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おれは光の速さで飛んだ。世界中のありとあらゆる医学書を読んだ。そんな難しい本が読めるほどに頭がよくなっている自分に驚きもした。が、もっと驚いたことは、それらの本から得た知識によって、抗ウイルス薬を作り出す方法を思いついたことだ。おれの知能指数は二百や三百ではおさまらないレベルに達しているはずだった。
「よし。あとは実際にこの薬を完成させればいいだけだ。さて、どうする?」
「車狂吉! そこまでだ。手を上げろッ」
その声に振り向くと、未来警察の連中が銃をかまえていた。おれは負けずに大声で言った。
「おまえたちの正体、知らないとでも思っているのか。ロボットのくせにこの世界を乗っ取りやがって」
「乗っ取る? 言いがかりだな。おれたちを生み出したのはこの、SF世界じゃないか。それを人類が実現させたまでのことだ。この世界がロボットのものになって何が悪い」
それでもおれはひるまない。
「知ってるぞ。ウイルスにはコンピューターウイルスっていうのもあるッてこと。おまえたち。もしもおまえたちのなかにそいつが侵入したらどうする気だ。その場で動かなくなっちまうぞ」
一瞬、未来警察のあいだに動揺が広がった。その、ほんの数秒のあいだにおれはあるものを投げつけた。
「はははッ。そいつはただの粉じゃないぞ。おまえたちロボットの天敵、コンピューターウイルスがまざっているんだ。さあ、どうする」
未来警察の連中が慌てて粉を振り払っている。じつはただの小麦粉だ。その隙におれは光と化して、もう一人のおれが捕らえられている取調室へ向かった。




