11、だから貴方が
翌日になって俺はゆっくり起き上がる。
そして大あくびしてから前世を思い出しながら学校に行く用意をしているとインターフォンが鳴った。
俺は「?」を浮かべてから顔を上げてからインターフォンを覗く。
そこに...鏡花が居た。
「おはようさん。鏡花。どうした?」
「あ、おはようございます。...その。扉を開けてもらっていいですか?」
俺は了承してからドアを開ける。
するとそこにスーパーの袋を持った鏡花が居た。
何故か眼鏡をしていない。
俺は目をパチクリしてから「眼鏡どうした?」と聞く。
「あ、イメチェン」
「そういや髪形も変わったな」
「うん。それもイメチェン」
髪の毛をバッサリ切っている。
ボブヘアーになっている。
俺は驚愕しながら鏡花を見ていると鏡花は「入っても良い?」と聞いてくる。
「ああ。構わないが...」と言ってから俺は鏡花を室内に入れる。
すると荷物を置いた鏡花が俺を抱きしめてきた。
ちょ。
「えへ」
「ちょ。鏡花?!」
「お兄。私ね」
「お、おう」
「イメチェンしたのは...お兄ともっと親交を深めたいからなの」
「は?いやわざわざそんな事をしなくても」
「これは決意の証なの」
「け、決意?」
「コンタクトにしたのも...お兄の...その。隣に居たいから」
「!」
俺は鏡花を見る。
鏡花はニコッとしながら俺を見ている。
俺はそんな鏡花に「...そうなんだな」と言う。
すると鏡花は「もうバレているかもだけどさ」と言いながら「私さ。お兄が好きなんだよ」と言った。
俺は「...やっぱりなのか?」と聞く。
鏡花はゆっくり頷いた。
「私は...お兄にどんな姿でも見せれる。お兄は鏡の様な存在」
「鏡...」
「うん。私はお兄を好きになって良かった」
「鏡の存在とはどういう意味だ?」
「お兄にはどんな姿も映せるからさ。何でも」
「...成程な」
それから鏡花は離れてから食材を見る。
「今日は私がお料理作るんだ」と言ってきた。
俺は「珍しいな」と笑みを浮かべる。
鏡花は「あ、あまり期待しないでね」と赤くなる。
「...いや。...大切な人が作ったものだ。だから期待するさ」
「お兄。そうやって花蓮お姉ちゃんを誘惑したの?」
「違うわ!?なんだ誘惑って!」
「だってお兄...女の子にモテそうな言葉ばかり言うからさ」
「あのなぁ」
「誘惑だよねぇ」
そして鏡花はジト目をする。
俺は溜息を盛大に吐いた。
それから俺は鏡花の頭に手を添える。
鏡花は「え?」となる。
「俺はあくまで口説いている訳じゃない。だけどそう聞こえるなら正すよ」
「えっと...」
「鏡花にも花蓮にも。アイツにも口説いている訳じゃない」
「...お兄...」
「ごめんな」
「い、いや。そうやって謝られるとなんかムズムズする」
「俺は本音で対峙しているだけだ。すまないな」
「う、うん」
俺は鏡花の頭を撫でる。
すると鏡花は赤面しながら荷物を持った。
それから「分かった」と言う。
そして台所に行く。
「練習してきたから。その成果を見せるね」
「...そうか。どんな料理だ?」
「スクランブルエッグ」
「レベル高いな」
「うん。でも何十回も練習した」
「...」
鏡花といい花蓮といい。
俺を...取り合っている。
そんなに価値がある人間じゃないぞ俺は。
そう思うのだが...何とも言いようがない。
俺は苦笑しながら食材を用意している鏡花を見た。
☆
結論から言ってスクランブルエッグは失敗した。
何故なら焦げたのだ。
鏡花は涙を浮かべてから泣いていた。
泣く必要がない。
「鏡花。また次がある。...大丈夫だ」
「失敗した...」
「泣くな。...俺さ。お前の思いだけでも十分受け取れるから」
「お兄...」
「それにお前が必死にやってくれたんだ。作ってくれたんだ。俺は好きだぞ」
塩と砂糖を間違えた甘いスクランブルエッグになってしまったが。
俺はスクランブルエッグを食べる。
半熟で美味しい。
甘いのを除けば傑作じゃないか。
「鏡花。...ありがとう」
「何が?焦げちゃったよ?間違えちゃったよ?」
「ありがたいよ。...俺はな」
「...」
唇を噛む鏡花。
それから「...お兄」と呟く。
俺は焦げたパンを食べつつゆっくり顔を上げる。
すると横に鏡花が立っていた。
なんだ?
「おう。どう...」
すると鏡花は座っている俺の肩を掴んだ。
それから俺の頬にキスをする。
俺は驚愕して鏡花を見た。
鏡花は「お兄を好きになって私は正解だった」と笑顔になる。
俺は「...お前の場合はどうして俺を好きになったんだ?」と聞く。
「似たもの属性。...だからお姉ちゃんが好きになれば妹も好きになる。そういうもの。血が通っているんだから」
「お前なぁ」
「えへへ」
そして鏡花は涙を拭う。
それから鏡花はニコッとした。
俺は苦笑しながら鏡花を見てから「それが一番だな」と言う。
鏡花は「え?」となる。
「...優しい顔が好きだ」
「お兄?」
「お前が優しい笑っている顔が好きだ」
「...お、お兄...」
俺は味がおかしいスクランブルエッグを完食する。
そして柔和になってから鏡花を見た。
鏡花は赤面してから視線を外す。




