溢れた雫の行く末は ―継―
連れてこられたのが異能者ギルドであったのは幸運だった。人の息遣いが聞こえる、賑やかな空気に混ざれる、気を紛らわすのにはちょうどいい。
ことに「緑風の旅人」には陽気で人好きのする面々が多かった。冒険家に類する者の集まりで、集団の閉塞感というものに囚われないためだろう。
だから、アメリアが少し気を抜いたと見るやいなや、場の空気も一遍し和やかになる。それがどことなく宴会方向に行ってしまったのは、主にルルーのせいだろうが。
ルルーに酒を差し入れた男は一つ気を利かせて、アメリアのための野イチゴ水の注がれたジョッキを持ってきてくれた。顔を近づけるだけで甘やかな香りが漂い、気持ちも癒される。
それに加えてもう一つ、小鉢に入れられたぬめぬめとした何か。鳥の皮を大雑把に刻んだような物体が、透明で粘りのある液状物質に絡まれている。食べ物なのだとは思ったが、アメリアの食欲はあまりそそられなかった。
ところが、それを見るなりルルーは目を輝かせた。
「なんだ、気が利くねえ」
「これは……?」
「ぬめり兎の皮をゆがいて刻んだのさ。毛が無いんだよね、あいつらにゃ。代わりに粘液着ててベタベタしてる。これがね、こうやって食べるとウマイんだよね!」
そう言いながら、ルルーは乾パンで兎の皮の刻みを山盛り掬うと、糸引く粘液ごと頬張った。ざくざく、ごりごりという音を一しきり響かせて咀嚼する顔は、確かにこの世の楽園に居るかのようである。
人が目の前で物を食べていると、動転していた時は忘れていた自分の空腹感も呼び起こされる。考えてみれば朝から食べていないのだ、思えば思うほど胃が悲鳴を上げ始め、めまいもしてくるほどだった。
アメリアもそっと乾パンに手を伸ばし、上等な野イチゴ水も口にして、遅すぎる朝食とした。質素だが、逆に心が洗われる気がする。そんなアメリアにルルーは兎の珍味をやたら進めてきたが、丁重に遠慮した。どうにも小鉢を差し出されるたび、鼻につく生臭さが否めなかったから。
遅い朝食から始まった宴会は、そのまま昼食の時間へともつれこみ、昼下がりになっても止む気配は無かった。雨が収まらないせいで、ギルドの面々も、もちろんアメリアも宿屋「緑風」に閉じ込められてしまっているからだ。ただ駆け込みの休憩客で、宿屋としては少々賑わっているようでもあるから、一概に雨を悪く言えない。
その豪雨の中ずぶ濡れになって葉揺亭の様子を見て来てくれた者も居た。ルルーに問い詰められて飛び出していった二人組だ。
彼らの見た限りでは、一切の音沙汰が無かったらしい。玄関の鍵は閉まっているし、中を覗こうにも窓にはきっちり暗幕がかかっていた。耳をそばだてても、聞こえるのは雨が打ち付ける水音のみだった。
報告を聞いてギルドの者たちは顔を曇らせたが、アメリアは逆に安心できた。出て来た時、鍵は開け放して来たままだ。つまり誰かが閉めたということ、あの後マスターが動いたということ。あのまま朽ち果ててしまうという、他に代えがたい恐れはなくなった。
そこまで考えて、アメリアはふと自嘲した。なんだかんだ言って、マスターのことを考えてしまう。もうどうしようもないところまで来ているのに、あれだけ外に出たいと強く意志を示したのに、結局心が葉揺亭に捕われたままだ。
やめよう。もう、後ろを向いたって仕方がない。これから考えるべきは、昔の楽しかった日常ではなく、未来に待っている非日常でどう生きるかだ。雨が上がるまで、それをゆっくりと考えることにした。
一人で静かに考えたかったのだが。
「……何ですか?」
