プロローグ 異世界へ
初投稿で至らないところも多いと思いますがよろしくお願いします。不定期更新です。週1ペースくらいでは上げたい・・・!
「日常に何か劇的な変化が起こらないだろうか」
そんな風に誰しもが一度は思うだろう。
夏風の吹き抜ける窓際の席でこの少年も例外なくそんなことを考えていた。
少年―― 青咲カナデ は都内の高校に通う高校3年生。
中性的な見た目と名前から女の子と間違えられる機会が多いことを除けば、概ねごく一般的な高校生だ。
カナデは欠伸を噛み殺しながら教師の話を聞いていた。
――もっと周回の効率を上げないと・・・昨日みたいに一戦で2時間もかかっていちゃあっという間に朝になっちゃうじゃないか。眠気でまともに授業も受けられやしない。
カナデは受験を翌年に控えながらも毎日大好きなゲーム、ALBAにのめり込む日々を送っていた。
ゲームにのめり込む、といっても人間関係だとかコミュニケーションの問題があるというわけではなく、寧ろ成績優秀で、教師からの信頼も厚い優等生だ。
ただ、単純につまらない日常から異世界へと誘ってくれる感覚が好きなだけなのだ。
ALBAは20XX年に爆発的なヒットを記録したMMORPGだ。
シンプルな操作性とド派手なスキル、グラフィックの美麗さがゲーマーだけでなく、子供や主婦など幅広い層にウケ、ユーザーは全世界1億人に到達する勢いの今や日本で知らない人はいないとまで言われるモンスターゲームだ。
眠い目を擦りながらなんとか一日を終え、カナデはいつものようにALBAをプレイするため下校のチャイムとともに足早に一人教室を出る。
なにやらクラスメイトがカラオケかどこかへ行くらしいが、そんなことは今日のカナデにはどうでもよかった。
何といっても今日はALBAのサービス3周年記念イベントの日!ゲーム内では盛大にお祭り騒ぎだ。
期待に胸を躍らせ、帰路につく。
バスに乗り、見飽きた通学路を通り過ぎていく。
そうして帰宅し、ただいまの一言もなくノートPCのある部屋に急ぐ。
そういえばこんな生活がルーティーンとなってしまったのはいつからだっただろう、
何度、いや何十度目か分からないそんなくだらない思考をを画面の向こうの祭への期待で払拭し、デスクに腰を下ろしたその時、
スイッチに手も触れていなかったノートパソコンが眩いほどの光を発し始めた。
「うわっ――」
間も無く、カナデの全身はその光に飲み込まれていった・・・・・・