激突
俺達が修行を始めてから二ヶ月たった。
「ロックンもうそろそろ戦いにいく。二ヶ月たったし、いい時期だと思うの」
「そうですか。でもシャドンドの居場所はわかるのですか」
「いや、わからないけど、歩き回っていれば、そのうち会うわよ」
「へえーそんなに簡単に見つかるんですか」
「あたりまえよ。だって、ここに引きづりこまれた人はシャドンドに捕まるじゃない」
「なるほど、逆説的に考えたらそうなりますね」
俺達は家の中から外にでた。俺にとっては、二ヶ月ぶりの外だが須藤さんはとっても久しぶりでどれくらいぶりに外に出たかも覚えていなかった。
「ねえ須藤さん、どこからシャドンドが出てくるかわかりますか」
俺は聞いてみた。
「わかるわけないじゃない。だから気をぬかないで」
そうですよね、わかるわけありませんよね。
「わかりました。じゃあ、しりとりでもやりましょうか」
「だから、気をぬかないでと言っているでしょう。ふざけているの」
「すみません。でも、しりとりをしてるほうが楽しいでしょう」
「あなたは、シャドンドの事を知らないからそんな事が言えるの。いい、これからは、できるだけ話をしないで気をひきしめていきななさい」
「わかりました。お口をチャック、ロック、パスワードON」
もちろん最後のは華麗にスルーされた。俺とは違い須藤さんは華麗にスルーをする。ダジャレのつもりじゃないからね。それに対して俺のは完全に無視である。華麗にスルーと無視、言葉てきにも行動的にも華麗にスルーのほうがいい。でも俺のは無視である。なぜだろうか、答えは見てのお楽しみって今回は正解がでません。
それから長い沈黙の時間が流れた。何時間歩き回っただろうか、突然俺達に目の前に見た事がない怪物が現れた。
「須藤さん、もしかしてあれがシャドンドですか」
「ええ、そうよシャドンドよ。気をつけて」
俺達デストデレクションは、と言っても二人しかいないけど戦闘態勢に入って提唱文を唱えた。
「明日へ、また次の日へ、未来の扉を開く時世界は変わる。みんな変わる。今世界を変える力をこの俺に。サレインダード開放」
「目覚めよサレインダード。弾けろサレインダード。今まさに開放の時。神を拒絶し、この世界を拒絶する大いなる力よ。サレインダード開放」
「何だ、それは」
いきなり聞いた事がない声が聞こえてきた。
「だれですか。今しゃべったのって須藤さんですか」
「いや、私じゃないわ。まさか幽霊がしゃべったのかなあ、それとも幻聴」
「俺だよ、お前達の目の前にいる、この俺だよ」
「え、えーーシャドンドがしゃべった」
俺と須藤さんは同時に驚きの声をだした。
「しゃべって悪いかよ、つーかシャドンドって何だよ」
「シャドンドってのは影を支配してるやつらの呼び方だよ。ちなみに呼び方を考えたのは俺じゃなくて須藤さん、じゃじゃーん俺の隣にいる人です」
「須藤です。あなた達覚悟しなさい、あなた達を倒してこの世界から出てやるんだから」
「ふん、ばかばかしい。お前ら人間だよな、じゃあ連れて行くとするか」
「どこにだよ、つーかルーシャンドにシャドンドと人間以外に何かいるのかよ。ちなみに俺はお前らにはタメ口を使う。なぜかわかるか」
「そんなの知るか、どうでもいいよ」
「正解はつつつっつつつー」
「ロックンまた変な効果音を考えたの」
須藤さんが呆れた様子で聞いてきた。
「変な効果音とは失礼な、れっきとした俺オリジナルの素晴らしい効果音です」
「おふざてはすんだか。じゃあ、お前ら覚悟すれよ」
シャドンドはいきなりそんな事を言ってきた。
「まだだぞコラ、はげ、まぬけ、正解をまだ言っていないだろう」
「うるせい、だいたいな」
俺はシャドンドの言葉を遮った。
「正解はお前らが敵だからだ」
「何、敵ともうしたか」
シャドンドの後ろから縛られた人間が出てきた。
「お前どうやって」
シャドンドが驚きの声をあげた。
「俺は2次元的な事が好きでね。敵と聞き僕の超能力みたいなものが開花したのさ。ちなみに僕は男である、なぜそんな事言ったかってそんなの決まっている。僕の説明を少しでもしたかったからさ。今のは読者に向けての言葉だよ」