椅子に座っていたところ、背後に妙に浮ついた気配を感じて、アメリアは振り返った。そしてつい肩を震わせる。小柄な男が、そわそわとした様子で張り付く様に立っていたから。だが正確に言うなら、彼の興味はアメリアにではなく、傍らにある銀のダガーに向いている。
男は、丸い目をきゅっとつむり、両手を合わせてアメリアに頼み込んだ。
「それ見せてよ、ちょっとだけ! ほんとに、見るだけでいいから!」
アメリアは怪訝な面持になって、思わずルルーに助けを求めた。彼女は少し離れたところで、同僚たちと飲み比べをしていたが、アメリアの視線には気づいたらしい。すぐに破顔して「ただの刀剣好きだ」と教えてくれた。
おずおずと頷きながら鞘ごとダガーを差し出すと、男はひったくるようにそれを取り、躊躇いなく鞘を脱がす。光源石の照明に向かって掲げながら、まるで絶世の美女を眺めるように蕩け、口から思考をだだ漏れにする。
「エルツ銀のダガーかあ、いいなあ。軽いくせに鋼鉄より頑丈、錬成法が失われたのが悲しいねえ。装飾も凝ってるし、うーん、こうしてもって掲げると並々ならぬ気配がする。……でも研ぎがいまいちだ。ぎざぎざしてる。もったいないなあ、これじゃあスパッとは切れないよ。いくら突きが中心って言ってもさあ、刃なんだからさあ、もっとさあ」
「いや、私がやったわけじゃなくて」
「そりゃそうだ、君みたいな子がダガー持ち歩いてるって思わないよ。こりゃ、前の持ち主のせいだ。こんな引っかかる刃でも平気だなんて、相当適当な奴だったんだろうなあ。切り口だってがったがただよ、名剣が形無しじゃないか。ちくしょう馬鹿野郎め、もっと道具を愛してやれよ!」
うるさいな、という前の持ち主の不機嫌な声が遠くから聞こえた気がして、アメリアは吹き出した。
そして部屋には刃物を研ぐ音が小気味よい調子で響いていた。研ぎ直してくれると言ったので、任せたのだ。より正しく言うならば、別に使わないから研がなくていいと言ったのに、今生の願いだからやらせてくれと頼みこまれたのである。
使うどころか売るつもりだったのだと本音を言ったら、刀剣男だけでなく方々から非難を浴びた。そんなもったいないことを、二度と手に入らない、後悔する等々。さすが探索を専門に行うギルドというところだろう、珍品名品には精通しているようだ。
しかしアメリアは少し悩ましかった。そんな大層なものを自分がもらってしまってよかったのだろうか、と。例え餞別と言えどもだ。
そんなアメリアに更に贈呈品が重ねられる。先ほどからあわただしく物入れなどを漁っていたルルーが、「これあげる!」と声を上げながら駆け寄ってきたのだ。
彼女の手には革のベルトが握られていた。いささかくたびれている上、表面は擦れている、ずいぶん使いこなしたものらしい。物を引っかけられるような留め具がいくつもついている。例えば、ナイフをぶら下げて持ち歩くのにちょうどいいような。
「あたしのお古だ、ちょっと臭うけど……いいよね!」
「あの、私べつに武器持って歩きたくないんですけど」
「いやいや、隠し持ってるほうが感じ悪いよ、暗殺やってるみたいじゃん。これで見えるとこにぶら下げとけば、威嚇にもなるしね。アメリアちゃんかわいいんだから、悪い男を寄せ付けないように! 身はきちんと守らなきゃ!」
からからと笑いながらルルーは革のベルトをアメリアの腰に巻き付け、締めた。普段から着ているワンピースだが、意外と馴染んでしまったのが不思議である。アメリアは複雑な面持で腰回りを見下ろしていた。
ルルーもまた、ほれぼれとした様子で見ている。
「意外と似合うじゃん! いいねえ、そのまま宝さがしにでも行けちゃうよ」
宝、という単語がアメリアの心に波紋を描く。旅立ちにあたって詰めた、思い出の品の宝箱、あれはまだ葉揺亭にあるのだ。もちろん、旅立ちに向けた荷物と共に。それがアメリアの全財産でもある。
