【4】原宿発☆ギャルの正義の協力
そこは原宿のお洒落を詰め込んだおもちゃ箱のような空間。
カラフルで「かわいい」がいっぱい♡なカフェ。
正に――かわいいは正義☆
そんな中…
深刻な顔をした、ギラギライタリアン顔の男が呟く。
「……ロクシー…俺様の心の傷を分かってくれてるか…?まずはそこからだ…!」
ロクシーと呼ばれた白人の女の子…。
長い黒髪をツインテールにふわりと巻き、日本の制服風のミニスカにニーハイソックスで決めたロクシーは、ズズーとソーダフロートを飲んであっけらかんと答える。
「じゃあまず、私の話を聞いて?
私はネットゲームでオフ会とかしないの。
お金にならないしね。
でもあんたさあ…」
プププと笑い出すロクシー。
「レベル3のスライムで、私たち地球最強レベルのパーティに入ろうとしたじゃん?
そこでまず、おかしいなって思った。
そしたら個人チャットで突然、『俺様の悩みを聞いてくれ!金ならいくらでも払う!』って言ってきて…。
あーこれはマジだなって思ったの!
私に接触したくて、わざわざ慣れないネトゲまでしてるおじさんだなって!
それにあの馬鹿長いメールを読んだし、支払いは仮想通貨で前払いしてくれた!
だから、準備は完璧よ」
ロクシーの笑顔を見ながら、ルチアーノの胸は痛んだ。
――俺様は忘れられない…あの日ヴェネツィアで起きた悲劇を!
あの日、俺様はいつものように、ヴェネツィアのズッ友に会いに行った…。
クローゼットを仲良く確認して、新作香水もお礼に用意していたんだ…!
ルシアンのために作った新作香水、
『水の都で夢見るジンベエザメ―ゴンドラを揺らす柄と柄―』を、な!
だが、俺様の前には、なぜかルシアンじゃなく大天使ガブリエルが居て…。
そして俺様の香水を…!
まだ箱から出してもいない香水を、箱ごと粉砕して言ったんだ。
「悪魔よ、去れ!その供物は悪!」と…!
ルシアンはガブリエルの後ろから俺様を見ていた。
いつもの無表情だったが、ズッ友の俺様には分かったんだ…!
ガブリエルに裂かれた友情を悲しんでいた…!
俺様よりも!
だから、大天使ガブリエルの誤解を解きたい!
今度こそ、最高の香水を作って、俺様と引き裂かれた悲しみに暮れるルシアンとの友情を復活させるんだ…!
ロクシーは「物思いにふけってる最中悪いんだけど、時は金なりよ」とスパッというと、バッグから一枚の紙を取り出し、テーブルに置いた。
「はい!
これがご所望の最高の香りの香水の化学成分!
この通り作れば大天使ガブリエルだって、うっとりするって!」
ルチアーノは、その化学式がズラッと書かれた紙を手にすると、わなわなと震え出した。
ロクシーが勝手に頼んだ照り焼きチキンピザを食べながら、
「うまっ!人のお金で食べると100倍うまっ♡」とモグモグして、次なるオーダーをメニューで物色していると…ルチアーノが叫んだ。
「俺様を馬鹿にしているのか!?
こんな数字ばっかの公式だらけ…分かるわけ無いだろう!」
ウンウンとロクシーが頷く。
「それな!
あんたは芸術家。
そんな無粋な化学式とか無縁だよね」
「……ロクシー…!お前、良い奴だなっ!」
「だけどね…」
ロクシーがごくんとピザを飲み込むと、やさしく続ける。
「ガブリエルにはこれが一番効くの!
あと5万ドル上乗せしてくれたら、その化学式通りのサンプルを作ってあげるけど?
私ってほら、顔が広いし!」
「……ロクシー……!!」ルチアーノの瞳が感動で潤む。
「あと、あんたの香水の容器ね!
たぶん…芸術品に傾き過ぎて、大天使には香水の瓶だって分からないんじゃないかな?
だから、あと5万ドル上乗せしてくれたら、瓶の設計図も渡してあ・げ・る♡」
「…ロクシー…お前のようなやさしい人間に初めて会った…!
これから俺様のことを"ルチアーノ"って呼んで良いぞっ!」
「ハイハイ。じゃあ入金して」
ロクシーの目は自分のスマホに釘付けだ。
「俺様は地獄の王!
任せろーーー!!」
そして、次の瞬間、ロクシーのスマホに『10万ドルが入金されました』と表示された。
ロクシーの目が満足げにギラっと光る。
そうして――
ロクシーは次にはケーキを頬張り、ルチアーノは感涙にむせび泣いていた。
この奇妙な二人がコンビを組んだことで、更なる衝撃が天と地を揺るがすことになるなど微塵も考えずに。
ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)
明日も17時更新です☆
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