「変な事言ってんじゃないの。ただ縛り方が緩かっただけでしょう」
変な男の後ろから女性がでてきた。
「いや、僕の超能力が」
変な男の話を女性が遮り俺達にこう言ってきた。
「私達はつかまっているの」
まあ、見ればわかるけどね。
「捕まっているのは三人。この男と私と後もう一人、彼女は縄の縛りがきつくて動けない状態なんです。どうか助けてください」
「えっと、彼女ってのはだれですか」
俺は聞いみた、とてもそういう状況じゃないのだけど
「後で説明しますので、今はとりあえず助けてください」
はぐらかされた。俺からの視点ではね。
「助けての言い方が違う。ここは涙を流し言葉に出さず心で伝える所だろうが、そうしないと感動場面にならないじゃないか」
変な男はまた変な事を言った。やっぱり変である。
「おい、お前らさっきから俺の事無視してるだろう。じゃあ、遠慮なく連れてくとしよう」
「何で無視したら遠慮なく連れていくんのよ、おかしいでしょう」
須藤さんがそう言った。そして、みんなが、あ、間違えた。縄をきつく縛られて動けない人以外の人が
「そうだ、そうだちゃんと説明しろ」
「おかしいよ、そんなの」
「そうですよ。こんなの戦いまでの会話になっていない。せめて、こいつら血祭りにしてやるくらいは、言ってもらわないと」
反論した。一人だけおかしいのもいるけども
「ああ、うるさい。俺は敵キャラだからしゃべんなくてもいいだろう」
「だめです。戦う明確な理由がないとバトル作品として成り立たないじゃないですか」
変人がまた変な事を言った。まあ、俺達デストデレクションにはあるんだけどね。
「何を言ってるんだ、ここはあえて言わずに伏線にする、物語的にとてもありな展開じゃないか」
シャドンドが言った。て何でそんな事知ってるんだ。本とかどこで読んでんだよ。
「それもそうですね、ですが貴方は何故そんな事を知ってるんですか。もしかしてあなた本当は人間だったりして」
どうやら変人も俺と同じ事を思ったらしい。でも、さすがに目の前にいる化け物を俺は人間とは思えない。変人と違ってね。
「そんなわけないだろう、俺とお前ら人間をいっしょにすんじゃねえ。俺達に対して失礼だろう」
「何だと、おいコラ、ハゲ、化け物。人間に対して失礼に決まってんだろう」
今まで黙っていた彼女が言った。動けるほうのね。
「いや、違うでしょう。ここは、立場はみんな平等よ、仲良くしましょうよ、でしょうが」
変人が変な事ではなく普通に良い事を言った。
「そうですよ。平和的に解決した方がいいでしょう」
須藤さんも変人の意見に賛成した。でも変人はたぶん物語的にありそうな会話をイメージして言ったんだろう。
「俺も彼と須藤さんの意見に賛成です。ここにいるみんなは心から平和を望んでいると思います。いやまじで、まじで、マジッデテープ」
最後のは華麗にスルーして欲しい。いつも須藤さんがやってるみたいに
「シャドンドさん平和的な解決方法はないんですか。ちなみに俺が敬語になってるって事は、わかりますよね」
「いや、知らねえよ」
「ふん、ただの気まぐれですよ。かっこ笑いかっこ閉じ」
「なめてんのか」
「いや、舐めていないですよ。そんな性癖ありません」
「そのなめるじゃねえよ」
「それで平和的な解決方法はないんですか」
「いきなり話すすめんじゃねえ。平和的な解決方法だとバカバカしい。とっととお前ら全員つれて行くとしよう」
「話へたくそ。全く話がつながっていない。しかも無理に悪役を演じようとして意味不明なキャラになっちゃったよ」
もちろん言ったのは変人である。しかし、今度はそんな事お構いなしにシャドンドは俺達に襲い掛かってきた。結局、戦う前の会話はなんだったんだろうね。
「仕方ありませんね。そっちがその気なら」
俺はそう言って提唱した。
「サレインソード」
俺の手には青い光の剣が現れた。これは修行して身に付けた技の一つである。
「六林盾切り刻み」
俺はそう言ってシャドンドを一刀両断にした。