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塔に監禁され、婚約破棄された『呪われ令嬢』ですが、 最強の将軍に過保護すぎるほど激甘に溺愛されて毎日が大変です  作者: 風間 華


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第13話 「リリアーナの襲来」

 朝ごはんを食べた後、部屋で魔法の練習をしていたら、

 ミラちゃんが、すごく困った顔で部屋に入ってきた。


「エリシア様…リリアーナ様が…」


「え?」


 リリアーナちゃん…?

 心臓が、ドクンと跳ねた。


「エリシア様に、お会いに来たそうです」


 え。

 ええええっ!?

 リリアーナちゃんが…?

 どうして!?

 何のために!?

 頭が、ぐるぐるした。


 謁見の間へ急いで来て、

 私は、ゆっくりと扉を開けた。

 なんだか怖くて、手が少し震えている。


 扉を開けると——。

 そこに、リリアーナちゃんがいた。


 わあ…。

 綺麗…。

 すごく、綺麗…。

 金色の髪を、優雅にアップにして。

 華やかなドレス。

 宝石がきらきら光ってる。

 まるで、お姫様みたい。

 

 でも、そのドレス…。

 胸元が、すごく空いてる。

 リリアーナちゃんの大きな胸がこぼれそうだ。

 背中も、大きく空いてる。

 わあ、大胆…。

 背中もすべすべで綺麗だ。

 リリアーナちゃん、いつの間にこんなに大人っぽくなったんだろう…。

 

 私なんかより、ずっと綺麗で。

 ずっと大人で。

 完璧で。

 胸が、ちくんと痛んだ。


「お姉様!」

 リリアーナちゃんが、ぱあっと顔を明るくした。


 満面の笑み。

 可愛らしい笑顔。

「会いたかったです!」

 ぱたぱたと走ってきて、私に抱きついた。

 ぎゅっと。

 強く。


「え、え…リリアーナちゃん…?」

 私は、びっくりして固まった。

 リリアーナちゃん、こんなに懐いてくれてたっけ…?

 むしろ、私のこと嫌ってたんじゃ…?


「どうして…ここに…?」

 恐る恐る聞いた。


「お姉様が心配で」

 リリアーナちゃんが、私から少し離れて、潤んだ目で私を見た。

 綺麗な青い瞳。

 宝石みたいに、きらきら光ってる。

「一緒に暮らしたいんです」


「え…」

 一緒に…暮らす…?


「お姉様、一人で不安ですよね」

 リリアーナちゃんが、優しく微笑んだ。

 完璧な笑顔。

 天使みたいに、美しい。


「私が、お側にいます」

 その言葉は、優しい。


 でも——。

 なんか、違和感がある。

 何が違和感なのか、分からない。

 でも、心の奥で、小さな警報が鳴ってる。

 何か、おかしい。

 何かが、違う。


 カインさんが、謁見の間の奥から出てきた。

 そして、リリアーナちゃんを見た。

 じっと。

 鋭い目。

 赤い瞳が、ぎらりと光る。

 警戒してる…。

 カインさんも、何か感じてるんだ。


「リリアーナ殿」

 カインさんが、冷たい声で言った。

 いつもの、優しい声じゃない。

 敵に対する、冷たい声。

「用件は何だ」


「あら、カイン様」

 リリアーナちゃんが、私からすっと離れた。

 そして、カインさんに近づいた。

 ゆっくりと。

 優雅に。

 まるで、舞うように。

 その動き一つ一つが、美しい。

 そして——わざと、大きな胸元を強調するように体を傾ける。

 カインさんに、見せるように。


 私の胸が、ぎゅっと締め付けられた。

 嫌だ。

 すごく、嫌だ。

 リリアーナちゃんが、カインさんに近づくの。


「お姉様のことが心配で、お邪魔させていただきました」

 リリアーナちゃんが、上目遣いでカインさんを見た。

 長い睫毛。

 潤んだ瞳。

 完璧な、可愛らしい表情。

「少しの間、滞在させていただけませんか?」

 甘い声。

 男の人が聞いたら、きっと断れない声。


「…………」

 カインさんが、黙った。

 顔が、険しい。

 困ってる。


 でも、断れない。

 だって、リリアーナちゃんは公爵令嬢だから。

 客人として、邪険にはできない。

 それに、私の妹だから。


「…………分かった」

 カインさんが、渋々頷いた。

 でも、声は冷たい。

「客室を用意しよう」


「ありがとうございます」

 リリアーナちゃんが、にっこり笑った。

 完璧な笑顔。

 

 でも——。

 その笑顔の奥に、何か冷たいものを感じた。

 私の気のせい…?

 いや、でも…


ーー

 その夜。

 豪華な客室に、リリアーナが一人立っていた。


「ふふ」

 

 さっきまでの優しい表情は、消えていた。

 冷たい。

 恐ろしいほど、冷たい表情。


「呪われた姉のくせに」

 ぽつりと呟いた。

「幸せになろうだなんて」


 鏡に映る自分を見る。

 美しい自分。

 完璧な自分。

「カインは、私のものよ」

 リリアーナの目が、ぎらりと光った。


「お姉様の力も、全部奪ってやる」


 こんこん。

 ノックの音がした。

「お嬢様」

 侍女が入ってきた。

「カイン様の部屋の位置、確認しました」


「よくやったわ」

 リリアーナが、にやりと笑った。

「準備を始めましょう」


 そして——。

 リリアーナは、小さな瓶を取り出した。

 中には、透明な液体。

 睡眠薬。


「これを使えば…」

 リリアーナが、邪悪な笑みを浮かべた。

「全て、私のものになるわ」


「はい」

 侍女も、邪悪な笑みを浮かべた。

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