27話 『力』の使い所
ぐったりしているクオンのことはウルシャにまかせて、俺はアイに話してみる。
「なあアイ。ひょっとしたら使いこなしていない俺の『力』、わかったかも」
「今の、ハイエース行為でか?」
「今の、模擬戦でな」
「神速の拉致監禁後のレ○プ未遂以外に何かやったのか?」
「ちょっと確定的じゃないんだけど聞いて欲しい。アイなら何かわかるかもと思って」
アイは少し考え込むようなポーズをとった後、助手席の方へ向かう。
「少し周辺を走りながら話そう」
「わかった」
アイだけを乗せて、屋敷を離れる。
「なんか離れないと話しにくいことでもあったか?」
「むしろおぬしの話を誰かに聞かれてはまずそうだと判断した。どこで聞かれているかわからないからな。クオンが情報漏らしていたし」
そういえばそうだった。二重スパイなんだっけ。とんでもない味方だな。
「移動しながらも個室で会話ができるっていうのはいいものだなぁ。自動車ってこっちの世界じゃ作れないかな?」
「ここまでは無理そうだけど、馬車に魔法で動力になる装置積めばなんとかなりそうだけど。さすがにこいつまでは無理じゃね?」
揶揄気味で言われるハイエースは、それだけ実用性のある高性能自動車なわけだから。
いきなりこのレベルを作るのは、無理があるというもの。
「よくそういうの思いつくな。異世界人発想ってやつか」
「ああ。現代知識でチートってやつだな」
「よくわからんが、今度うちの連中に話してみよう。それで、その『力』ってのはどんなだ?」
クオンとの模擬戦後に、彼女の口から出た捕まる前に力が抜けたという話をして、俺なりの考えを述べてみた。
アイは考える素振りを見せながら口にする。
「つまりだ。イセの『力』はこの自動車と、魔法の鬼たちの他に、そもそも拉致する相手の力を削ぐ魔法のようなものがある、ということだな」
「そんな感じ。ウルシャが戦ってるところを見て疑問に思ったんだ。なんであんなに強いのに、いくら鬼たちとはいえ、あっさり捕まったのか。捕まる前に捕まりやすくする魔法が掛かっていたと考えれば、納得いきそうだなと」
「だからクオンもあっさり捕まったということだな」
うなずくと、アイも同じように頷いた。
「うん、わかる。そういう作用があってもおかしくないな。あの誘拐する前の魔力の大きさからして、あれだけじゃないと思ったが、そういう力が働いていたのか」
だからこの前、使いこなしていない力があるとか言ってたんだな。
「それ、アイに今使えるか?」
「全然わからん。鬼に捕まえろとか、全力で行けとか、命令した時でないと無理じゃないかな」
「なるほど。試してみるのは危険だな。だってレ○プ寸前になるし」
「うん。俺も性犯罪幇助とかしたくない。だから……こいつをぶっつけ本番でカウフマンに使う」
「おおおっ!? その発想はなかった」
アイがやけに大きく驚いた。
何故? カウフマンにこの『力』を直接ぶつけるって、普通そう考えないかな?
「どうせ戦力的に屋敷を守りながら、AI機関の皆さんを守りながらなんて無理だからな。どっかでカウフマンへ奇襲をかけて撃退しないことには勝ち目はない」
「うむ。そうだそうだ」
「そういう意味では、やることはオフィリア嬢に対してやったのと一緒……速攻で近づいてカウフマンを拉致る。これしかない」
「うむうむ」
「ということで、どの辺で奇襲をかけるべきかは、クオンに攻めてくる衛兵隊の情報をもっと聞いておかないと」
「うむ」
「それじゃ戻ろう」
「ん? あれ? それだけか? 言うこと」
「ああ。ドライブ楽しいだろうが、この問題が片付いてからの方が、楽しくドライブできるだろ?」
「…………」
アイが黙って考え込む。何か聞いてないことや、言い出せないことでもあるのか?
「……なあ、イセ」
「なんだ?」
「カウフマンは衛兵隊長に成り上がった実力者で、妻帯者だ」
「あ、うん。奥さんくらいいそうだね」
「息子も娘もいる」
「そうなんだ」
なんだ? カウフマンの個人情報から、攻めどころでも考えているのか?
ひょっとして家族を人質にとか考えてる? 得意の洗脳魔法でこっちの味方にして脅してやろうとか?
見た目と違ってえげつないなー。ドン引きする。
「つまりカウフマンはいい歳した男なわけだが、拉致してレ○プするのに歳や性別は関係ないのか?」
「まさか! 流石の俺でもそこまではしないさ!! てかなんでレ○プすること前提なのっ!?」
びっくりして怒ったら、アイも意外そうにびっくりしていた。
この幼女、俺のこと何だと思ってんだ!?




