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24話 戦の前

 朝食を済ませた後、ハイエースの置いてある車庫へ。

 俺が発揮してない『力』というものについて検証してみようという話になった。

 魔法について知るアイが言うことだから、ただの当てずっぽうじゃないとは思う。


「しかし、ほんとにレ○プの後にあるものとかだったら……」


「却下」


「だよねー」


「……ちょっとやってみたいとか思ってる?」


「全然」


「その即答、嘘をついているなっ!」


「ないって、ないって! 信じてっ!?」


 アイがじとーと、一緒にいるウルシャもじとーっと見てくる。

 もうすでに目をそらしている自分がいる。


 なんだったら今後も使わないとか言えればいいが、『人喰い(オーガ・)鬼の分隊(スレイバー)』はこれから戦う上で最も重要な戦力だ。

 使わないというわけにはいかない。


「とりあえずさ。そっちはともかく、この車が水の上を走れるか実験してみようよ」


 昨日、やろうとしてできなかった実験だ。


「やろう!」


 ジト目が笑顔になった。幼女はたやすい。

 ってそういえば18歳だっけか。心が成長してない?

 そのことを示すように、喜び勇んで助手席に乗った。

 促されるように俺も運転席へ乗って、車庫を出て湖へ。


「それじゃ少しづつ行くぞ」


「おーっ」


 ゆっくりと車体を水辺から入れていくが……途中からぬかるみにタイヤをとられて動けなくなった。


「おい」


「ダメみたいだ」


「どうすんだ」


「まあ、こういう時のためにあるから」


 と、鬼たちを出して、車体を水辺まで引きずりだした。

 タイヤのグリップが効くところまで出たら、走り出した。


「ふぅ、良かった……」


「走れなくなったらどうするつもりだったんだ」


「……ドロで車体が汚れたから洗おう。洗車だ」


「考えてなかったな!?」


 アイに文句を言われながら、湖の水で車体を洗う。

 鬼にも手伝わせた。意外と器用にドロを流すので、やっぱり知能があるんじゃないだろうかって思う。


「こんなピカピカになるんだな。よく洗うと」


 いつの間にかアイも手伝っている。

 そんな中でも、ウルシャと他の人たちは俺たちの様子を見ている。

 なんだかシュールだ。


 と、そこへオフィリアがやってきた。


「アイ様……あ……」


 オフィリアがこっちを見ている中で、ふと立ち止まった。

 彼女の視線の先に、何があるのかわかった。鬼だ。


「はうぅ……」


 突然気絶したのを、ウルシャが支えてお姫様だっこした。

 その後、他の者にまかせて、屋敷へ引き返してもらった。


「イセ、鬼を出す時、オフィリアには気をつけてくれ」


「わかった。しかし可哀想なことをした」


「仕方なかったからな。ああしなければ、オフィリアは掴まっていたか、殺されていただろう」


 この『力』でなければ、救い出せなかった。

 タイミング的にもぎりぎりだった。


「そういえば、アイは全然鬼たちを見ても、驚かなくなったな」


「ああ、怖いけど、おぬしが操ってくれているからな」


「私は、まだ少し寒気がします」


 と答えたのは、ウルシャだった。


「為す術なく、あそこまで追い込まれたのは初めてでした」


「魔法で生み出された人外の鬼だからな」


 アイはそう言うが、どうだろうか?

 ウルシャの戦いをこの前見たが、油断があったとはいえ、あんなにあっさりとハイエースに引っ張り込むほど実力差があったか?

 確かに腕力だけならそれくらいの差はあるとは思うが……


 それからしばらくして、アイとウルシャと一緒に、屋敷の防衛についての打ち合わせに参加した。

 もう少しバリケードというか頑丈な柵をつくるということ以外、大きな変化はなかった。


 そして夕食を済ませたあたりの時間帯に、あたりを警戒にあたっていた兵士がウルシャのところにやってきた。

 城下町で動きがあったという連絡がきたとのこと。

 数千人規模の兵の動きがあったという。

 アイは、さっそく例の魔法で城下町の間者へ連絡をとった。


 日付が変わるくらいの時間になって、アイの元に連絡が入った。

 潜入している間者の情報によると、衛兵隊長カウフマン自ら率いる3000の精鋭が、AI機関のあるこの屋敷へ向けて出兵したそうだ。


 その話を聞いた俺は、


「いよいよ、こちらから撃って出るタイミングか」


「ああ……『力』の分析の方は間に合いそうにないな……」


「今の戦力でやるしかない。そこは腹くくって、勝てる作戦をたてよう」


「そうだな」


 こちらで戦えるのは、俺とアイとウルシャ。だがウルシャはアイの護衛だから、実質的には俺のハイエースと鬼たち、アイの魔法だけだ。

 ウルシャが剣を振るうなんて事態は、最後の最後だろう。


 そのウルシャが口を開く。


「カウフマンらの情報が欲しいですね。クオンはこの後どうするか書いてありましたか?」


「こっちに向かっている。頼もしい戦力だ」


 アイとウルシャの自信満々な様子から、クオンというのは相当な実力者らしい。


「あ、クオンってあの時、俺たちを助けてくれたり、門を開けてくれた子?」


「そうだ。かなりの戦力になるぞ。クオンは私以上の実力者だ」


「おおぉ……」


 ウルシャが言うなんてよっぽどだな。

 確かに、門を開けたり、衛兵たちを城壁から投げ捨てたりと、強そうではある。


「ただ、ちょっと頭が残念な子なんだ。そこは注意が必要だ」


「残念? どんな?」


「会えばわかる」


 アイが確信を持って自信満々に言う。

 どんな奴かどうか聞いて、会えばわかると言われれば、もうこれ以上は聞く必要はないだろうと思った。


 会ってみるしかない。


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