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142話 タツコの疑問

 星々の光だけの夜闇の中で、俺はタツコの質問にはっきりと答えた。


「はっきり言うと、俺の力であなたを女の子に変えてしまったんです」


 タツコの迫力に飲まれて、真正直に口を割った。


「わかった」


「え?」


 わかってくれた? 素直だな。


「で、どうして我はこうなった?」


「……?」


「人間の言葉は難しいな。えっと……どうやって我をこうした? これで我の聞きたいことがわかったか?」


「だからそれは、俺の力で」


「だからそれは、どういう力なのだ」


 俺の力がどういったものなのかを聞いている?


「そういう力としか、言いようがないというか」


「…………」


 タツコが一瞬きょとんとして、眉間に皺を寄せた。

 少し考える素振りをする。

 斜め上の方を見る仕草が、見た目の歳より無邪気感が出てて可愛い。


「つまり、自分でもよくわかっていない力ということか」


「はい。俺も知りたいですね」


「アイも」


 俺が言うとアイも釣られて言った。

 そんな俺たちを見ているタツコ。


「そんなよくわからない力を、我に使ったのか」


「…………」


 はい、と素直に応えるには、危険を感じて目をそらした。

 するとタツコはアイの方を見た。

 アイも当然のように目をそらした。


 これで応えられる者はいない……わけがない。


「そういうことなのでしょう」


 はっきりとカウフタンが答えた。


「……マジか」


「大マジです」


 呆然とするタツコが、見てられない。

 すごく悲しませている。

 もうやめさせたい。


「この男は、そういうことをやるヤツなんです」


 カウフタンはやめなかった。


「この男が、全ての元凶なんです。タツコ様」


 タツコは少しだけ我を取り戻して、カウフタンを見た。


「何故、君が怒っている?」


「よくぞ聞いてくれました! タツコ様と同じく、私もまた変えられてしまった者なのです」


「マジか」


 タツコが俺とアイを見るので、一緒にコクコクと2回うなずいた。


「…………」


 タツコはまた呆然とする。

 夜空を見上げるその姿は、ほんの少し神々しいとすら思ってしまった。

 流石『竜』だ。


「アイ」


「はい」


「前々から結果の影響を気にせずに魔法を使うところがあったが、この弟子もその類か?」


「弟子じゃないです。異世界から召喚した戦士だから」


「アイ」


「はい」


「人を女の子に変えるような戦士などいない」


「アイもそう思っていたが、ここにいたんだ」


「ややこしいな。百歩譲ってそういうヘンテコな戦士だったとしてだ。人や『竜』を女の子に変える戦士ってどういうことだ? 意味がわからん。説明してくれ」


「それは責任の所在でも明らかにしようという責めの姿勢か」


「そうとられても一向に構わない」


「アイは構う。だいたいタツコよ。『竜』の時は全然話さないくせに、ああやってみんなに攻められてやられそうになった時は、イセの力のおかげで逃げ出せたんじゃないか。なのに責めるなんておかしいぞ」


「それはなんだ? 逆ギレか?」


「逆じゃない。これは正統なキレだ。正ギレだ」


 アイとタツコが謎の言い合いを始めた。


「ややこしくなった」


「お前のせいだぞ、イセ」


 カウフタンが、ここぞとばかりに責めてくる。

 なんだこの状況は。


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