15、前世への恐怖
俺はゆっくり歩幅を鏡花に合わせて歩く。
それから歩いていると「お兄。こっちだよ」と言われた。
俺は「そうか」と返事をしながら付いて行く。
すると着いたのは神社だった。
俺は「?」を浮かべながら幼い頃から知っている神社を見上げる。
「今だけ期間限定で恋に関するイベントが行われていてね」
「それはつまり絵馬みたいな?」
「そうだね。絵馬だよ。一緒に書いてくれない?」
「いや。それは構わないが...大丈夫かお前」
「...精神状態なら...まあそこそこには」
「無理はするなよ」
それから俺達は絵馬を購入し願い事を書く。
そして俺は絵馬を掲げようとした。
すると「お兄はなんて書いたの?」と鏡花が聞いてきた。
俺は「ああ。(...今が少しだけでも平和に暮らせるように)書いた」と答える。
鏡花は「ん」と返事をする。
「私はお兄と結ばれますようにって書いた」
「お前なぁ」
「私は本気でお兄が好きだから」
「それは分かるが」
「でしょ?」
そして鏡花はニコッとする。
それから俺達は絵馬をそれぞれ揃わせながら結ぶ。
俺は「...」となりながらその絵馬を見た。
13年後。
俺は...絵馬を見て後悔する。
そんな事がもう二度と起こってはならない。
「お兄さ」
「?...どうした?鏡花」
「優菜お姉ちゃんは真実を知ってどうだった?」
「...ショックを受けていたな」
「だろうね」
「...だけど...優菜は心から決めていた」
「それはつまり...恋を?」
「目標とかな」
「成程ね」
俺は奉納した絵馬を見る。
すると鏡花が「ねえ。お兄」と聞いてくる。
俺は「ああ」と返事をしながら鏡花を見てみる。
鏡花は「私は...前世の優菜お姉ちゃんを絶対に許さない」と言う。
そして怒る。
俺はその姿を見ながら「この世の優菜はどうだ」と聞いてみる。
「この世界の優菜お姉ちゃんも...一応は見守るよ」
「...」
「ねえ。聞いても良い?浮気相手の男ってどんな感じだった?」
「あまり思い出したくはない。だが...会ってないのに会った感じの男だった」
「...そうなんだね」
「優菜はキスしていたしな」
「気持ち悪いね」
それから不愉快そうに怒る鏡花。
唇を噛み手を握りしめる。
そんな鏡花を見てから「だが」と言う。
そして空を見上げる。
「...この世界の優菜は裏切らないって思う」
「え?...それはどうして」
「...彼女からのオーラが違うんだ。...前世と世界線も違う」
「...でも私は...」
「知ってる。監視した方が良いってのは」
「私は裏切られた様な感じだよ」
「気持ちは分からんでもない」
それから俺は絵馬に触れてから「...俺は...あくまで優菜を許していない」と呟く。
鏡花は「...だね」と言いながら「じゃあこの世界の優菜お姉ちゃんは...」と聞いてくる。
俺は「この世界の優菜はさっきも言ったが裏切らないって思っている」と答えた。
そして「だが裏切らないとも限らないからな」と言う。
「...だね」
「だから...まあ半分は監視が要るかな」
「その役目は私がやるよ」
「もう半分は俺がやりたい。そして監視してみて大丈夫そうだったら解除しよう」
「お兄...」
「俺はそれで良いと思っている」
そして俺は「行こうか」と言いながら鏡花を見る。
鏡花は眉を寄せていたがやがて「うん」と返事をしてくれた。
それから俺達は神社の階段を降りる。
そうしてから帰宅した。
☆
優菜の浮気の原因を知る前に自殺した。
だからこそ原因が分からない。
でも俺は思う。
この世界の優菜は違うと思う。
色々と。
「...」
俺は翌日になりゆっくり起き上がる。
それから時計を見る。
そして俺はゆっくりベッドから降りた。
そうしてゆっくりと朝食を用意しているとインターフォンが鳴った。
インターフォンを覗き玄関を開けると「おはよ」と優菜が居た。
「優菜。どうした」
「...話がある」
「話ってなんだ」
「...私が浮気した前世を知りたいの。詳しく」
「それは...」
「思い当たる節があったら潰したい」
「...」
優菜を見据える。
それから「...無理はしなくて良いんだぞ。俺も分からないんだから」と言う。
だが優菜は涙を浮かべた。
そして「なんで貴方の様な人を前世では裏切ったか知りたいだけ」と俯く。
俺は「...優菜...」と言う。
「...私は貴方を好きになった。だけど...この想いは叶わない方が良いのかもしれない」
「この世界の優菜。お前は...前世の優菜と違う」
「...どうしてそう言い切れる?私、遺伝子検査をしたぐらい不安なのに」
「...」
「貴方は自殺してこの世界に来た...優だよ?そんなの許せないから。だから思い当たる節は今から潰したいの」
「...芽をとるみたいな感じか」
「そう」
そして優菜はふわっと宙に浮く様に俺に抱き着いて来る。
俺はその優菜を受け止めながら「気持ちは分からんでもないが無理はするなよ」と言う。
優菜は「...早く摘む必要があるから」と言いながら涙を流す。
「貴方が本気で好きだから」
「...」
「私は...もう裏切りたくない。昨日だって寝れなかった」
「...そうだったんだな」
「うん」
そして優菜は「...ゴメン」と嗚咽を漏らす。
俺はその嗚咽を聞きながら優菜と暫く抱き合っていた。
それから唇を噛んだ。
「...とにかく部屋に入らないか」
「良いの」
「良いから。入るぞ」
「...分かった」
そして俺は優菜を立ち上がらせてからリビングに入る。
それから優菜をリビングの椅子に座らせてから聞いてみた。
「お前もなんか食うか」と。
優菜は「お水だけちょうだい」と言ってから体操座りを椅子の上でした。