捨ててしまうのは惜しいし、無一文でノスカリアを出るわけにもいかない。件のダガーを売り払えば金の問題は解決するとはいえ、思い出の品という宝は他に変えることが出来ない。
一度自分の部屋に行かなければならない。しかし、あのマスターと顔を合わせるのはごめんだ。恐れといたたまれなさが相まって。
はあ、とアメリアは憂いの息を吐いた。マスターを出し抜くような策を考えてから、行くしかない。
日没とほぼ同刻になって雨が止んだ。アメリアの思案がまとまるのを待っていたかのようだった。水幕に閉じ込められていたギルドの者たちも、一人また一人と羽を伸ばして外に飛び立ち始める。旅人が無為に留まることはないのだ。
人が去り、あるいは酔いつぶれ寝静まり、にわかに閑散とし始めたギルドの談話室だったが、一角ではいまだ管が巻かれていた。いつの間にか混ざっていた宿の主オーベルを中心に、ルルーと他もう二人、素面を保っている面々だ。アメリアもルルーに抱え込まれるようにして、卓に同席させられていた。
オーベルからアメリアに向けられる視線には、どこか気まずさが混ざっていた。正義感を振りかざして暴力を振るったが、乱暴されそうになったというのはオーベルの誤解だったと当の本人からいの一番に断言されてしまったからだ。
それでもまだオーベルはマスターのことを許せないらしく、先ほどから非難囂々だ。
「あの店主は、ああいうとこが、気に食わないんだよっ! べらべら難癖ばっかり付けて、動きやがりゃしねえ、口ばっかりだ! 男ならよお、一発くらい殴り返してきやがれってんだ!」
「ほんとに殴られたらまたそれで怒るくせに」
「だいたい、いつもはべた褒めじゃないっすか、旦那。若造なのに落ち着いててきっちりしてるってさ」
「頭が良すぎてどっかおかしいんだ、あの野郎は。けっ」
「ごめんね、アメリアちゃん。旦那さあ、自分に脳味噌ないからって、マスターに嫉妬してんだよ」
「おいこらルルー、誰が馬鹿だってんだ!? だいたいよお、てめえだって絶対同じことしただろうが!」
「ま、ね」
ルルーはアメリアの肩を抱きながら、むうと口をへの字に結んだ。
アメリアの心は針で刺されるように傷んでいた。マスターの悪口を言われること自体にもだが、それ以上に、マスターに嫌悪感を抱かれたという事実が。かけがえのない常連だったのに、きっともうオーベルが葉揺亭に足を運ぶことはないだろう。予測される未来が、悲しくてしかたがない。
そしてオーベルに限った事ではないだろう、この噂が広まって、あるいはこれからアメリアがする行動によって、もっと多くの人間の足を遠のかせるに違いない。溢れた雫は一滴でも、それが暗き染みとなり、穢れなき聖域を侵していき、二度と戻すことはできない。
戻る道が無いのなら、進むだけだ。そろそろ行こう、アメリアは小さく咳払いした。
「あの……私、やっぱり行きます。荷物も、あるし」
アメリアは弱々しく笑った。ただ、旅立つことはここの面々に伝えていない。ただマスターと大喧嘩して、二度と帰れない程に亀裂を深めてしまったということのみだ。それ以上言わないのは、引き留められるか、放りだされるか、どちらに転ぶかわからないから。オーベルだってアメリアのことを娘のように思っているのだから、一人旅に出るといったら真っ赤な顔が真っ青になってもおかしくない。もうこれ以上話をこじらせて揉めるのはこりごりだ。
案の定というべきか、オーベルが反対する。
「やめとけやめとけ、アメリアちゃんが折れるこたあない。またあの野郎つけあがらせるだけだ」
「だけど……いつまでもここに居て、ご迷惑かけるわけにはいかないですから」
