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抗体の世界

 ジャンナ合衆国

 抗体と呼ばれる者たちが住んでいる軍事大国である。

 ジャンナ合衆国は12個の地区に分けられており、その中で一番中央に位置する『メルセン』という地区。そこにはジャンナ合衆国の総合軍事基地がある。その中央には軍事総司令部があり、さまざまな指令をそこからだしており、軍事総司令部を中心に広がる様にして、軍需物資を備蓄する倉庫や、兵舎の他に、通信アンテナ、気象レーダー、工場などの建築物が立ち並んでいる。


「リチャード元帥殿。ルイス准将がおいでになられました」


 軍事司令部の最上階、一番奥の部屋。そこには【総合指令室】がある。

 元帥と呼ばれた男は窓際にある椅子に座りながら外を眺めていたが、報告を受けると背を向けていたドアのある方を向いた。

 報告をしにきた人は早々に部屋から出ていったらしく、そこには若い男が1人だけ残されていた。


「やぁ、ルイス准将。大戦終結の祝祭以来だな。セージ地区の様子はどうだい?」


 リチャードは柔らかな笑顔を向けて話を切り出したが、ルイスは表情を変える事はなく、真顔のままで答えた。


「特に目立った抗争や事件などはありませんが、なにぶん敗戦国となってしまった国の一部なので……暗い表情の区民も多く、活気もありません」

「そうか。治める者として、改善をしてみなさい」

「……はい」

「あー。えっと……。そうそう、そうだ!知っているかルイス准将こないだメルセンの駅前に…」

「元帥殿」


 どんな応対にも真顔で淡々と答えるルイスに少々困りながらも笑顔を崩さず新たな話題を振ろうとしたが、途中でルイスが口をはさみ止められてしまった。


「まさかあの駅前にできた【ベストグッドフレーバー】という甘味処で出されている【バナナチョコプリンシャーベット乗せゴージャスパフェ】がとてつもなく美味だという話題を振るために私を呼んだのではないですよね?」

「なっ!!まさかもうチェック済みだというのか!?元帥であるこの私を差し置いて!?ずるいではないか!!連絡の一つでもくれればついていった……」

「本題に入ってください元帥殿」


 リチャードはワナワナと拳を震わせていたが、やがて溜息とともに深呼吸をしてそれを収めた。すると、さっきまでの温厚な表情とは違って力強い表情となり、雰囲気も鋭く研ぎ澄まされていた。


「では、本題である【アルナール殲滅作戦】について話そうか」

「了解です」


 アルナール帝国。

 細菌と呼ばれる者たちが住んでおり、ジャンナ合衆国の隣にある国である。

 アルナール帝国は細菌達の国としてかなり昔から一つの大国となっていたが、ジャンナ合衆国は昔から戦争を続け、つい先日にようやく一つの大国となった。


「我が国ジャンナは抗体の国として一つになった。この世に残る国は細菌の国であるアルナールのみ。こうなったら抗体の天敵でもある細菌を蹴散らし抗体のみの世界として世界統一をするべきだと思わんかね?」


 リチャードが話をルイスに振るとルイスはお決まりの真顔で答えた。


「そうですね。ジャンナの人口も増えつつありますし、国の発展のためには領土が必要となってきますし」

「だろう?そこでだ。君にはいままでどおりセージを治めてもらいながら、【対細菌用旅団】の総指揮をやってもらいたい。どうかね?」

「喜んで承ります」


 そう答えたルイスの顔は笑顔で歪んでいたが、リチャードはとくに気にすることもなく笑顔で頷いた。


久しぶりの投稿です。

この話は「シリアスなSF」にしようと決めていたのに、やっぱり笑い要素をいれたくなっちゃいましたね。

笑いがないと生きていけない人間なんですねきっと。

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