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2-殺

 二度目の転移。

 今回は幾分かの余裕を持っている。心の余裕は全ての余裕につながるのだ。


 地に足が着く感覚。

 足裏から伝わる感覚からして、硬い床であることがわかる。

 はやる心を抑えつつ、ゆっくりと目を開けると。


 何やら激戦の最中でした。


 どうやら城の中に転移させられたらしい。

 ……うん、多分魔王城とかそういう類の。

 ん?なんで分かるのかって?

 だってなんか戦ってるんだもん。魔王っぽいのと勇者パーティーっぽいのが。

 あと内装がなんか全体的に黒い。禍々しい。

 後ろにすげえ門あるし。あと前で戦ってる奴等なんか勇者っぽいし。


 と、そこで気が付く。


【お前らを必要としてるみたいだから呼ばせてもらいました、拒否権は無いよ】


 あ、呼ばれたってそういうことね。


 じゃああの魔王(仮)を助ければええのね。


 位置的には現在僕が突っ立っている場所がこの部屋の扉の前。

 その50mくらい前に勇者パーティーの一人と思われる女賢者(仮)。

 さらにその女賢者(仮)の20m程前に女格闘家(仮)と思われる人影。

 女格闘家の隣に勇者(仮)。

 相対するは魔王(仮)。

 物語などでよく見られる典型的な布陣である。


 という訳で、僕の色法のお披露目タイムです。


「【一重の幻影(エインディヴィジョン)】」


 影がボコボコと泡立ち、膨張し、人間の形を取る。


 黒の共通色法【一重の幻影(エインディヴィジョン)


 その名の通り、影で構築された自分の幻影を作り出せる。

 なおかつ発動者と【幻影】の位置を自由に入れ替えることができる。

 が、非常に脆く、効果範囲が15mと狭い、なおかつ使用者と同じ動きしかできない。


 法名について?

 宣言したほうがしないよりも強化されるんだってさ。


【幻影】から離れるように距離を取る。すると対応して【幻影】も距離を取る。

 これ面倒くさいな、召喚位置ずらせないのかな。


 というわけで。

 準備が出来たのでバトルに突っ込むことにした。


 と言っても戦闘未経験でど素人な僕が突っ込んでも即死するだけだと思うのでサポートに徹する。

 まずは回復役であろうあの女僧侶(仮)を殺す。

 そう、殺害する。

 立派なサポートだ。


 作戦はこうだ。

 まず後ろからアイツを蹴り倒す。

 次に持ってる杖を奪う。

 奪った杖で刺し殺す。

 よし、完璧だな。


 というわけでダッシュ。


 目的の場所まで目測で約50m。

 いける。

 後ろは振り向かないでくれよと念じながら突っ込む。

 ここまで来れば何も問題はない。

 ダイレクトアタック。


「おらっ」


 飛び蹴り。そのまま勢いを削る。

 女僧侶(仮)の上に着地。


 ずがががががが。


 第三者の登場に驚く場の面々。

 構わずに言う。


「やれ!」


 なんとなく自分を指していると気づいたのだろう。

 魔王(仮)が即座に勇者(仮)に攻撃を仕掛ける。

 それを確認した僕は未だに起き上がる気配のない女僧侶(仮)から杖をふんだくる。


 その場の勇者パーティーが動き出すももう遅い、女僧侶(仮)はそのまま僕に首を貫かれ多分死亡、

 勇者(仮)は魔王(仮)の攻撃をモロに食らい瀕死、

 残った女格闘家(仮)だけで攻撃を受けきれるはずもなくあっけなく肉塊に。


「畜生ォ!!」


 勝負アリですな。


雪里(ゆきさと)!!見沼(みぬま)ァ!!」


 へんじはない ただのしかばねのようだ。

 というかどっちが雪里でどっちが見沼だよ、分からん。

 日本名だし。


「残念だったな三幻色の戦士達よ」


 あ、三幻色の戦士って言うんですか君達。


「そしてそこの黒の戦士よ、例を言う」

「ああ、いいよいいよ」


 10m程離れた場所から声を上げる。

 もちろん俺自身が突っ込む訳もなく。

 リンクしてる【幻影】で殺った。

 無駄に広くて良かった、調節が簡単に出来たから。


「多分呼んだのアンタだろう?」

「呼んだ?」

「必要としてる奴が僕を呼んでるって」

「……そうか、よく分からないが、敵ではないのだな?」

「ああ」

「その言葉、信じよう」

「いいのか?そんなに簡単に信じちゃって」

「ふん……お前程度の雑魚、何時でも捻り潰せるということだよ……それを寄越せ」


 一瞬何を言われたのか分からなかったが、持っていた、持たせていたというのが正確か、女僧侶(故)の杖を投げる。

 全く慣れていない【幻影】の操作により投げた杖は魔王(仮)の足元に落ちる。


「……」

「……」


 しばしの静寂の後、杖を拾い上げ勇者(仮)の心臓と頭部に突き立てた。


 その間に【幻影】を解除、影に溶けるように沈んでいく。


「ふぅ……」


 一つ軽い溜め息をつき、彼は玉座(?)に座り目を閉じる。


「疲れた……」


 発せられた言葉につい笑みがこぼれる。


「ああそうだ、色々聞きたいんだが、いいかな」

「なんだ……」


 疲れをにじませた声で言われたため若干の罪悪感が芽生えた。まあいいや。


「ここどこ?」


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