「迷惑だあ? それなら俺は最初から連れて来たりしねえぞ」
「そうそう、あたしさっきも言ったけどさ、いつまでだって居たっていいんだよ。もしマスターが腕づくで連れ戻しに来ても、あたしらががっちり守ってやるからさ!」
「やめてください、そんな。だいたい、マスターも怒鳴り込んできたりはしないですから。たぶん……」
言ったアメリアの声はしぼんだ。マスターは外に出ない、だからきっとここにも来ない。本気でアメリアのことを逃さないと追いすがるつもりなら、もっと早くにそうしていただろうから。自分で言っておきながら、その事実に少し悲しみと怒りが沸く。
アメリアの中に渦巻く感情は、オーベルが平手でテーブルを打ちながら代弁した。
「そこがまたむかつくんだよ! 大事だ大事だって言う割にゃ、あの野郎、迎えにも探しにも来やしねえ! あんだけアメリアちゃんのこと泣かせといてよお、嫌われたくねえってなら、向こうから泣いて謝りにくるべきだろうが、あん畜生! ……なあ、アメリアちゃん、帰ることねえって。ああいう上の立場でふんぞり返ってる野郎は、一回底まで落とされねえとわかんねえんだよ」
「心配しなくても大丈夫です。葉揺亭じゃなくて、友だちのところに行きますから」
「お、そうか……。なら、まあ、止めやしないが。気をつけるんだぞ、いや、誰か送ってって――」
「大丈夫です。私だって子どもじゃないですもの、一人で歩けますよ」
アメリアは強い笑顔を作ると、「緑風」の面々に礼と別れを告げて、仮の宿を立ち去った。大事な荷を取り戻すために。
そして困ったときに頼るべきは友だ、頼もしい最愛の友人。アメリアは暗雲立ち込める空の下を、彼女のもとへと真っ直ぐに駆けて行った。
アメリアがけたたましく叩いた扉の向こうから現れたレイン=リオネッタは、友の姿を見るなりいたく驚いた顔を見せた。月も雲に隠れる暗い宵の入り、腰に輝くダガーを携えて、目は泣きはらし肩で息をしているという有様なら、尋常ではないのは一目瞭然でもある。アメリアが何か言う前に、彼女は慌てて家に上げた。
お茶を淹れるから、と言って立つレインの背中に張り付いて、アメリアは事情説明をした。気がはやったのだ、茶話としゃれ込む内容でも状況でもないから。
アメリアは洗いざらい話した。自分がノスカリアを去ろうとしていること、マスターが自分に告げたこと、豹変した主とオーベルが来てからの顛末、全てを包み隠さず、起こったことをそのままに。先ほどとは違い不透明にはしたくなかったのは、やはり親友だと思っているから。自分の口で別れを告げないのは不味いと感じたから。
レインはずっと静かに聞いていた、単調な相槌を打ちながら、どこか悟ったような顔つきで。
「――ごめんなさい、こんな時間に押しかけたりして、しかもこんなお話しして」
アメリアはそう言って小さく頭を下げた。それが、ちょうどお茶が出来上がったのと同時だった。
とりあえず座ってくれとレインが促し、二人は隣同士で椅子に座った。
レインの人形たちが棚から見守る中、お互い黙ったまま並んで紅茶のカップを取る。乳白に濁った茶には、ほのかにシナモンの香りが混ざっていた。香辛料のかおりがついた茶は、レインの嗜好に沿ったものだ。
おいしいと思う。喫茶専門店で働く自分が言うのもなんだが、おいしいのだ。舌で感じる味覚の問題ではなく、心づかいという、もっと感情の深くを打ちふるわせる味わいだ。
優しく甘やかな茶に舌鼓を打ちながら、アメリアはレインの横顔を伺う。自分と同じように紅茶を飲みながら座っているが、心ここにあらずと言った風である。真っ直ぐ前を見て、一体何を考えているのだろうか。
