3、頬に...
優菜は俺を見てから「おはよう。優」と言う。
俺は息を整えながら「おはようさん」と話した。
すると優菜は「聞いたよ?何だか元気が無いって」と言ってきた。
俺は「...まあな」と返事をしながら天満と一緒に階段を登る。
すると優菜はニヤニヤしながら「私が慰めてあげようか?」と言う。
誰のせいだと...とはいえ。
この世界の優菜はな。
「...その必要はない」
「そうなんだ。分かった」
「テストで悩んでいるだけだからな」
「ああそうなんだね」
「ぶっちゃけそうだ」
複雑な感情を表に出さない様にしながらそう返事をしてから優菜を見る。
優菜は「そっか」と返事をした。
それから優菜は階段を降りて行く。
どこに行くんだ?
「優菜。どこに行くんだ?」
「ああ。えっとプリントを届けにね」
「...そうか」
それから俺達は優菜と別れた。
そして俺達は教室に入り腰掛ける。
何というか。
机の場所を覚えてなかったから危なかった。
☆
4時間目。
俺は13年前と同じ様に振る舞っていた。
すると天満が「売店行かね?」と言い出した。
食料を買いに、か。
「ああ」
「俺、コロッケパンが食いたいわ」
「お前本当にコロッケパン好きだよな」
「まあな。コロッケパン焼きそばパンは俺にとっては神の食材よ」
「マジかよ」
それから俺は天満と教室を出るつもりで教室のドアを開けた。
すると何故か鏡花が居た。
俺を見てから「!」となる。
何かを隠した。
「鏡花?どうしたんだ」
「お兄...あの」
「?」
「一緒にお昼ご飯食べませんか」
「え?あ、ああ。構わないが。食品を買いに...」
「その必要は無いです」
「は?」
「サンドイッチ作りました」
その言葉に俺は「!」となる。
鏡花はモジモジしながら眼鏡をかけ直す。
俺は「マジか。保存はどうしたんだ?」と聞く。
鏡花は「お姉ちゃんが協力してくれました」と答えた。
え?それは...奴か?
そう思ったが鏡花は首を振った。
「花蓮お姉ちゃんです」
「成程な。...花蓮は料理は得意だしな」
「ですね。私が助けられています」
「お前が料理不得意なのがビックリだよな。普通はありえない」
「確かにです」
そんな感じで話していると天満が「俺っちが邪魔だな」と言いながら苦笑した。
それから俺に向く天満。
「先に売店に行くぜ」
「ああ。すまん天満」
「いや。気にすんな。...気にすんな」
少々天満は落ち込んでいた。
俺達はその姿を見届ける。
それから改めて俺は鏡花を見る。
またいきなりどうしたのだ。
俺に対してお弁当とは。
サンドイッチとは。
そう考えていると鏡花が歩き出した。
それから「屋上に行きます」と言った。
俺は「そうか」と返事をする。
☆
屋上に出ると青空が広がっていた。
かなり透き通った青空だ。
俺は伸びをしながら「鏡花。...俺達しか居ないのか。この場には」と聞いてみる。
鏡花は「うん。...私とお兄だけ」と言う。
それから石段に座る鏡花。
「お兄。...お隣どうぞ」
「ああ。ありがとうな。じゃあ失礼して」
俺は鏡花を見ながら13年後を思い出す。
こうして...居ると。
花蓮にも鏡花にも...殆ど接しなかったよな。
結婚してからは。
だけどもう後悔はしたくない。
この世界に来たからにはそれなりには接しよう。
そう考えながら俺は鏡花を見ていると鏡花は赤面して俺を見ていた。
耳まで赤い。
「お兄。いつまで見てるの」
「あ?ああ。すまん」
「恥ずかしいから」
恥ずかしい、か。
まあ鏡花も今は年頃の少女だしな。
俺は首を振った。
それから鏡花に改めて向く。
「サンドイッチ...よく作ったな」
「うん。頑張った」
「凄いな。鏡花は」
「凄く無い。...花蓮お姉ちゃんよりは」
「...まだ...考えているのか?」
「...」
実は鏡花は...発達障害がある。
それは姉妹の中で唯一、学習が難しい障害。
学習障害。
黒板の文字を素早く写せないという感じの問題だ。
俺は鏡花の頭を撫でる。
鏡花は俺を見上げた。
「鏡花。俺さ」
「?」
「お前は今、凄く輝いて見えるぜ。お前みたいな頑張り屋さんがさ」
「お兄...」
「俺はお前が好きだぞ。花蓮諸共にな」
「...うん。ありがとう。お兄」
鏡花は少しだけ自信を取り戻した感じで俺に笑んだ。
俺はそんな鏡花を見ながら13年後を思い出す。
そして落ち込んだ。
すると鏡花が俺の手に自らの手を添えた。
それから何を思ったか。
俺の頬にキスをした。
「は?へ?」
「お兄へ。励ましのキス」
「アホか!?お、お前な!」
「えへへ」
それから鏡花は俺に寄り添う。
そして数分してから鏡花は包みを広げた。
鏡花は俺が好きなのか?
キスとか...いや。
そんな訳ないよな。
可愛い妹達なのだから。




