4、妹分だっての
俺は鏡花を見ながら頭に疑問符を浮かべる。
何故今...頬にキスをしたのだコイツは。
気になって仕方がないが。
そんな事を気にしても、と思ったので俺はサンドイッチを食べる事に集中した。
というか凄く美味しい。
「鏡花。凄いじゃないか」
「お兄?」
「凄く美味しいぞ。このサンドイッチ」
「え?本当に?ありがとう。お兄」
「いや。素直な感想だからな」
鏡花はニコニコしながら俺を見る。
俺はそんな鏡花を見ながら柔和になってサンドイッチを食べる。
しかし...不思議な運命だな。
何故かっていえばあの野郎に浮気されて...自殺して今に至っている。
間違いなく俺は死んだ筈だった。
なのにな。
「ねえ。お兄」
「...なんだ?鏡花」
「放課後に付き合ってくれない?」
「それはどこにだ?」
「お買い物」
「...成程な。分かった」
その言葉に鏡花は「ありがとう」と言いながら俺を見る。
俺はそんな言葉に「妹分だからな。鏡花は。気にするな」と言った。
鏡花は「うん」と柔和になる。
だが...その妹分と聞いてからの鏡花になんか違和感を感じた。
そうじゃない、と言いたそうな顔をしている。
「鏡花?」
「ん!?な、なに。お兄」
「いや。すまん。大丈夫かなって」
「わ、私は大丈夫」
鏡花は苦笑しながら俺を見る。
それから鏡花は手元にあるゴミなどを片付ける。
俺は手伝いをする為に同じ様に片づけた。
そして俺達は空を見上げる。
「ねえ。お兄」
「なんだ?」
「私さ。...障害があるじゃん?」
「ああ」
「それって...さ。...なんだろう。どうしたら良いんだろう」
「お前は確かに学習障害はあるかもしれないが。お前はお前だ」
「...え?」
「学習障害は...個性だけどさ。...俺、お前の学習障害は落ち着くって思っている」
「...それはどうして?」
「お前が必死に頑張っているからだ」
「!」
「頑張った者には祝福が訪れる。...それがこの世界だって俺は思いたい」
その言葉に鏡花は「...だね」と笑みを浮かべた。
そして鏡花は「私は...こういう障害があるから小説が好き。...それも個性なのかな」と言う。
俺は「それは間違いなくそうだと思うぞ」と柔和になる。
鏡花は「...ありがと」と言いながら花咲く様な感じを見せた。
「鏡花は偉いよ。...俺なんかより遥かに」
「え?」
「...」
サラリーマン時代に心身もろともにすり減らし。
全てを棄てて自殺。
死んだ人間。
俺は情けない。
何も。
そう思っていると鏡花が俺の頬に触れてきた。
「私、お兄の姿は好き」
「...は?」
「私、お兄の頑張る姿が好き」
「...鏡花...」
「お兄は昔から私のヒーローだよ」
そして鏡花は俺の頬に手を添えたまま微笑む。
俺は「...」となってからその顔に見惚れた。
いやいや待て待て。
相手は妹分の女の子だぞ。
そんな感情を湧き上がらせたら駄目だろ。
ちゃんと守ってあげないと。
「鏡花は凄いよな」
「何が?」
「母性があるからさ」
「...母性...」
「母性だ。...女神みたいな感じだ」
「恥ずかしいよ。お兄」
それから鏡花は赤面する。
俺はニヤッとしながら「お返しだ」と鏡花の頬に触れる。
鏡花は熱を持っていた。
俺は笑みを浮かべながら鏡花を見る。
鏡花は「も、もう」と俺の手を感じ目を閉じてまどろんでいた。
☆
そんなこんなで時間が過ぎていき。
俺は教室に戻って来る。
すると「うす」と天満の声がした。
俺は「ああ。すまんな。天満」と言う。
「気にすんな。まあ...部活の仲間と話が出来た」
「そうか。...すまない」
「なんか進展はあったか」
「ある訳ないだろ。妹分だぞ」
「そう言うなって。...な?」
「な?じゃねーよ」
ったくコイツは。
そう考えながら俺は椅子に腰かける。
すると天満が笑みを浮かべながら隣に腰かけた。
食堂に「新しいメニューがあったんだけどさ」と言いながらだ。
俺は「マジか?」となりつつ会話をする。
「スパイス効いた激辛ラーメンだとよ」
「マジかよ。今度挑んでみるか」
「そうだな」
そんな会話をしているとチャイムが鳴った。
天満はゆっくり立ち上がり伸びをする。
それから「んじゃまあまた後で」と言いながら手を振った。
俺は「ああ。また後でな」と柔和になって見送る。
そして俺はゆっくり窓から外を見る。
「...」
後悔の無いように。
思いながら...俺は決意を新たにして外をまた見た。