レインは静かにカップをテーブルに置いた。それから両腕も投げ出して、脱力するようにうめき声を漏らしながら、肘の間に顔をうずめたのだった。
はあ、と息を吐いた後、くぐもった声が放たれる。
「ああ、もう、そういうことだったんだ! アメリアが居なくなったって言うから、私、すっごく心配してたんだよ!」
「なっ、何で知ってたんですか!?」
アメリアは思わずカップを取り落としそうになった。一体どこで情報を仕入れたのか、いや、そもそも今朝のもめ事を知っているのはアメリアとマスター、それに「緑風」の面々に限られている。しかしさっきまで自分は「緑風」に居たのだから、残っている可能性は一つだ。
まさかマスターが自ら、と思っていると、レインが首をひねるようにして顔を見せた。眉間に皺をつくって、アメリアに教えてくれる。
「さっき探しに来てたんだよ、アメリアのこと。……マスターじゃなかったけどさ」
「え? そんな、一体誰が」
「あの、ほら、青くて長い髪のお兄さん」
その容姿に該当する人物は、アメリアの記憶の中には一人しかいない。ティーザ=ディヴィジョン、スラムの学校で教壇に立つ、ヴィジラという名の仮面を付け災厄を見張る、葉揺亭のマスターと旧知の仲である、そんな人物だ。そして主の知古であるということが何を意味するか、それは察するに余りある。ヴィクターが知っていたことを、よりマスターと深い仲である彼が知らぬはずがない。
ティーザはマスターに味方するのだろう、だから自分を探しているのだ。アメリアの顔から血の気が引く。ヴィジラという肩書を背負う以上、常人でないのは明らかであるし、実際に不夜祭で彼の力の一端は見ている。顔を合わせた時に本気で捕まえようと来たのなら、アメリアに逃げる余地はないだろう。
緑風を出て来たのは正解だった。あそこで鉢合わせるようなら、間違いなくオーベルやルルーは息巻いて、ティーザに掴みかかっていただろう。そうなれば終わりだった、定められた姿をしていないと言えヴィジラに手を出せば、法の裁きを受けることになっていたに違いない。ただの身内の喧嘩が、とんでもない大事になってしまう。
アメリアはぞっとするものを感じた。あるいは、マスターはそこまで見越してティーザを送り込んできたのかもしれない。しかも、ここに先回りされているということは、ノスカリアで自分が居そうな場所は間違いなく全て抑えられ、囲い込まれているだろう。
それでアメリアをつかまえたとして、マスターはどうするのだろうか。もちろん、もう二度と外に出してはもらえないのは予測できるから、捕まるわけにはいかないが、少しだけ気になる。
青ざめた風のアメリアには気づかず、レインは喧々とマスターに文句を言う。どうやら思うところは、皆同じらしい。
「それにしても、そんな話なら自分で探しに来い! って感じだよねえ。あの人だって、もううんざりって顔してたしさ」
「えっ、そうだったんですか?」
「うん。ま、走り回らさせれて疲れてただけかもしれないけどね。何があったのか詳しく教えてほしいって聞いてみたんだけど、『別に大騒ぎする程でもないんだ』って濁されちゃった」
アメリアには朗報だ、もしかしたらティーザも自分に味方してくれるかもしれない。が、すぐに思い直す。彼は見逃してくれたとして、それがマスターにばれたら、一体何をするかわからない。なまじ仲が深い分、感情のはけ口にされ八つ当たりされかねない。自分のせいで誰かが傷つくのは、嫌だ。
しかし向こうのことをどうすることは出来ない。アメリアは申し訳なく思いこそすれ、自分の意志を曲げるつもりは無かった。ただ、ティーザがうまく立ち回って、穏便にことを済ませてくれることを祈るだけだ。




