Dead or Alive
・・・・・・皆さんは生きることに価値があると思いますか。
何のために生きるのか、生きて死にその先は。
貴方には生きたいと強く願うほどの理由はありますか。
在るならば何故貴方は、その理由の為に生きようと思うのですか。
再度問います、生きることに価値はありますか。
ぼくは生きていることに価値を見出せない。
生きていて何になるのか。意味も無い、見返りもない。
なら何のために生きるのか。
大人は怖い、怖い。
大人は力があるから、あの拳で殴られたらひとたまりも無い。痛い。
痛い。痛い。痛い。痛みは体を蝕みやがて殺意へと。
『貴方々に問います、生きることに意味はあるのでしょうか。』
ぼくは即答する、そんなモノは無いと。
『ならば、意味の無い時間を有効に使いましょう。』
有効にとは?でも、ぼくから声が出ることはない。
『生きる意味を見いだすためには、それくらい死に近づかなければいけません。』
死に近づく?生きる意味とは?
『さあ、デスゲームDead or Aliveの開始です。』
________数日前________
「はぁ、これでもない。」
(今日のコレは良いと思ったんだけどな。)
少年の足元に転がる肉塊、目だけがくりぬかれ真っ暗な闇を作り出している
「ああ、でも色は綺麗なんだよなぁ。」
少年の持っている球体状のモノ、コバルトブルーの瞳
「きらきらしてて綺麗だ。」
愛おしそうに生気の感じられない暗い瞳を見つめる
ニタリと顔を歪めると瞳を袋にしまい立ち上がる
そうしてゆっくりと夜の闇の中へと溶けていった
「また目のない死体か。」
少し肉のついた警部がやつれた顔で言う
「これで28件目ですね。」
警部の隣にいたやせ型の刑事がこれまた酷く顔を歪めて言った
「何故目だけを持っていくのでしょうか。」
「そんなこと決まっているだろうが、愛でるんだよ。」
「ええ!なんだか気持ち悪いですね。目だけを持っていって愛でるなんて」
「コイツをやったのは相当頭のいかれてる快楽殺人鬼だからな。気持ち悪いと思うのは正常な証だ。」
警部と刑事が顔を顰めて話し合う
「とにかく、容疑者を当たるぞ!」
「はい!」
「朱乃、もう起きたほうがいい。」
少年の体を揺らすのは、大人びた印象をもつ青年だ
「ん~、もうちょっとだけ・・・」
「だめだ、もう起きろ」
「うわぁ、なにすんだよ」
無理矢理布団と奪い取られふてくされた顔で青年を睨む
「すぐに起きないお前が悪い。」
ほら、早く立て。と言って少年の腕を掴み立ち上がらせる。
「あーもう、分かったから離せよ・・・」
「ならいい。」
そう言ってあっさりと少年の腕を離す
「着替えるからでてって。」
「女じゃないんだし、別にいてもいいだろ」
「良い分けないだろ」
青年の背中を押し部屋から追い出す
「おい、着替えたぞ」
「ん、じゃあ行くか」
二人は学ランに身を包み、学校へと向かう
向かっている途中で少年は猫の死骸を見つける
「ちょっとどかしてくる。あのままじゃ子猫まで引かれる」
「あ、おい!・・・はぁ、先行ってるからな。」
「うん。」
少年は猫の死骸を腕に抱き抱え道の外れまで持っていってやる
少年は学ランが血で汚れようともとくに気にした様子はない
じゃあな、と子猫に一言つげその場を後にしようと道路へ一歩踏み出した
その時、右側からトラックが凄い勢いで走ってくる
そのまま少年を引いて血飛沫を撒き散らす
ああ、死ぬのか。と少年は他人事のように思っていた
どうせどうでも良いことだ。と・・・少年は生に執着していなかった
だから、どうして自分が選ばれたのか分からなかった
ただひとつ思い当たるモノとして・・・
『ぁ・・・は・・・です・・・・・・そ・・・あな・・・・・・は・・・・・・・よう・・・す・・・・・・・・・・・・・おめでとうございます。』
_________ブツッ____神経の切れる嫌な音、脳の焼ける嫌な臭い、目眩がするくらい一面の赤。