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126話 『至高なる鋼鉄の移動要塞』の力

 アクセルを踏みながら、目の前の戦いの様子を眺める。

 『竜』に対して一方的に蹴る巨大な鬼王。

 そして、さらにその上空から真力の光の武器が『竜』に向けて投げつけられている。


 ボコボコにされている『竜』だが、アイの魔法は途切れている。

 ゆっくりと身を起こし、まず鬼王を長い首によるなぎ払いで吹き飛ばした。


 俺たちの方に吹き飛ばされていたら、危うかった。


 それから『竜』は、飛んでいる天使たちに向かって咆哮を放つ。

 『竜の息(ブレス)』とは違う、見えない衝撃が天使たちに襲いかかっているようで、2体くらいがそれを喰らい、墜落しそうになっていた。

 他の天使たちの手を借りて、なんとか上空に留まるも、『竜』の攻撃の射程圏内から外れていく。


 そこで鬼王も天使も、俺たちに気づいたようだ。

 鬼王は「何をする気だ?」と期待を込めて見ている。

 天使たちは、俺がやろうとしていることに気づいているように見えた。


 邪魔される前にやらないとな……


「……アイの魔法、そういえばあの魔法は途中で終わってたけど、手も足も出なかったってわけじゃないんだよな」


「そんなわけありません。むしろ効いていました。魔法発動中は少なからず『竜』の体に満ちている魔力に影響がありました」


 ケアニスが答えてくれたので、さらに聞いてみる。


「『竜』って魔法の耐性、めっちゃ強いって聞いてたけど、アイの魔法が聞いたのは、すっごい強力な魔法をかけていたから、であってる?」


「だいたい。なくなったはずの魔法体系の復活と見間違うほどの大きさでしたから。それだけの魔力を動かし、魔法を構築していたからこそ効いた格好ですね」


「ってことは……『竜』を、女の子に変えようとするのは、どうなの?」


「普通に考えれば効きません」


 やっぱり。


「でも、話を聞くかぎり……おそらくいけますよ」


「根拠は? 勘?」


「見たこと無いですからね。勘です。ですが……カウフタンさんの話を聞くかぎり、効きそうです」


「何故?」


 ケアニスは、カウフタンを気にしていた。

 話していいものか、と。


「してくれ。ある程度は覚悟はできている」


 カウフタンがそう言ったのを聞いて、ケアニスは続ける。


「人の形を外から無理矢理変える技は、ほとんど神の領域です。人から天使に変えるのは、人が天使の力を使うという意思があって始めて可能なのですから……天使の真力の領域を越えています」


「だから神の領域というわけか」


 ケアニスが頷く。

 それを見て多少は自信が持てた。


「んじゃ、行くか」


 ハイエースを転がし、鬼王と『竜』との間に入る。

 どちらも重機よりも遥かに大きい姿だ。

 間近に迫ると、その大きさだけで圧迫感が半端ない。


 その2体が、小さなハイエースに注目している。


「切り札、参上」


 自分で粋がった台詞を吐いてみたが、自分で震えているのがわかる。

 できなければ、多分無事では済まない。

 そんなところに踏み込んでいる自覚がある。


 ウルシャもそうなのだろう、アイの小さな体をギュッと抱きしめている。


 ここに来たのは、そのアイが言ったからだ。

 それを思い出し、無理矢理奮起した。


「それじゃ……『竜』を助けようか!!」


 自らの体から外に放出される魔力に意識を集中する。

 この感覚は覚えている。

 最初にハイエースを召喚した時の感覚だ。


「行くぞ……『至高なる(エース・オブ)鋼鉄の移動要塞(・ハイエース)』!!!」


 光り輝くハイエース。

 そこから、一直線に伸びる輝く光が、『竜』へと注がれた。


 咆哮で受け止めることもなく、『竜』の体に当たった。

 避けることもできず、ただその光を受けて、困惑しているように見える『竜』


「これだ……この光だ……」


 恐れおののくカウフタン。

 彼女だけが、この光を浴びたことがある。


 光は、ハイエースと同じく、『竜』の体を包み込み始めた。


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