【6】7776000秒の奇跡
運命の日。
ルシアンは神の祈りを終え、久しぶりにヴェネツィアにいた。
何故なら――
恩寵でも人間の柄on柄スーツの修復が難しくなった為だ。
あれからも各地で祈った。
ナミブ砂漠の赤い砂丘…。
ノルウェー・スヴァールバル諸島の永久凍土の氷の洞窟の奥…。
パタゴニアの暴風高原…。地を這う暴風を切り裂き祈ったのも、全ては無垢なる人間への聖なる魂への神の御使いとしての素晴らしき務め…!!
私は神のご慈悲の深さを知り、感動に打ち震えたものだ…。
だが人間の時間で2時間前に天界に戻り、ガブリエル様の御前で報告書をお渡ししていると、ガブリエル様の威厳のあるお言葉を頂戴し、私は自分の未熟さを知った…!
ガブリエル様はおっしゃった。
「ルシアンよ。大天使たるもの人間の“ルッキズム”を理解せよ」と…!!
おお!
流石は大天使の頂点に立つ、ガブリエル様…!!
私に学びをさり気なく伝授して下さるとは…!!
私はすぐさま“ルッキズム”を習得した。
大天使ルシアンとして…恩寵でも直せないボロボロのスーツは、人間の無垢なる祈りに侮蔑しか与えない…!
そして私はヴェネツィアに新たなスーツを取りに来た。
だが、何と言うことだ!
すっかり忘れていたルチアーノが7776000秒ぶりに現れたのだ!
――ルシアン…!!
どうした!?
三カ月ぶりに会ったルシアンは、俺様の大好きな柄と柄を合わせた狂気のセンスのスーツをボロボロにしていた!
でも俺様はルシアンのズッ友だから…。
ルシアン…俺様に会えなくて…悲しくて無茶してたんだよな…分かる!
でもそんな感傷すら許してくれない大天使ガブリエルが出現した…。
いつにも増して怒り狂った顔をして…。
ガブリエル…大天使として同じ大天使ルシアンと、地獄の王とのズッ友関係に嫉妬しちゃうんだよな…分かる!
でも、今はこれだ…!!
そして俺様はガブリエルが「悪魔…」と口を開いた瞬間、トレーニングで培った体重移動や肩甲骨の動き、可動域の大きい股関節と柔軟性…。
全てを駆使してスピードを最小化し…素早く香水をスーツから取り出し、ガブリエルに吹きかけた!
おお…!
何という芳醇な香り…!
これは正に天界の花園…!
なぜ…地獄の王ルチアーノが…!?
何ということだ!
神に報告しなくては…!!
大天使ガブリエルが眩い光と共に消える。
残ったルシアンとルチアーノ。
二人を照らすヴェネツィアの夕陽…。
ルチアーノが涙ぐみながらも、ルシアンに差し出す真っ白な小箱。
そこには金色の細い文字でタイトルが美しく書かれていた。
なぜか日本語で。
ルチアーノがウキウキと語り出す。
「ルシアン…お前はズッ友だから、正直に言う!
その香水の香りや、その素っ気ない香水の瓶はさ…100パー俺様のアイデアじゃない!
でもタイトルだけは俺様のオリジナル!
俺様達にピッタリだろ?
これでお前も天界のお洒落番長に復帰だ!」
ルシアンは無表情のまま、じっとルチアーノと小箱を交互に見ていた。
「イレイナ、じゃあ私行くね!色々ありがとう!」
壮麗な館の玄関に停まっている黒いリムジンの前でロクシーが明るくそう言うと、イレイナがホホホと笑う。
「いいのよ。
ルチアーノの香水…じゃなくて、あんたの香水に出資して私も儲けたし。
それにしても…あんたのバカ売れした香水の権利…あっさりアラブのどっかの王様に売っちゃって良いの?」
ロクシーがニカッと笑う。
「だってさあ!
ルチアーノからも香水のアイデア代も貰ってるし♪
つまり、開発費ゼロ!
アラブの王様は、ザッと計算して私の人生4回分のお金を支払ってくれたんだよ?
もうあの香水に未練ないな!
私にはやっぱりハッカーが合ってる!」
「あんたが満足なら、それで良いわ。
秘書に空港まで送らせる。じゃあね」
「ラッキー!
また、仕事があったら連絡して!じゃあ!」
ロクシーはそう言って、今度こそリムジンに乗り込んだ。
――ルチアーノがルシアンに渡した香水
『友情―それはジャパンの米より白く、立つ』は、今もヴェネツィアのクローゼットの片隅に置かれている。――
〜fin〜
ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)
「ルチアーノ外伝「俺様のズッ友ストーリー」〜あの日、ヴェネツィアで始まった地獄の王と大天使の友情〜」はこれにて完結です!!
最後まで読んで下さった皆さまに感謝を込めて…
次ページに【エピローグ】があります☆
みんなのその後や本音…是非読んでみて下さい(^^)
※お知らせもあります!※
本当にありがとうございました!!m(_ _)m
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