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第9話 異世界で向かえた朝

何気ない会話を交わしながらも食事を終えたのは20時にもなっていなかった。

でも、ご飯を食べてお腹いっぱいになった途端、強烈な眠気がやってきた。


私が最後のお茶を飲みながらボーッとしてるのを気づいた斎藤さんが、心配げに声をかけてくれた。


「早川さん、かなりお疲れのようですね。

明日も予定が詰まってますし、早めに休まれた方がいいかもしれません」


「はい、すみません。今日はこれで失礼します…」


力なく立ち上がり部屋に向かう。


部屋に入り、ベッドに突っ伏して動けなくなった。


このまま寝入りそうになってしまったけど、さすがにシャワーは浴びたい。


メイクも落としたいし、さすがにこのまま寝るのは気持ち悪い。


ノロノロと体を起こし、バスルームに向かう。

準備されてるアメニティを使おうか迷ったけど、とりあえず今日は持ってきたものを使うことにした。


コックを捻るとまあまあの水圧で気持ちのいいお湯が出てきた。


本当は湯船に浸かりたいところだけど、ここはバスタブがないから仕方ない。

たぶんお湯に浸かる文化がないのかもしれない。


頭からシャワーをかぶり、なんとか体を洗い終えた。


ユイさんが持ってきてくれたタオル、じゃなくて拭布で体を拭くと、ふわふわと柔らかい質感にちょっと泣きそうになった。


なんで泣きそうになったのかは分からない。


このふわふわの拭布からユイさんたちの気遣いが感じられたからかもしれない。

それともこれから期待されてるよく分からない役目へのプレッシャーなのかもしれない。


でも少なくともユイさんも斎藤さんも高坂さんもいる。

一人じゃないはずと自分に言い聞かせながらなんとか髪の毛を乾かして、私はベッドに倒れ込んだ。



─────────────────────



泥のように眠って、はっと目が覚めたらもう外はすっかり明るくなっていた。

アラームもかけず眠ってしまい今何時かと焦ったが、時間はまだ6時前だった。


たぶん昨夜は21時頃には寝たはずだから、9時間はぶっ続けで寝たことになる。


そのお陰か頭はスッキリし、ちょっと前向きな気持ちになっていた。


今からごちゃごちゃ考えても仕方ない。


もうここまで来てしまったんだから、私は自分がやれることをやるだけだ。


そう自分に言い聞かせた。




朝食は昨日夕食を食べた食堂で提供されると聞いていたが、特に時間は決まっておらず7時から9時までの間で食べるようにとのことだった。


アズミルに着替えメイクをしようとして、少し迷った。


日焼け止めは塗るとして、どこまでメイクをするのが正解なんだろう。


もともとメイクが濃い方ではないけど、このアズミルにバッチリメイクは合わない気がした。

なので私は日焼け止めと軽く眉を書きリップだけでメイクを終わらせた。



食堂に行くと思いのほか人が多くいた。



戸惑いながらも朝食はビュッフェ形式で、私は適当に食べられそうなものをチョイスし席を探すと、高坂さんが座っているのが見えたので私は近寄った。


「おはようございます。隣いいですか?」


いきなり声をかけて高坂さんは驚いたようだったが、「どうぞ」と隣の席を促した。


見ると高坂さんの選んだ食事は山盛りになっている。


朝からたくさん食べるんだなと思って見てたら、高坂さんが私のお皿を見て


「それだけで足りるんですか?」


と聞いてきた。


「朝はあまり食べない方なんで」


「やっぱり女性はダイエットを意識するんですか?」


思わぬ返答に私が一瞬固まると、また高坂さんはしまったという顔をした。


「すみません、俺デリカシーなくて。失礼でしたよね」


「いえ、ちょっと驚きましたけど」


高坂さんは悪い人じゃないんだけど、あまり女性慣れしてなさそうな感じがする。


そもそも結婚してるのかも分からないけど、そういうのを聞くのも気まずくなりそうなので、私は話題を変えることにした。


「10時からリョウガさんたちと会議ですよね。何言われるのかドキドキです」


「本当ですね。でも仕事が龍の世話ってのははっきりしてるので、それは楽しみですね。異世界の動物ってワクワクします!」


ニコッと笑う笑顔はいつものものだ。


この高坂さんの前向きさは、今の私には心強いかも知れなかった。





そしてこの後、私は自分に課せられた使命を知ることになる。



12話まで毎日更新です。


ついにアユミたちが呼ばれた理由が明らかになります。


次は明日19時更新です。

お楽しみに。

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