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99話 カウフタンの協力

 セディは善戦むなしく惜しくも敗退。

 だがこれは相手の好意ありきの戦い。

 戦いはまだまだ続く。

 頑張って欲しい。


「ではお見舞いに行こう」


「ここで行くのかイセ!?」


「具合が悪いところに見舞いに行くというのはそういうことだろう?」


「傷口に塩を塗り込むかのような行為っす」


「追撃戦によって立ち直れないほどの戦意を削ぐのは戦術の基本中の基本。戦場は常に非情であることをカウフタンは知っている」


「だからといってそれを我々がする必要はないような……」


 アイ、クオン、ウルシャと俺の提案に反対する面々。

 だが、ひとりだけ無言で俺についてこようとした者がいる。

 ケアニスだ。


「ケアニスも行こうというのか?」


「先程の方の話によるとカウフタンさんは素晴らしい方のようです。是非会って話を聞きたい」


 俺のような面白半分ではない、本当にそう思っていてそれをそのまま口にしているケアニスの純粋性。

 塩以上の激痛が走りそうな何かを傷口にねじり込みそうだ。


 それでも元々、カウフタンの様子を見せるというのは、ケアニスをこっちの味方に引き入れるために考えたことの1つだ。

 つまり断るには相応の説得力がいる。

 だが今、それを持ち出せる者はいない。


「ケアニスさんもこう言っている。仕方ないから行こう」


「本音は?」


「やばい。楽しそう」


 アイの質問に正直に応えると、アイも、そしてクオンも口元を歪ませる。


「仕方ないっすね」


「ああ、仕方ない」


 消極的な意味で仕方ないといいつつ、俺とアイとクオンはカウフタンの家へケアニスを案内する。


「……カウフタン殿、同情します」


 ウルシャだけが、本当に仕方ないという感じだった。


 まず見舞いの品を町で買って、それから5人でカウフタンの家へ向かう。

 訪れた時、家には使用人もいないのかカウフタンが出てきた。


「……あ。アイ様」


 パジャマから部屋着に着替えているカウフタンは、こっちのメンバーを見て少し身構える。


「見舞いに来たぞ」


「ありがとうございます。それでこちらの方はもしかして……」


「天使ケアニスだ」


「今は堕天使ですよ、アイさん」


 にこやかに応えるケアニス。

 対照的なのはカウフタンで、来るなって言ってたのに来たのかっ、って目で……何故か俺を睨んでくる。

 怖いので目をそらした。


「アイ様、お断りしたはずですが……」


「申し訳ない、カウフタンさん。私が無理を言い、お見舞いという形で会いにこさせていただきました」


「そ、そうでしたか……」


 ぐいぐいと迫ってくるケアニスに、動揺を隠せないカウフタン。


「あなたの話を聞かせてください。私の話を聞いてください」


「わ、わかりました。では家の中へどうぞ」


 翻弄されるカウフタンは、努めて冷静にケアニスの相手をする。


 そして家の中へぞろぞろと入る5人。

 応接間っぽい方へ通そうとしている。


 4人が部屋へ入り、最後に俺が入ろうとしたところでカウフタンに腕を掴まれた。

 そしてそのまま別室に連れ込まれた。


「か、カウフタン、何を?」


「いったい何を企んでいる!」


「えっと……」


 小声で凄まれる俺は、何があったかの経緯を簡単に説明した。

 するとカウフタンは、やっぱりそこだよなってところで訝しげに俺を睨んだ。


「女になりたい? それで私か? そんな冗談……」


「なわけないよ。この世界の人間は多種多様だ。俺の元いた世界もそこら辺は同じだった」


「……マジか。はぁ」


 カウフタンはガクッとなって顔をあげた。


「確かに、女になりたいっていうのはあるだろうな。うちの部隊でも一応禁じてはいるが……同性愛者もいたりする」


「あ、そういうのあるんだ。同性愛者だけで部隊つくったり?」


「んなわけあるか……ってお前のいた世界にはあったのか……あり得ん話ではないなぁ」


 カウフタン、やはり柔軟性のある発想ができる人みたいだ。

 ほんと、優秀な人なんだな。


「しかし、それでなんで私をダシにしたんだ。さっさと女にでもしてしまえばいいだろ」


「天使だから。いろいろ影響ありそうだから止めてたんだ。それに、もしやろうとしてできなかったらこの同盟すらありえなかった」


「なるほどな」


「この間に、時間引き伸ばしてケアニスと友好な関係を作っておきたい。もしダメだったとしても、彼から見て俺たちが助けるに足ると思ってもらうために」


「そう思ってもらえそうか?」


「わからない。だが彼はとても純粋だ。こっちが誠意を持って接すればそれなりに効果はあるだろう」


「そこに私が協力すればいいんだな」


「話が早くて助かる」


「わかった、協力しよう。ほんとにイヤだけどな。女になった感想なぞなんと言ったらいいか……」


 そこの部屋には、姿見の大きな鏡があった。

 自分の姿を見るカウフタンは、悔しそうな顔をした。


「……可愛いよ?」


「だからどうした」


「あ、可愛いのは認めてる?」


「うっ……そ、そりゃな」


「自分の姿を見て、見とれちゃったりは?」


「うるさい。さっさと行くぞ」


 耳まで赤くなって照れている。

 ひょっとして……喜んでる!?


「喜んでないぞ」


 こっちがからかおうとしたのを先に止められた。

 カウフタンは優秀だなぁ。


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