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SF世界の革命児  作者: ♪西谷武♪の小説世界 ♫


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7/8

 取調室には未来警察のロボットはいなかった。どこかへ行っているのだとすれば、まだまだおれにはツキがある。ただ、そのツキも危ういものだ。もう一人のおれはすっかり憔悴しきっていたからだ。


「待たせたな」

「おれはもう、死刑になるものと覚悟を決めていたんだ」

「安心しろ。すべて解決されるはずだ。まずはここを抜け出そう。おまえも光になれ」

「えッ、そんなこと、できないよ」

「じゃあ、おれと同化しろ。元はといえば、同じ一匹の猿だったんだ。できないわけがない」

「どうすればいいのさ」

「おれが光になっておまえの眼球から侵入する。時間がない。いくぞ」


 おれはもう一人のおれの目玉に飛びこんだ。その瞬間、一人に戻ったおれの身体が輝きを放った。まさに一心同体となったおれは光と化して取調室の窓を抜けた。


 それからは電光石火の勢いだ。


 世界中にある製薬工場をフル稼働させて回った。操業はすべておれ一人でこなした。完成した抗ウイルス薬は、それぞれの地域で、近くにいる人から順番に投与していった。いつしか滝田の番も回ってきて、症状は目覚ましいほどに改善され、普通に読み書きができるまでになった。


 全世界の人類への投与が完了すると、晴れて滝田とおれは再会し、喜びあった。だが、再会もつかの間だった。過労がたたったらしいのだ。おれは軽いめまいを覚えつつ、どこへゆくのかと問う滝田にもかまわずに、滝田の家をあとにしたのだ。おれは自身のなかで、もう一人のおれと語り合った。


 ――なあ、これからどこへゆく。

 ――そうだなあ。少しだけ垣間見た未知なる世界をもう少し、探検してみたいものだな。

 ――それはもう、無理じゃないか。

 ――なぜだい。

 ――あれから、おれたちの知能はどんどん低下している。

 ――そのようだな。

 ――もう、ファンタジーを使うこともできないだろう。

 ――そうだな。ちょっと残念だけど。

 ――おれの意識もだいぶ、薄れてきた。

 ――おまえもか。おれもだよ。

 ――ああ、おれたち猿に戻るのかなあ。

 ――わからない。あるいは寿命なのかもしれない。

 ――そういやあ、おれたち、タイムマシンに乗ったことがなかったな。

 ――ああ、本当だ。でももう、いいだろう。

 ――それもそうだな。おれたちの頭脳はもう……

 ――おれたちの、おれの頭脳はもう……

 ――やっぱり、猿に。

 ――戻るのか。

 ――そうだ。

 ――ああ。

 ――…………

 ――…………



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