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心優しき狼よ、曠野を行け  作者: 柿ノ木コジロー
第二章 ― 2 ―
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23 土手沿いの道より

 あまり急がなくていいからできるだけ慎重に、確実にお願いします、とのことだったのでカケルはとりあえず、彼の様子を見に出かけてみた。


 住んでいるのは官舎らしく、長屋のように隣とひと続きになった簡素な平屋にホンカワチは寝起きしていた。独身らしく、つき合っている女性も今はいないようだった。


 何だか、俺と似てるな。土手沿いの車道、大きな桜の木の下に車を停めて、いかにも携帯で会話しているかのように耳に当てながらカケルはその住処を見おろしていた。


 ムカイヤから電話を受けてから、すでにここに来るのは四回目となっていた。

 いつもいつも車では疑われるだろう、とバスに乗って近くを歩いてみたこともあったし、わざわざ車を少し離れた河原の空き地に停めてそこからジョギングのふりをして土手を行ったりきたりもした。夜半にも二回程覗きに行った。


 夜は、一回目には十一時過ぎに明かりがついて家の脇に黒いバイクが停めてあったのだが、次の時には、同じ時間でも真っ暗で、バイクもなかった。多分、警察署に泊まり込みになる時があるのだろう。勤務表が手に入れば少しはシゴトの役に立つのかも知れないが(そのような追加調査は、ムカイヤに頼んでもいいらしかった。しかし、そこまですることはめったにない)、とりあえず、あるだけのデータで対処してみようか、と思い始めていた。とにかく、あまり面倒なことをしたくなかった。


 ホンカワチは刑事と言っても私服警官というわけではなく、刑事課に所属するというだけで、田舎町の警察署で普通に勤務する警察官というイメージだ。


 ムカイヤたちからどうして処分の依頼があったのだろうか、カケルは携帯を置いて、座席に深く座り直す。


 殺す理由なぞ、そう言えば今まで深く考えたこともなかった。

 細かい下調べが面倒くさいのと実は同じところに根があるのでは、と頭の中をよぎる。


 怖いのだろうか。殺す者たちを詳しく知ってしまうのが。

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