をタッチした。


「選手交代だ。ここからは俺に任せろ」


 『神器』同士の争いに片足どころか両足突っ込もう。

 どうせ争いに巻き込まれているんだ。もういいや。


 俺とアイはハイエースから出て、今度は俺からキルケに声をかけた。


「キルケさん、ちょっといいですか?」


 さん付けしたことに、キルケの眉はぴくりと動き、ウルシャは「失礼なことを!?」と驚いた様子。


「相談は終わったか」


「ええ。ここからは俺から」


「なんだ?」


「『神器』同士の争いは厳禁、なんですよね? 俺への排除はそれにあたらないんですかね?」


「あたらない。私は、天界の兵を差し向けるのだから。このような人から天使になったばかりもの者たちではなく、本物の天使の兵たちだ」


「な、なんだとーっ」


 アイが、めちゃくちゃ驚いて慌てている。

 ウルシャも驚きで顔面蒼白になっている。


 やっぱり、そんなにやばいんだ……


「それ、実質『神器』同士の争いと変わりませんよ」


「…………」


「こちらも、その本物の天使の兵たちに反撃したら、『神器』同士の戦いをしたって話にもなりますよね。なら禁止したことを破ったも同然だ」


「……何が言いたい?」


「『神器』同士の争いの厳禁、これを破棄しませんか?」


「何? お前が、それを言うのか?」


「ただの提案です。これを……『神器』全員で共有しましょう」


「……っ!?」


 強めの反応来た!!


「6人の『神器』が一同に介して、争い厳禁の破棄を話し合う。この手続きを踏みませんか?」


「ならぬ」


「何故?」


「…………」


 よし、ここに何か突破口があるぞ!!


 掴んで離すなっ!!!


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